不動産の売買仲介とは?買取との違いやメリット・依頼する流れを解説
不動産売買では、不動産会社に仲介してもらい、買い手を探してもらう流れが一般的です。
とはいえ不動産売買の方法は仲介だけではないため、実際に取引する際にはどんな方法が適切なのか判断する必要があります。
この記事では、これから戸建やマンションなど不動産の売却を考えている人に向けて、不動産の売買仲介の仕組み、メリット・デメリットや手数料に関して解説しています。
不動産の売買仲介とは
売買仲介は、物件を探している人や購入希望者に対して営業活動を行い、マンション・アパート・戸建住宅などを売る仕事です。
中古住宅や中古マンション、土地や新築の建て売り、投資用物件など幅広い物件を扱っています。
売る側と買う側の間に立って、情報を提供したり様々な手続きを代行したりするため、専門知識が必要なケースも多いです。
そのため売買仲介を担当する不動産会社には、宅地建物取引士という国家資格を持った人が配置されています。
売買仲介と買取の違い
不動産を売却する方法には、売買仲介以外に買取があります。
不動産の買取とは、不動産会社が直接不動産を買い取る方法です。
ここでは売買仲介と買取の違いについて解説しましょう。
売買仲介と買取の違い
- 買い手
- 売却にかかる期間
- 売却金額
売買仲介と買取の違いについて、上記の3つの観点から説明します。
買い手
不動産仲介では不動産会社が仲介者となり売主の代わりに買主を探しますが、買取では不動産会社が直接買主となります。
買取では不動産会社、または専門の買い取り業者が不動産を直接買い取りますが、仲介では買主は主に個人であることが多いです。
売却にかかる期間
不動産仲介は、不動産会社と契約を結んだうえで不動産会社が物件を自社サイトなどに掲載するなどして販売活動をします。
問い合わせ一つひとつに対して回答し、物件内覧希望者を案内するなどを繰り返し、売主と飼い主の条件をすり合わせていくため、時間がかかります。
一般的に不動産仲介で売却にかかる期間は3〜6ヶ月程度であるといわれています。
買取は買主を探す必要がなく、売主と買取業者の間で交渉が成立すればすぐに買い取りが可能です。
そのため、見積もりをしてから売却が完了するまでのスピードが速いことが特徴的な売却方法といえるでしょう。
売却金額
不動産の仲介と買取では売却金額に差が出てきます。
買取では仲介と比べて、売却金額が低くなる傾向があります。
仲介の場合は様々な広告を利用し、購入希望者を探せるため、不動産市場の相場価格で成約に至る可能性が高いでしょう。
一方買取の場合は、不動産会社が購入した不動産に付加価値をつけて、再度販売します。
買取は、販売期間がなくスピーディに交渉が成立する反面で、そのリスクを不動産会社が負担することになります。
そのため、仲介の場合と比較すると一般的には売却価格が低くなる傾向があるのです。
売買仲介を依頼するメリット
不動産を仲介依頼すると、以下のようなメリットがあります。
売買仲介を依頼するメリット
- 時間をかけて納得できる価格で売却できる
- 高い価格で売却しやすい
売買仲介ではさまざまな個人が買主となり得るため、売主の納得できる条件で購入してくれる人が現れるまで時間をかけることができます。
そのため時間よりも、売却金額を優先したい人に売買仲介は向いているといえるでしょう。
売買仲介を依頼するデメリット
では売買仲介には、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
売買仲介を依頼するデメリット
- 買い手がいないと売却できない
- 仲介手数料が発生する
- 売却まで時間がかかる
買主が現れなければ売却することができないため、あまり人気のないエリアや売りにくい物件の場合は難航するかもしれません。
また売買仲介は売買が成立した際に、手数料を支払う必要がありますが、これは買取の際には発生しないため、仲介ならではの費用です。
売買仲介を依頼する流れ
不動産会社に売買仲介を依頼する流れは以下の通りです。
売買仲介を依頼する流れ
- 1.売却査定を依頼する
- 2.媒介契約を締結する
- 3.不動産会社が販売活動を行う
- 4.条件を交渉する
- 5.売買契約を締結する
- 6.不動産を引き渡す
各ステップについて、くわしく解説しましょう。
(1) 売却査定を依頼する
まずは物件の価格を知るために、不動産会社に査定を依頼しましょう。
物件の査定方法はいくつかありますが、売却することが決まっているのであれば不動産会社の査定がおすすめです。
不動産会社の査定は不動産をもし売ったらいくらになるかという目的で査定をおこなうため、最も売却相場に近いでしょう。
ただし不動産会社によって査定額が異なるため、3社以上依頼することをオススメします。
一括査定サービスを利用すれば、簡単に比較できるため便利でしょう。
匿名査定サービスでも相場を知ることができますが、査定額に幅があったり実際の売却価格と差が出る可能性があります。
また匿名査定だけでは実際に不動産を売りに出すことができません。
売却するのであれば不動産会社による査定は必須なので注意しましょう。
(2) 媒介契約を締結する
不動産の売却を決め、査定額や対応などから不動産会社と契約を結びます。
不動産会社と仲介の契約を結ぶ際の媒介契約は以下の3種類から選ぶことができます。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの契約方法に特徴があり、売却する土地の条件や売主の希望などによって媒介契約を選択しましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約とは、最大の特徴は複数社と契約できることです。
