不動産売却・不動産購入はどのような流れで売買されるのか?必要書類などを詳しく解説
住宅をはじめとする不動産物件は、人生でもっとも高い買い物の1つです。
中には、老後などに家を売却して新しく買い換える方も少なくありません。
住宅を購入する目的はさまざまで、結婚や出産を機に新しい住宅を購入したり、子育てを終えた老後に、小さな家に引っ越す方もいるでしょう。
ですが、これら住宅などの不動産の売買には複雑な手続きが多く存在します。
不動産を専門に扱う業者でも、売買に必要な情報や書類の勉強が欠かせないほどです。
そんな不動産の売買手続きは、どのような流れで行われているのでしょうか。
煩雑な手続きが多いですが、気になっている方は多いと思います。
そこで今回は、不動産の売買手続きではどのような契約手続きが行われ、どのような書類を用意する必要があるのかを詳しく解説します。
この記事を読んで、ぜひ今後のライフスタイルの参考にしてください。
目次
不動産売買とは
不動産売買とは、新築戸建て住宅や中古戸建て住宅、新築マンション、中古マンション、土地などの不動産を購入したり売買することです。
不動産売買とは、一般的な日用品やそのほかの物販品と比べて売買金額が大きいという特徴があります。
新築の不動産物件と比較すると金額の安い中古物件でも、平均して1,000万円近くするのが相場です。
高額な取引が多く行われているので、登記制度があるのも不動産売買の特徴だと言えます。
一般的には不動産の売買数は多くありません。
結婚や子供の出産を機に、新築や中古の住宅を購入したら、その後はリフォームなどの修繕をするだけの方が多いでしょう。
しかし子育てで必要だった大きな家も、老後には大きすぎるという声も多数聞きます。
ほかには、退職後に元の家を売却した資金で、小さな家に引っ越すケースも多いです。
このときに、不動産の売手と買手をマッチングさせるための仲介役として不動産会社がサポートしてくれます。
不動産の売買に関する一連の業務を行ってくれる、進行役として必要不可欠な存在です。
多くの不動産売買は、このように行われています。
戸建住宅などの不動産物件を売買するときには、不動産会社が仲介役として入ってサポートしてくれるケースが一般的です。
不動産売買の仕組み
不動産売買をする場合の多くでは、戸建て住宅などの不動産物件を、売却したい売手側と購入したい買手側、両者の間に入る不動産会社の3人の登場人物が存在します。
不動産以外の日用品や食品の場合だと、メーカーや食品生産者から各スーパーなどの店舗が仕入れます。
各種物販品は、仕入れてきた値段に利益を乗せてそれぞれの店舗に陳列されることが一般的です。
卸売業者や問屋なども関わっているので、さらに利益が乗せられた状態で、私たちは市場に流通した商品を購入しています。
一方、不動産物件などの高額な商品は、スーパーのように企業が一旦仕入れるというわけにはいきません。
資本力のある大きな企業によっては、ディベロッパーと呼ばれるような不動産を1棟丸ごと仕入れる企業も存在します。
しかし、多くの場合では不動産物件を丸ごと強いれることは難しいです。
したがって、不動産物件の売買の仕組みとしては、売手と買手の仲介役として、不動産会社が契約を進行させる形態が一般的に行われています。
売買する不動産物件の多くは、不動産会社が所有しているものではなく、個々人が所有している物件を取引するケースが多いです。
不動産売買で必要な3つの書類
戸建て住宅や分譲マンションなどの不動産物件を売買するときには、3種類の書類が必要になります。
具体的には、以下の3つのタイミングで書類が必要になります
- 「不動産売買契約を結ぶとき」
- 「不動産を売りに出すとき」
- 「不動産業者と媒介契約を結ぶとき」
それぞれの書類の特徴は、以下で解説します。
実際に不動産物件を売買するときの参考にしてください。
不動産を売却するときに必要な書類
住宅や土地などの不動産を売買するときに、必要書類の提出を求められる瞬間が「売却」するタイミングです。
不動産の売却時には、「購入するときの書類(案内書・パンフレットなど)」や「住宅ローンの残債があるときの償還表」が必要になってきます。
購入するときの書類や住宅ローンの残債が明記されている償還表とは、具体的にどのような内容のものなのでしょうか。
以下で、それぞれについて詳しく解説します。
購入するときのパンフレットなどの書類
不動産を売却するときに必要な書類として、「戸建て住宅や区分マンションなどの不動産物件を購入したときの書類」が挙げられます。
購入前にもらった住宅物件の内容が明記されているパンフレットや、購入前にもらう不動産物件の購入案内書などです。
