リースバック方式とは?メリット・デメリットや注意点まとめ
この記事でわかること
- リースバック方式を活用できる条件がわかる
- リースバック方式を利用するメリットとデメリットがわかる
- リースバックを利用するときの注意点がわかる
目次
リースバック方式とは
リースバック方式とは、自宅をリースバック会社に売却し、その売却した資金を手に入れ、リースバック会社と賃貸借契約を締結し、借家として自宅に住み続けることができる方式のことです。
リースバック方式と比較されるリバースモーゲージというものがありますが、内容はリースバックとはまったく違います。
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして資金を受け取り、受け取った資金の利息分を返済していくという方式です。
そのため、リースバック方式は自宅を売却するため自分の持ち家ではなくなる、リバースモーゲージは自宅を担保に入れるだけで引き続き持ち家のままという違いがあります。
また、リースバックの家賃・賃料は基本的に変動がありませんが、リバースモーゲージは変動金利を利用するため、返済金額が変わることがあります。
リースバックはリバースモーゲージと違い、受け取った資金は自由に使うことができるのも違いです。
リースバックを活用する条件
リースバックを活用するときには、一定の条件が必要になります。
リースバックを活用する主な条件は、3つあります。
それぞれについて詳しく見てきましょう。
自宅に付いている担保を消せること
リースバックを活用するためには、自宅に付いている担保=抵当権を消せることが条件になります。
抵当権というのは、貸借金の返済ができなくなったときに、債権者が担保不動産を売却して、優先的に売却金額を受け取ることができる権利です。
そのため、ローンを全額返済しないと債権者は抵当権を抹消してくれません。
リースバック会社は、抵当権が抹消されないまま不動産を買い取ることはしないので、抵当権抹消が条件になるわけです。
なお例外ではありますが、ローンの残額よりも売却金額が下回っていても抵当権を抹消することができるときがあります。
ローンの返済が滞ると債権者が任意売却という手続きを取ることがあります。
任意売却中であれば、債権者がローン残高から自宅の売却資金を引いた残りの金額については返済しなくても良い、と判断することがあるためです。
家賃を支払っていく能力があること
リースバックを活用するときには、リースバック会社と賃貸契約を締結し家賃・賃料を支払っていく必要があります。
そのため、この家賃・賃料を継続して支払っていける能力があることが、リースバックを活用する条件になります。
給与所得はもちろん、事業所得や不動産賃貸収入、年金などが家賃を支払っていく能力として見られます。
家賃支払い能力についての審査は、金融機関などと違い比較的審査は緩いと言えます。
自宅を売却した資金が手元に残っていれば、家賃・賃料を支払っていける可能性が高いためです。
このことにより、無職の場合でもリースバックを活用できることがあります。
自宅の共有者が売却に同意していること
法律により、共有者全員の承諾がないと売却することはできません。
そのため、リースバックを活用する条件として、自宅の共有者全員が売却に同意していることが必要です。
自宅に住んでいない共有者がいる場合でも同意を得なければなりません。
リースバック方式のメリット
リースバック方式を活用することには、様々なメリットがあります。
それぞれについて紹介します。
自宅に住み続けることができる
自宅を売却した後は通常自宅に住むことができなくなりますが、リースバックを利用した場合は、引き続き自宅に住み続けることができます。
まとまった資金が手に入る
自宅を売却した金額が一括で手元にきます。
そのため、分割払いのような形ではなくまとまった資金を手に入れることができます。
比較的早く資金が手に入る
金融機関のような長時間かから審査もなく、不動産売買契約を締結した後、早い段階で引き渡しを受けることができるため、比較的早く資金が手に入ります。
自宅を維持するコストがかからなくなる
自宅を所有していると固定資産税や建物補修費などがかかりますが、建物はリースバック会社のものになっているため、自宅を維持するコストがかからなくなります。
自宅を所有するリスクがなくなる
自宅を所有したまま相続が発生すると、不動産は金銭と違い分割が難しいため、相続問題が発生することがあります。
しかし、リースバックで現金化しておけば、相続時に遺産分割で揉めにくくなります。
リースバック方式のデメリット
リースバック方式を利用することにデメリットもあります。
そのデメリットを項目ごとに分けて紹介します。
相場より売却金額が安く可能性がある
リースバックの買取金額は相場の6割~8割と言われており、相場より売却金額が安くなることがあります。
