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登録免許税とは?基礎知識

登録免許税という税金を聞いたことがあるでしょうか?

登録免許税というのは、不動産取引の場面で耳にすることになる税金のことです。

しかしながら、その実態を知るとなかなか理解しにくい構造になっていることが分かります。

登録免許税をめぐっていくつかのトラブルが生じることもあるとも聞きますので、不動産売買をこれからするかもしれないという方は、最後までお読み頂いて損はありません。

今回は、登録免許税に関する基本的な知識について分かりやすくまとめていきます。

登録免許税は何に対してかかる税金?

 
分かりやすく言うと、登録免許税は不動産の登記をする際に支払わなければいけない税金となっています。

不動産の登記というのは、例えば、自分で新築の不動産を購入するときが考えられます。

この他には、不動産を他の人に譲る場合相続により不動産を取得する場合だけではなく、登記をした人の住所の変更が生じた際にも登記の手続きをすることになっています。

それ以外には、会社を設立する際にも支払う必要があります。

会社を設立する場合にも、不動産と同じく登記の手続きをしなければいけないことになっています。

この他には、取締役等の役員の変更に関する登記をする場合や会社を解散する際にも登記をしなければいけませんので、登録免許税を納めることになります。

登記の手続き以外としては、著作権を登録する際にも登録免許税を納税することになっています。

この他には、建設業を営む際に申請しなければいけない免許の交付の際にも登録免許税を支払うようになっています。

ここから、登録免許税は不動産や会社に関する登記をする際や製品の法的保護に対する登録、あるいは免許の登録などの際に納めるものであると理解しておくと、ある程度イメージが付きやすくなったのではないでしょうか。

納税負担者は?

さて、登録免許税は不動産を取得する際にも納めるべき税金となります。

ところで、不動産を取得したことがある人は、この登録免許税をご自身で納めたという人はいらっしゃいますか?

不動産に関して納めるべき税金というのは、非常に多く、例えば、毎年支払わなければいけない「固定資産税」や不動産を取得した際に一度だけ支払わなければいけない「不動産取得税」などがあります。

これらの税金は不動産を購入して所有している方が基本的には納めることになりますので、納税しているという実感があるかもしれません。

ところが、この登録免許税に関しては、不動産を取得したとしてもなかなか支払ったことを覚えている人は少なく感じられる方も多いのではないでしょうか。

それもそのはずで、登録免許税は不動産登記を申請する際に納めることになるのですが、不動産取引の場面ではたいてい、司法書士という不動産登記の専門家が入ってくることが多い為、現実的には司法書士が不動産取得者の代わりに法務局に納税を行っているのです。

実はこれがトラブルのもとになっていまして、司法書士の請求金額に含まれている登録免許税が高いので、過剰請求ではないかというクレームが寄せられることもあるという話です。

これを読まれた皆さんは、よく司法書士の請求書の内訳を確認して、そのような誤解のないようにして頂ければと思います。

気になる納税方法は?

 
登録免許税の納付方法は、主に3通りあります。

不動産の登記を管轄する法務局まで持参する方法により登記の申請をする場合には、収入印紙を貼付する方法により納めることになります。

この収入印紙を貼付する用紙は所定のものがありますので、それを利用することになっています。

次に、登記申請を法務局に直接持参するのではなく、オンラインにより申請をする場合には、収入印紙を貼付するのではなく、電子納付をすることもできます。

最近では、法務局にわざわざ出向かなくても法務局から離れた遠方から申請しやすくなるように、オンライン申請が普及してきています。

このため、専用のソフトよりインターネット上で納付するということもよくあることです。

更に、登録免許税を現金で納めるという方法もあります。

実務ではあまり見かけませんが、税務署に登録免許税相当額の現金を事前に支払い、それによって発行される領収書を所定の用紙に貼付することにより、登記でも納税が認められるという扱いになっています。

しかしながら、前述のように登録免許税の納付は司法書士の先生が代わりに納めてくれることがほとんどであるため、一般の私たちが特に納付方法について気を遣わなければいけない場面は少ないといえるでしょう。

ただし、司法書士に依頼しない個人間の不動産売買や会社の手続きには上記方法を参照してご自身で納税するようにしてください。

例外として非課税になるケース

 
上記でどのようなケースで納税義務が発生し、どのように納税をすることになるのか確認をしてきましたが、実はすべてのケースで納税をしなければいけない訳ではありません。

ここでは、特別に登録免許税が非課税となり、納税をしなくても良いケースについて、いくつかお伝えしていきたいと思います。

(1)国又は公共法人が権利者となって登記を申請する場合
(2)登記官が職権に基づいて登記を行う場合
(3)表示の登記を行う場合
(4)住居表示に伴う住所変更の登記を行う場合
(5)墳墓地に関する登記を行う場合

例えば、「国又は公共法人が権利者となって登記を申請する場合」については、登録免許税は課せられないことになっています。

不動産登記の場合、売主と買主では、権利を取得することになる買主の側で登記の手数料等を支払うことになっています。

よって、登録免許税は買主である国又は公共法人が負担することになりますが、法律上国又は公共法人は登録免許税の支払い義務を負わないことになっています。

また、同じ理屈で「登記官が職権に基づいて登記を行う場合」にも登録免許税は課せられないことになっています。

要するに、自分が主体となって課税を要する申請をするとしても登記官が在籍する法務局は国側の立場と考えられますので、納税の手続きが省略されているのでしょう。

 

