特定空き家に指定されると固定資産税が6倍!指定までの流れについて
この記事でわかること
- 空き家にも固定資産税が課税されることが理解できる
- 特定空き家に指定されると固定資産税が6倍になる理由がわかる
- 特定空き家に指定されるまでの流れがわかる
- 固定資産税の負担を解消・軽減する方法がわかる
空き家を放置しておいては危険な状態になると、自治体から特定空き家に指定されます。
そして、特定空き家に指定されたままで自治体からの空き家の状態改善を無視していると、固定資産税が最大で6倍になってしまいます。
固定資産税が6倍になることを避けるには、特定空き家に指定される条件、指定されるまでの流れなどを知っておくことが重要です。
本記事では、特定空き家に指定されると固定資産税が6倍になる理由や、特定空き家に指定される条件、特定空き家に指定されるのを回避する方法などを解説します。
目次
空き家にも固定資産税がかかる
現在居住している家には固定資産税が課税されることはご存知でしょうが、空き家であっても固定資産税は課税されます。
固定資産税は、1月1日現在の固定資産や、償却資産の所有者に課税される税金です。
そのため、居住しているか空き家にしているかは、固定資産税の課税には関係ありません。
また、都市計画法に定める都市計画区域内に空き家がある場合、都市計画税も併せて課税されます。
都市計画税も固定資産税と同じく、居住しているか空き家にしているかは関係なく課税される税金です。
固定資産税も都市計画税も土地上に住宅がある場合、土地の固定資産税の減税措置を受けられます。
住宅であればよいので、居住していても空き家にしていても減税措置が適用されます。
土地の減税措置の内容は、次の表のとおりです。
住宅の敷地面積 | 固定資産税評価額の軽減率 |
---|---|
小規模用土地(200㎡以下) | 評価額 × 1/6 |
一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額 × 1/3 |
このように、住宅が建築されている敷地が200㎡以下なら、土地の固定資産税額は1/6になります。
仮に敷地面積が200㎡を超えていても、200㎡以下の部分の土地の固定資産税1/6に、200㎡を超える部分の土地の固定資産税は1/3に減額されます。
なお、固定資産税の標準税率は1.4%です。
しかし、税率は固定資産税を課税する自治体が自由設定できるため、各自治体により税率が異なります。
支払時期についても各自治体により異なります。
特定空き家に指定されると固定資産税が6倍になる
前述したように、空き家を放置したままで危険な状態になった場合、自治体が危険な空き家を特定空き家に指定します。
そして特定空き家に指定されてしばらくすると、固定資産税が6倍になるケースがあります。
ここからは、特定空き家に指定され、固定資産税が6倍になる流れを紹介していきます。
特定空き家に指定
空き家が危険な状態になると、自治体が特定空き家に指定します。
自治体が空き家を特定空き家に指定する条件は、次のとおりです。
- 空き家が倒壊しそうになるなど著しく保安上危険な状態である
- 動物の住処になっているなど著しく衛生上有害な状態である
- 適切な管理が行われず著しく落書きがある、樹木が生い茂っているなど、景観を損なっている状態である
- その他にも周辺の生活環境の保全をするために、空き家を放置することが不適切な状態である
助言・指導・勧告を無視する
特定空き家に指定されると、自治体から助言・指導・勧告を受けます。
助言・指導では、空き家の適切な管理方法などを通知されます。
この通知通り、空き家を適切に管理すると特定空き家が解除されます。
しかし、助言・指導を受けても空き家の状態が改善されないと勧告されます。
固定資産税が6倍になる
自治体からの勧告が来ると、固定資産税の土地の減税措置が解除されてしまいます。
前述したように、土地の固定資産税の減税措置は住宅の敷地が200㎡以下の場合、固定資産税が1/6になります。
しかし、この1/6が解除されてしまうため、実質固定資産税が6倍になってしまいます。
また、都市計画税も固定資産税と同じく、土地の都市計画税の減税措置があります。
土地の都市計画税は、敷地面積200㎡以下は1/3、200㎡を超えた部分は2/3に減額されます。