不動産は住むために買うケースが多く、相場は住むための不動産の価格で形成されています。
賃貸人がいる状態では相場並みの金額が付かないため、リースバックの売却金額が安くなってしまいます。
家賃は周辺賃貸相場より高くなる可能性がある
リースバックの家賃・賃料の計算方法は、周辺の家賃相場とは無関係の計算方法で決まり、売却金額に利回りを掛けると1年分の家賃が算出できます。
そのため、周辺の家賃相場から離れた金額になりやすいと言われています。
賃貸契約によっては借家期間がある
リースバックの賃貸契約には、賃貸期間が決まっているものがあります。
賃貸契約期間が決まっている契約のことを定期借家契約と言います。
定期借家契約は、賃貸期間が満了したときには更新は認められず、必ず退去しなければなりません。
そのため、賃貸契約の内容によっては住み続けることができなくなります。
リフォームなどを行うことができない
リースバックで建物を売却した後の所有者はリースバック会社になるため、リースバック会社の許可がない限りリフォーム工事や改築工事を行うことができなくなります。
また、あくまでも借りている家になるので、壁に好きなように穴をあけるなどもできなくなります。
これを善管注意義務といい、他人の家を借りている場合は、家を傷つけないよう一般的な使用方法で生活しなければならなくなります。
リースバックを申し込む流れ・必要書類
リースバックを申し込みから完了までの流れや、必要な書類について紹介します。
リースバック会社の選定
リースバックを行っている会社を選択します。
各社で強みや得意分野もあるため、インターネットなどで情報を拾い、査定をしてもらうリースバック会社を数社選定します。
査定
査定をしてもらうリースバック会社が決まったら、訪問査定を依頼し、自宅の中を見て査定してもらいます。
訪問査定後、査定金額を出してくれるため、金額やリースバックの条件を確認します。
売買契約と賃貸借予約契約
査定金額やリースバックの条件に納得できた提案があれば、その提案をしてきたリースバック会社と不動産売買契約・賃貸借予約契約を締結します。
引き渡しと賃貸開始
不動産売買契約成立後、自宅をリースバック会社に引き渡します。
引き渡しと同時に賃貸借が開始され、家賃・賃料の支払いが発生します。
リースバック利用時に必要な書類
リースバックを利用するときに必要な書類は、次の通りです。
- 権利証(登記済証・登記識別情報通知)
- 顔写真付き身分証明書
- 印鑑証明書
- 固定資産税の納税通知書
- 所得証明(給与明細や源泉徴収票、確定申告書など)
リースバックを利用するときの注意点
メリットが多いリースバックですが、利用するときの注意すべき点があります。
注意すべき点を項目ごとに分けて紹介します。
リースバック会社の情報を集める
リースバック会社についての情報を集めましょう。
少なくとも以下の点についてはよく調べておく必要があります。
- どのような内容のサービスを行っているのか
- 買取金額が高い会社なのか
- 賃料が安い会社なのか
契約内容をしっかりと確認する
リースバックの契約をする際には、次の内容についてしっかりと確認するようにしましょう。
買戻し特約
買戻し特約とは、不動産売買契約書に特約事項として記載するものです。
自宅をリースバック会社に売却するが、ある一定期間内であれば、リースバック所有者が購入できるという特約です。
自宅を一度は売却しても、いつか買い戻したいという考えがある方は必ず買戻し特約を付けなければいけません。
定期賃貸借契約
リースバックのデメリットでも述べましたが、リースバック会社によっては自宅に住む期間を定期借家契約で制限する会社もあります。
自宅に住み続ける希望がなければ定期借家契約でもよいのですが、自宅に住み続けたいという希望があるならば普通借家契約を締結しなければなりません。
普通借家契約であれば、ある一定の期間(2年間が多い)の度に更新をして、賃貸人からの退去申告がない限り基本的には住み続けることができます。
ただし、更新のたびに更新料などの費用がかかるケースもあるため、注意が必要です。
自宅を買い戻すとき
リースバック会社との不動産売買契約で買戻し特約を付け、自宅を買い戻すときには自宅を売却した金額より購入金額の方が高くなることや、購入するときに登記費用や印紙代などの購入諸経費がかかるため、購入総額に気を付けなければいけません。
まとめ
リースバック方式はまとまった資金を手に入れ、自宅に住み続けることができるため人気の資金取得方法の1つです。
しかし、リースバックは誰でも利用できるわけではないため、利用できる条件を満たす必要があります。
また、リースバックを利用するメリットは多いですが、デメリットも存在します。
そのため、リースバックを利用する際にはデメリットや利用するときの注意点も把握しておく必要があります。
しっかりとデメリットを把握した上で、リースバックを活用していきましょう。