売却するときにも保管されている場合は、不動産仲介業者に提出するようにしましょう。
不動産仲介業者が新たに、物件の部屋の間取りを作図設計するときに必要になってきます。
これがあることにより、より詳細で具体的な「新たな物件案内パンフレットなどの書類」が完成します。
買手側は、詳細な情報が多く記載されているパンフレットの物件やネットの物件を見たくなる傾向が高いです。
購入前の間取り図情報などが記載された書類等のパンフレットがなくても問題ありませんが、保管している場合は持っていきましょう。
物件に関する詳細な情報が多い分だけ、買手側は安心するので早く売却できる確率も高まります。
住宅ローンが残っているときの償還表
戸建て物件やマンションを売却するときに、購入したときの住宅ローン残債がある場合は「償還表」が欠かせません。
住宅ローンがまだ残っている場合は、売却した後も返済を続ける必要があります。
新たな住宅を購入する場合には、 二重にローン契約する可能性も出てくるでしょう。
経済状況によっては新たにローンを組めない可能性もあります。
しかし、売却予定の物件が高く売れた場合は、売却益を住宅ローンの返済に充てることも可能です。
希望の売却価格で、残りの住宅ローンをきれいに返済できるかも確かめてみましょう。
購入時の間取り等の物件情報書類や、住宅ローン残債が明記されている償還表は、不動産物件の売却時に必要最低限な書類です。
不動産会社によっては、契約の初期段階で登記事項証明書や登記簿謄本の提出を求められる場合もあります。
不動産物件の売却を検討している場合は、これらの必要書類を早い段階から用意するように心がけましょう。
新たに住宅を買い換える場合は、新規の住宅ローン審査が通らないこともあるので、事前にしっかりと不動産会社に相談しておいてください。
不動産仲介業者と媒介契約を結ぶときの書類
不動産の売買に必要な書類の1つに、不動産仲介業者と媒介契約を結ぶときの書類というのがあります。
不動産仲介業者と媒介契約を結ぶことにより、不動産物件の販売活動として買手を見つけてくれたり、売買契約のときにも契約サポートしてくれる契約です。
そのほか、不動産会社と媒介契約書を結ぶ際には、以下のものも必要になってきます。
- 媒介契約書
- 浸透印以外の印鑑
- 運転免許証などの本確認書類
以下で、それぞれの必要書類などについて詳しく確認していきましょう。
媒介契約書
媒介契約書とは、不動産会社に物件の売却活動を委託するときに結ぶ書類のことです。
不動産物件の売手側が用意する書類ではありません。
媒介契約書を結ぶことにより、宅地物件取引業法が適用されるので売却を委託する依頼者側が不利にならないように守ってくれる契約です。
法律で、必ず締結しなければいけないように定められているので、安心て依頼することができます。
媒介契約書は、依頼する側が不利な条件で契約しないように守ってくれるための大切な契約です。
安心して契約を進めましょう。
浸透印以外のハンコ
一般的に、戸建て住宅や区分マンションなどの不動産物件の売買契約書を結ぶときは、実印を押すことが求められます。
しかし実際には、不動産物件の売買契約書を結ぶときに使用するハンコは、実印でなくても浸透印以外のハンコであれば問題ありません。
不動産売買契約書自体には、効力が有効と判断されて適用されます。
なお、シャチハタなどの浸透印は不動産売買契約書以外の契約書でも一般的ではないので、注意しましょう。
実印をしようしなくても問題ありませんが、買手が信頼を感じるのは実印です。
可能な限り実印を使うことをおすすめします。
運転免許証などの本人確認書類
本人確認書は、媒介契約を結ぶ人物や、物件所有者が本人であるかを確認して証明するたに必要な書類です。
本人確認証では、一般的には顔写真と住所が掲載されている運転免許証などが多く使われています。
運転免許証などを持っていない場合は、役所で書類を準備する必要があります。
用意に時間がかかってしまうので事前に準備してください。
売買契約締結時に必要な書類
不動産売買契約締結とは、戸建て住宅やマンションなどの不動産物件を売主と買主の間で売買取引するときの交わす契約のことです。
こちらの項目では、不動産売買契約締結時に必要な書類を14種類ご紹介します。
場合によっては、これら以外の書類が必要になることもありますが、ぜひ参考に確認してください。
本人確認書類
相続した物件の場合は、家族などの共有者がいるときは全員分の本人確認書類を準備する必要があります。
不動産売買契約時には、準備しなければいけないに必要書類が多いです。
役所に行かないと用意できない書類もあるので、スケジュールに余裕を持って行動するようにしてください。