これも勧告により解除されてしまうため、敷地面積が200㎡以下なら都市計画税は3倍になってしまいます。
行政代執行
勧告まで無視をすると、次に命令を受け、最終的には行政代執行を受けることになります。
命令からは罰則が発生し、命令を無視すると50万円以下の罰金が科されます。
命令を受けても、空き家の状態を改善しない場合、行政代執行として建物を強制的に解体されてしまいます。
このときにかかった解体費用は、空き家の所有者に請求されます。
特定空き家に指定されるまでの流れ
空き家が危険な状態になっても、すぐに特定空き家に指定されるわけではありません。
指定されるまでには、一定の流れがあるからです。
ここからは、特定空き家に指定されるまでの流れを紹介します。
空き家の状態を確認
まず、自治体は空き家がどのような状態なのか確認します。
空き家の状態で判断されるため、短期間放置していたとしても危険な空き家と判断されることがあります。
そのため、長年放置しているのかといった期間はあまり影響がなく、いかに空き家が危険な状態なのかが判断材料になります。
この確認で特定空き家の条件を満たしていると判断されると、自治体は次の行動に移ります。
ただし、空き家かどうかは1年間人が住んでいるかどうかで判断されます。
つまり、空き家にしてから1年間は特定空き家には指定されないということがいえます。
空き家の所有者へ管理状況を問い合わせ
空き家が危険な状態と判断されると、自治体は空き家の所有者へコンタクトを取るための行動を取ります。
空き家の所有者を発見できて連絡できる状態になった場合、空き家の管理状況がどのようになっているのか、誰が管理しているのかなどの聞き取り調査を始めます。
聞き取り調査の結果、空き家の危険な状態が改善されないと判断されると、特定空き家に指定されます。
特定空き家に指定されない方法
特定空き家に指定されないようにするには、危険な状態などを改善することが大切です。
ここからは、特定空き家に指定されない方法を紹介していきます。
清掃や修繕を行う
空き家を危険な状態にしなければ、特定空き家に指定されることはありません。
そのため、常に空き家の状態をよくしておくために、空き家やその敷地の清掃や、建物の修繕を行うようにします。
また、きちんと清掃をするのが大変なときには、空き家の窓や玄関を全て開け、風通しだけでもよくしておきましょう。
賃貸に出す
特定空き家に指定されるには、空き家であることが条件です。
そのため、空き家を貸し出して誰かに住んでもらうことができれば、空き家ではなくなり、特定空き家に指定されることはありません。
空き家の固定資産税負担を解消・減らす方法
空き家を放置すると特定空き家に指定される恐れがあり、所有している限り固定資産税が課税されます。
そのため、固定資産税の負担を解消・減らす方法を知っておくことが大切です。
ここからは、空き家の固定資産税の負担を解消・減らす方法を紹介します。
売却する
固定資産税の負担を解消するには、空き家を売却するのが1つの方法です。
固定資産税が課税される空き家を手放してしまえば、空き家の固定資産税が課税されなくなります。
都市計画税が課税されている空き家であれば、固定資産税と同時に都市計画税も課税されなくなります。
賃貸する
空き家を売却することができない事情があるときには、空き家を賃貸に出すのも1つの方法です。
賃貸収入を得ることで、固定資産税の負担を軽減します。
ただし、賃貸収入の金額によっては、所得税が課税される可能性があります。
そのため、空き家を賃貸に出すときには税理士などに相談し、本当に税金全体が減額できているのか確認しましょう。
まとめ
空き家を危険な状態のまま放置しておくと、自治体から特定空き家に指定されます。
そして、特定空き家に指定された後も放置していると、自治体より勧告を受け、土地の固定資産税の減税措置が解除されます。
この減税措置が解除されてしまうと、固定資産税が最大6倍に上がってしまうため、特定空き家に指定されないように対策をすることが大切です。
また、固定資産税の負担が大きく、特定空き家に指定されたくない方は、空き家を売却・貸すことをおすすめします。
売却するか貸し出すことで、固定資産税の負担が解消・軽減でき、特定空き家に指定されることがなくなります。