このほか自分で見つけた買い主と直接取引することも可能です。
一般媒介契約は、人気物件の場合より良い条件で契約しやすいこと、不動産選びの失敗リスクが少ないというメリットがあります。
専任媒介契約
専任媒介契約とは依頼できる会社は1社のみですが、自分が見つけた買い主と直接取引することも認められている方法です。
専任媒介契約は、物件を積極的に売り出してもらえる傾向があるため買い手が見つかりやすいでしょう。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは依頼できる会社は1社のみであり、自分で直接買い手を見つけることもできません。
専属専任媒介契約では、頻繁に販売状況を報告してもらえるので、現状を把握しやすいことがメリットの一つです。
その物件を扱っているのは、1社の不動産会社のみなので積極的に営業活動を行ってくれ、専任よりも買い手が見つかりやすいでしょう。
(3) 不動産会社が販売活動をおこなう
不動産会社と契約を結び、準備が整ったらいよいよ売却活動を開始します。
販売活動とは主に広告業務です。
ポスティングや折り込み広告、お店の顧客への提案などを行います。
内覧の問い合わせの対応や価格の交渉など、購入希望者に対して、売り手の代わりにさまざまなプロモーションをします。
(4) 条件を交渉する
購入希望者の希望価格、代金の支払い条件、引渡し希望日など、基本的な希望条件について交渉・調整を行います。
売主は、購入希望者が提示した条件を確認し、どのような方針で交渉するかを決定します。
その方針に従って、不動産会社が買い手と条件をすり合わせていきます。
(5) 売買契約を締結する
買い主が購入を決定したら、売買契約を締結します。
売買契約書の内容をしっかり確認し、問題がなければ、買主・売主それぞれが契約書に署名と押印を行います。
契約時に不動産会社に仲介手数料の半金を支払います。
宅地建物取引業法では仲介手数料の上限が以下のように決められています。
契約金額 | 仲介手数料上限 |
---|---|
200万円以下 | 契約金額の5% |
200万~400万円 | 契約金額の4% |
400万以上 | 契約金額の3% |
これは仮に契約金額が1,000万円だから、1,000万円×0.03=30万円が仲介手数料になるという単純計算ではありません。
購入価格が1,000万円の場合、200万円までに対して5%(10万円),200万円から400万円までに4%(8万円)、残りの600万円に3%(18万円)の合計36万円(×消費税)が仲介手数料の上限となります。
(6) 不動産を引き渡す
買い手と売り手が取り決めた引き渡し日に不動産を引き渡します。
引き渡した後に不動産会社へ仲介手数料の残額を支払うのが一般的です。
この際単に引き渡すだけでなく、以下のことを確認しておくと、トラブルを防止できます。
- 契約解除時の対応
- 抵当権を抹消する
- 瑕疵担保責任の確認
売主がローンを組んで不動産を購入していた場合、完済していても抹消登記をしていないと、抵当権が残ったままです。
抹消登記は司法書士に依頼しましょう。
売買仲介に関するよくある質問
売買仲介に関するよくある質問を紹介します。
【売買仲介に関するよくある質問】
- 仲介手数料は値引きできる?
- 売買仲介を依頼する不動産会社はどのように選べばいい?
- 不動産会社によっては仲介手数料が無料な理由とは?
それぞれの質問について回答していきましょう。
仲介手数料は値引きできる?
仲介手数料は値引きできます。
仲介手数料には、上限は決まっていますが下限はありません。
仲介手数料に相場はあるものの不動産会社によって料金設定が異なることもあり、料金については会社ごとに、自由に決めているというのが実態なのです。
ただし、無闇に仲介手数料の値引き交渉を行うのはオススメできません。
予算を示したうえで、もう少し値引きがあれば契約したいという場合に限り、有効だと言えるでしょう。
売買仲介を依頼する不動産会社はどのように選べば良い?
売買仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際は以下のポイントを確認するといいでしょう。
不動産会社の選び方
- 大手と中小どちらも確認する
- ネットの口コミがいい
- 免許の更新回数が2回以上
- 得意な物件と業績
- 複数の不動産会社を比較
不動産売買の仲介をするためには宅地建物取引業の免許が必要です。
この免許は「国土交通大臣免許(★)○○号」というように★には更新回数の数字が入ります。
宅地建物取引業の免許は5年に1回の更新なので、この数字が大きいほど業歴が長いことを表しています。
ここの数字が大きいほど、実績が豊富で信頼のおける会社だという見方もできるでしょう。
不動産会社によっては仲介手数料が無料な理由とは?
不動産会社によっては、仲介手数料が無料な場合があります。
これは不動産会社の損失になっているわけではなく、この分は売主側が負担しています。
物件を売り出す側としては、空室のままよりも早く入居してもらった方がプラスになるためです。
まとめ
不動産売買における仲介について基本的な内容や流れ、仲介手数料の上限等を紹介しました。
不動産取引には買取と仲介がありますが、仲介による方法が一般的です。
時間はかかっても、市場相場で売却できるためメジャーな方法といえるでしょう。
とはいえ不動産売買をスムーズに進めるためには、不動産会社選びも重要なポイントです。
信頼できそうな会社を慎重に選びましょう。