【チェックシート付】空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用要件まとめ
この記事でわかること
- 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の内容が理解できる
- 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用要件がわかる
- 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の手続きや申請必要書類がわかる
目次
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除とは
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除とは、空き家になった建物と敷地を相続し、その相続した空き家と敷地を売却したときの譲渡所得(売却益)から3,000万円を控除することができる制度です。
不動産を売却したときに譲渡所得が発生すると、譲渡所得税や住民税が課税されてしまいます。
その譲渡所得税や住民税の課税を抑える制度を創設することで、全国の空き家を減らすことを目的としています。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、昭和56年5月31日以前の建築物であることが大前提になっています。
そのため、昭和56年6月1日以降に建築された建物場合は、その他の適用要件を満たしても適用できません。
【チェックシート付】空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用要件
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、数多くの条件をクリアする必要があります。
この条件は数が多く、なかなか理解しづらい面があります。
ここからは、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除が適用される条件をチェックシート式で紹介していきます。
空き家の3,000万円特別控除の適用期間か
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用期間は平成28年4月1日~令和5年12月31日までです。
この間に相続か遺贈で取得した被相続人が住んでいた住宅、または被相続人が住んでいた住宅の敷地などを売却する必要があります。
なお、被相続人とは死亡した人で相続される人のことです。
また、相続の開始から3年目の12月31日までに相続した空き家を売却することも条件になります。
3,000万円特別控除を適用期間に相続した空き家を売却する場合は、次の項目に進んでください。
相続した空き家は区分所有建物なのか
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用を受けることができるのは、空き家である区分所有建物以外だけです。
そのため、相続を受けた空き家が区分所有建物の場合は3,000万円特別控除を適用することができません。
なお、区分所有建物とは、構造上区分されており、独立して住居や店舗・事務所・倉庫などの用途に供することができる数個の部分から構成されている建物のことです。
マンションでも区分所有建物ではないこともありますし、一戸建てでも区分所有建物の場合もあります。
そのため、マンションか一戸建てで判断するのではなく、空き家の全部事項証明書(登記簿謄本)を見て区分所有建物であるかどうか判断しましょう。
区分所有建物の場合、全部事項証明書に区分所有権が設定されている旨の記載があるため、登記簿謄本の内容を確認すれば区分所有建物かどうかの判断ができます。
売却する空き家が区分所有建物ではない場合は、次の項目に進んでください。
相続で取得した空き家は昭和56年5月31日以前の築年数なのか
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、相続した空き家が昭和56年5月31日以前の築年数の建物にしか適用されません。
昭和56年5月31日以前の築年数であればいくら古くても利用することが可能ですが、昭和56年5月31日より1日でも新しい建物の場合は利用ができません。
この空き家の築年数は法務局で発行できる全部事項証明書に記載されています。
相続を受けた空き家が昭和56年5月31日以前に建てられた空き家の場合は、次の項目に進んでください。
相続で取得した空き家に誰が住んでいたか
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、相続される空き家に被相続人1人が住んでいることが条件になります。
そのため、相続される空き家に、他に居住している人がいた場合には、3,000万円特別控除は適用されません。
相続を受けた空き家に被相続人が居住しており、その他の人が居住していない場合は次の項目に進んでください。
相続した空き家を相続から売却前に貸していたか
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は相続開始後、売却前までに空き家を貸していた、あるいは誰かが居住、または事業のために利用していた場合は適用されません。
空き家を相続後、売却前まで第三者に賃貸していた場合や、事業のために利用していなければ次の項目に進んでください。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を過去に受けたことがあるか
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、同一の被相続人から相続した空き家については1回しか利用することができません。
たとえば、父親からの相続で空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を1回利用し、母親からの相続で空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を1回利用することはできます。
父親からの相続で2つ空き家を相続しても1回しか利用できないということです。
同一の被相続人から相続した空き家に対し、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を1回も利用していない場合は、次の項目に進んでください。
相続した空き家の売却先は第三者か
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、特定の関係性がある買主に売却すると適用できなくなります。
この特定の関係性に該当する買主は、親子や配偶者です。
相続した空き家を特定の関係性のある人以外に売却する場合は、次の項目に進んでください。
相続した空き家の売却金額は1億円以下か
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、相続した空き家を1億円以下で売却する必要があります。
売却する空き家が1億円以下の成約価格の場合は、次の項目に進んでください。
相続した空き家をどのような状態で売却するのか
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、空き家のまま売却しても、空き家を解体して売却しても適用されます。
ただし、空き家のままと空き家を解体した場合の要件は異なるため、分けて説明をしていきます。
空き家のまま売却する場合
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、売却時に耐震性が証明できる住宅であることが必要です。
もし耐震性が証明できない場合は耐震性を高めるリフォームや改築を行った上で、耐震証明を取得しなければなりません。
耐震証明を取得するには多額の費用がかかるため、耐震性を高める工事をするときには注意が必要です。
前述の要件を全て満たした上で、耐震証明が取得できる場合は、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除が適用されます。
空き家を解体し敷地のみ売却する場合
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するには、空き家を相続し解体してから売却するまでに、同一敷地に建物を建築することはできません。
つまり、相続した空き家を解体した後、売却が済むまで更地のままになっていることが条件です。
前述の要件を全て満たした上で、相続した空き家を解体した後、同一敷地が売却まで更地状態である場合は、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除が適用されます。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用する流れ・必要書類
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するときには、手続きや申請書類が必要になります。
ここからは、3,000万円特別控除を適用するために必要な手続きや書類を紹介していきます。
申請の流れ
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用するときの流れは次のとおりです。
- 空き家を管轄している市区町村へ被相続人居住用家屋等確認書の交付を申請
- 被相続人居住用家屋等確認書を市区町村より受領
- 被相続人居住用家屋等確認書など申請に必要な書類を添付し確定申告をする
申請に必要な書類
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の申請に必要な書類は次のとおりです。
- 確定申告書付表兼計算明細書
- 売却する空き家の全部事項証明書(登記簿謄本)
- 被相続人居住用家屋等確認書
- 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
- 不動産売買契約書の写し
被相続人居住用家屋等確認書の発行を受けるには、次の書類が必要です。
- 被相続人の住民票除票の写し
- 被相続人が居住していた家屋の解体時もしくは売却時の相続人全員分の住民票の写し
- 不動産売買契約書の写し
- 空き家を解体した後の被相続人が居住していた住宅の閉鎖事項証明書の写し
- 相続から売却まで空き家だったことがわかる書類
- 空き家解体から売却まで敷地の使用状況がわかる写真
まとめ
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続を受けた空き家を売却したときに譲渡所得が出た場合、この譲渡所得から3,000万円を控除できる減税制度です。
3,000万円の特別控除の適用を受けるためには、様々な条件をクリアする必要があります。
適用条件はかなり細かく規定されているため、本記事のチェックシートを参考にして確認ください。
また、3,000万円特別控除の要件を満たしていた場合は、申請手続きをしなければなりません。
まずは売却した空き家を管轄する市区町村へ行き、被相続人居住用家屋等確認書の交付を受けましょう。
そして、交付を受けたのち確定申告で3,000万円特別控除を申請します。
3,000万円特別控除は適用条件が複雑なため、できれば税理士や不動産会社などの専門家に適用できるかをあらかじめ確認しておくことが重要です。