家族全員分の本人確認書類などは、時間がかかるので事前に準備しておくと安心です。
印鑑証明書
不動産売買契約書に押印する印鑑は、認印でも問題ありません。
しかし、多くの場合で実印および印鑑証明書を用いるのが一般的です。
売主は契約時の信頼性を高めるためにも実印を使用するように心がけてください。
物件を少しでも早く売却したい場合は、実印などをしようするのが確実です。
住民票
不動産売買の契約時に住民票が必要になる場合は、売却予定の不動産物件の登記上の住所と現住所が異なる場合です。
マイナンバーカードで住民票をコンビニ交付できない方は、市役所に行って直接交付してもらわなければなりません。
スケジュールに余裕を持って、前持って書類を準備するようにしましょう。
時間に追われてしまうと、うっかりミスも増えてしまいます。
できることから事前に準備しておくと安心です。
登記簿謄本または登記事項証明書
登記簿謄本も登記事項証明書も、内容はどちらも不動産の登記事項が記載されている書類です。
窓口は、各管轄の法務局で入手することができます。
登記簿謄本も登記事項証明書も、どちらも1通につき600円の手数料が発生するので注意してください。
また、書類請求時には「不動産所在地番・家屋番号・会社または法人商号・本店」などを記載する必要があるので、あらかじめ権利書等で確認しておく必要があります。
登記簿謄本・登記事項証明書の発行には1通につき600円。
その後1枚ごとに600円が追加されるので多少お金を持っていくようにしてください。
権利書
登記名義人が、売却する予定の不動産の所有者であることを証明するための書類です。
権利書は、別名では登記済権利書または登記識別情報とも呼ばれています。
また権利書は、土地やマンション・戸建て住宅などを購入したり相続するときに、必ず発行してもらえる大切な権利書です。
紛失した場合は、再発行することができません。
紛失したときは、権利書以外の必要書類を利用した代行方法があるので、「事前通知制度」「公証人による本人確認」などで対策します。
権利書を紛失しても別の方法がありますが、普段から大切に保管しておくようにしてください。
建築確認済証・検査済証
建築基準法に適合して、厳しい検査に合格した安全な建物であることを証明するための書類です。
なお、この書類は売却物件を購入してくれた買主が、新たに住宅ローンを組むときに必要な大切な書類になります。
新たに物件を購入した方のためにも、建築確認済証・検査済証は欠かせません。
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
1981年(昭和56年)6月から施工された新耐震基準が、適用されるより前に建てられた建物で、耐震診断を受けている場合に発行される報告書です。
2006年(平成18年)9月から、労働安全衛生施工令によりアスベスト含有建材の製造・使用等は全面的に禁止されるようになりました。
アスベストについても、調査を受けている場合は報告書の提示が必要です。
固定資産税納税通知書
不動産物件の売買にともなって、固定資産税を清算するために必要な書類です。
通常、毎年4月頃に各区市町村から郵送されてくる書類ですので、無くさずに保管しておく必要があります。
固定資産税納税通知書を無くしてしまった場合は、区市町村に問い合わせる必要があります。
大切に保管しておいてください。
管理規約・管理組合総会議事録(マンション)
管理費・修繕積立金・各種マンション管理組合の規約に基づく決まりごと(ペットの飼育など)についての詳細を確認できる書類です。
入居後の生活などをイメージするために欠かせない大切な書類ですので、大切に保管しておくことをおすすめします。
土地測量図・境界確認書
土地測量図とは、すべての隣接地との境界を明確に区分するために測量した書類です。
境界確認書は、隣接地との境界線のトラブルを回避するために、隣地境界線を明確に記載した証明書のことを指します。
銀行口座
戸建住宅やマンションなどの売却予定の不動産物件が、売却された後に入金される口座です。
普段使っている銀行口座だと、使い勝手なども把握できているので安心です。
仲介手数料の半金
売買契約締結時には、仲介手数料の半額を支払わなければいけません。
一般的に仲介手数料は、下記の3段階によって決められています。
<2,000万円の物件の場合>
不動産物件売買価格 | 仲介手数料の上限額 | 実際の金額 |
---|---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格の5%+消費税 | 200万円×5%=10万円 |