「表示の登記」というのは、不動産の物理的現況に関する情報についての登記です。

簡単に説明しますと、建物の床面積は何平方メートルあるのか、建物の種類は居宅用なのか店舗用なのか、建物の構造は木造なのかコンクリートなのかといった情報を得ることが出来ます。

「住居表示に伴う住所変更の登記を行う場合」というのは、「〇丁目〇番地〇」という表記を「〇丁目〇番〇号」という住居表記に変更するための手続きを言います。

それまで住んでいた人が住所を変えたわけではなく、行政上の都合による表記変更となるため、登録免許税は課せられない扱いとなっています。

不動産登記の申請をする際には、登録免許税が非課税となる申請をする際には、申請書においてその旨を記載することになっています。

上記の例では、国等が申請することになり、一般の方が関わるケースはないと思われますが、住居表示などをご自身で登記申請される際には覚えておくと役に立つかもしれません。

登録免許税の計算方法

ここで、簡単に登録免許税の計算方法についてご紹介していきたいと思います。

登録免許税を計算する方法は、2通りあります。

それは定額課税と定率課税です。

前者は分かりやすいと思いますが、例えば不動産の個数に応じて決められた金額の税金を負担するというケースです。

例えば、ある申請をするのに、不動産1つにつき1,000円の税金がかかるとします。

ここで不動産3つ分を申請するときには、3,000円の登録免許税を支払うことになります。

定額課税は、単純に考えれば良いので簡単です。

次に、定率課税について見ていきましょう。

定率課税とは、以下のような計算式で計算されるものです。

登録免許税 = 課税標準金額 × 税率

このうち、課税標準金額には「不動産の価額」、「債権金額」が該当することになります。

「不動産の価額」というのは、不動産の税金の計算ではお馴染みの固定資産評価額を参考にすることになるのですが、中には固定資産評価額が登録されていない不動産も存在します。

固定資産評価額というのは、毎年1月1日に決められることになるのですが、建てられたばかりの新築の建物では固定資産評価額がまだ存在しないということになります。

このため、登記申請に必要となる代わりの計算式を使用することによって、算出することになります。

また、固定資産評価額については納税通知書という書面にて、毎年不動産名義人の住所に送付されることになっていますが、送達時期はお住まいの地域によって4月~5月頃となっています。

このため、1月1日以降でも納税通知書が到着していない3月頃に登記の申請を出す場合には、前年の固定資産評価額を利用して算出することになっています。

 

後者の「債権金額」というのは、不動産に担保を設定する際などに用いられる計算で、債権者の有する債権の金額のことを言います。

特例としての軽減措置

多くの税金と同じように、登録免許税にも特例としての軽減税率が適用されることになっています。

それでは、どのような内容となっているのか具体的に見ていきましょう。

例えば、「所有権の保存の登記」です。

所有権の保存の登記とは、不動産所有者となる者が建物を新築したときなどに、最初に登記される権利に関する登記のことです。

所有権の保存の登記を申請する際の登録免許税は、登録免許税法によると、税率が1,000分の4ということになっています。

ところが、現在では以下の3つの条件を満たすことで、1,000分の1にまで軽減されることになっています。

その条件とは、

  • (1)居住用物件であること
  • (2)新築若しくは不動産を取得した後1年以内であること
  • (3)延べ床面積が50㎡以上であること

というものです。

つまりこの場合、不動産の固定資産評価額が1,000万円であれば、原則4万円(=1,000万円×4/1,000)の登録免許税を納めるところ特例を利用すると、1万円(=1,000万円×1/1,000)で済むということになります。

建物だけではなく、土地についても減税制度は利用することが出来ます。

例えば、「土地の所有権の移転登記」は、登録免許税法上、税率が1,000分の20ということになっていますが、特例を利用することで1,000分の15となることになります。

ちなみに、この場合には特段要求される条件は用意されていませんので、現在の特例期間であれば無条件で特例を利用することが出来ます。

ご自身で申請をされる際には、特例を使用できる期間であるのか、場合によっては専門家の力も借りて確認をするようにしてください。

計算例を少しご紹介します

それでは、せっかく登録免許税について見てきましたので、忘れないうちに登録免許税の計算例について簡単に見ていきたいと思います。

今回はいくつかの複雑な条件は省略して、なるべく簡単で分かりやすい方法により算出をしてみたいと思います。

ケース)ある土地を取得することになったAさんは、法務局に不動産の所有権移転登記を申請することにしました。

土地の固定資産評価額は、2,000万円で登録免許税法を確認すると、土地の所有権の移転登記を申請する場合の税率は1,000分の20であることが判明しました。

上記の税金を計算すると以下のようになります。

登録免許税

=課税標準金額 × 税率(固定資産評価額)     
=2,000万円 × 20/1,000
=40万円

よって、Aさんは登録免許税として、40万円を「オンライン」、「収入印紙」、「現金」の3つの納税方法より選択して、不動産の所在地を管轄する法務局まで申請することになります。

登録免許税の計算は、不動産が複数存在する場合や課税標準金額を税率と掛け合わせるときなどに問題となりますが、複雑なケースを計算する際には是非税理士等の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、登録免許税の基礎知識の解説ということで、非常に大まかな説明をさせて頂きましたが、少しはイメージを掴んで頂けましたでしょうか。

不動産・会社の登記や権利の登録などに用いられる登録免許税を理解し、このような税金が登場する場面では適切に税金を計算できるようになり、見積書・請求書を確認して自分が不利になっていないか確かめてみても良いかもしれません。

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