200万円超400万円以下の部分 | 売買価格の4%+消費税 | 200万円×4%=8万円 |
400万円超の部分 | 売買価格の3%+消費税 | 1,600万円×3%=48万円 |
=合計仲介手数料は66万円+税。
上記のような計算式で手数料が決められています。
上限額は法律で決められているので、相場よりも高い価格を請求される心配はありません。
実印
不動産売買契約書では、シャチハタなどの浸透印を使用することはできません。
なお、ハンコは認印でも問題ありませんが、実印が望ましいです。
契約書を交わす日に、誤ってシャチハタなどの浸透印を持っていかないようにしましょう。
契約手続きの進行が遅くなってしまいます。
印紙税
印紙税法で定められた課税文書には、印紙税が課税されます。
契約時には、印紙代もの準備も必要です。
必ず用意するようにしてください。
不動産売買の流れ
不動産売買の流れは、大きく分けて不動産を購入する場合の流れと売却する場合の2つの流れに別れています。
以下からは、不動産を購入するときの流れと、売却するときの流れのそれぞれについて詳しく解説するので、不動産物件を売買取引するときの参考にしてください。
不動産を購入する場合の流れ
不動産物件を購入するときの流れを、大きく3つに分けて紹介します。
1.物件見学
気になる物件を発見したら、不動産会社に相談にいきます。
個人で情報収集するには限界があるので、業界に詳しいプロに相談することでより良い物件に巡り会えるかもしれません。
気になる物件を発見したら、見学をします。
見学後、実際に購入申し込みをする前には、入念な資金計画を立てて月々の返済額に無理がないかも確認しておくと安心です。
住宅ローンを滞納してしまう原因の1つに、無理な返済計画があります。
資金計画は慎重に行いましょう。
2.購入申し込み
物件の見学後に、住宅を気に入ったら購入申し込みの手続きに進みます。
住宅ローンで購入する場合には、申し込みにするときに源泉徴収票などの必要書類を銀行に提出しなければいけません。
必要書類が複数あるので、事前に用意しておくとスムーズです。
無事に購入申し込みが終わったら、不動産売買契約を締結します。
ここでは、ハンコや本人確認書、売買契約書貼付印紙などさまざまな書類を提出するので、早めの行動が大切です。
3.引き渡し
購入申し込みや売買契約書の手続きが完了して、住宅ローンの承認が降りたら、物件の残金を清算させます。
物件の残代金が決済できたら、無事に引き渡し完了です。
不動産は購入するまでに多くの手続きと、さまざまな書類を用意しなければいけません。
事前に余裕を持って準備しておいてください。
不動産を売却する場合の流れ
不動産物件の売却手続きの流れも、大きく3段階に分けて以下で詳しく説明します。
1.売却相談
売却予定の物件がある場合は、一般的には不動産会社などに依頼します。
個人で売買手続きを進めることも可能ですが、専門家に相談すれば売却活動や契約手続きを代行してくれるので、個人で進めるよりもスムーズです。
依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結んで不動産売却活動が開始されます。
売却するときは、どの不動産会社が高く売却してくれそうか調べるために「相見積もり」を取ってから決めると安心です。
2.不動産売買契約書を締結する
不動産業者が売却予定の物件の販売活動をして、無事に買い手が見つかったら実際に売買契約書を締結します。
なお、売買契約書では以下のものが必要です。
- 実印
- 身分証明書
- 登記済権利証
- 印鑑証明証
用意に時間のかかる書類が多いので、事前に準備しておくことをおすすめします。
物件の売却手続きを進行中は、必要書類が多いのでチェックリストなどを作成するとわかりやすいです。
3.引き渡し
売買契約で交わされた日時で決済と引き渡しが同時に行われます。
決済は売主、買主、不動産会社、金融機関を交えて行われるので未払いが発生することはありません。
無事に支払いが確認できたら、物件を引き渡して全ての流れが終了します。
まとめ
不動産の売買にはさまざまな手続きや、書類が必須で求められます。
金額が大きいので、売買取引には不動産会社のみならず、金融機関の担当者も交えて引き渡しが行われることが多いです。
不動産物件の売買には、購入と売却の2種類があります。
双方で、多くの必要書類が発生するので、事前の準備が欠かせません。
保管しておかなければいけない書類も多く存在するので、不動産の売買取引を行うときは事前に準備しておくことが大切です。
不動産を売買するときは、今回ご紹介した書類などを忘れずに準備してください。