土地の査定方法|種類や費用の相場、査定額が変動するポイントも紹介
自分が持っている土地の売却を検討しているけれど、何から始めていいのか困っている人はいませんか?
土地の査定は、不動産鑑定士や不動産会社だけでなく、自分自身でも計算ができます。
この記事では、不動産の売却を考えている人向けに、さまざまな土地の査定方法や、査定額に影響を与えるポイント、土地査定をするまでの流れについて解説しています。
目次
土地の査定方法
土地の査定は不動産会社や不動産鑑定士などのプロにお願いする方法もありますが、自分でも査定できます。
自分で査定する方法 | プロに依頼する方法 | |
---|---|---|
費用 | 無料 | 0~30万 |
査定結果の精度 | × | 〇 |
査定にかかる時間 | 時間がかかる | お任せできる |
自分で査定する方法
自分で土地を査定する方法は大きく2つあります。
- 土地の公的評価を調べて参考にする
- 周辺の取引価格を調べて参考にする
土地の公的評価額は、「公示地価」、「基準地価」、「相続税路線価」、「固定資産税評価額」の4つがあり、土地を売る際の価格は、公示地価と基準地価を使います。
公示地価と基準地価は、国土交通省のホームページにある、地価公示・都道府県地価調査で調べることができます。
一方、自分が所有している土地の周辺で実際に売買された取引価格から推定する方法もあります。
国土交通省のホームページにある、土地総合情報システムを活用すると、過去の不動産取引価格情報を検索できます。
プロにお願いして査定する方法
不動産会社や不動産鑑定士などのプロに依頼をして土地の査定価を計算してもらう方法です。
どちらの精度が高いという優劣があるものではなく、それぞれ査定をする目的が異なっています。
土地の査定方法の種類と比較表
土地の査定方法は主に以下のような方法があります。
査定方法の種類 | 依頼先 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
有料査定 | 不動産鑑定士 | 不動産の適正価格を証明できる | 手数料がかかる |
無料査定 | 不動産会社 | 無料で査定できる | 査定価格は土地の売却以外には利用できない |
訪問査定 | 不動産会社 | 現地調査をしながら細かくチェックするのでより現実的な価格を提示してもらえる | 不動産会社が訪問してくるので、日程調整などの手間がかかる |
簡易査定 | 不動産会社 | 書類だけで、短期間で査定ができる | 訪問査定の結果と乖離が生じることがある |
匿名査定 | 不動産会社が運営 | パソコンやスマホで不動産会社にアクセスして、個人情報を入力することなく査定ができる | まだ不動産情報のデータベースが未整備で、実態とはかけ離れた査定額になることがある |
シミュレーション | 不動産会社が運営 | パソコンやスマホで画面の指示に従って進んでいくだけで査定をしてもらえる | 最終的に住所やメールアドレスなどの情報を求められるので、後から営業電話やメルマガなどが届く可能性がある |
有料査定
有料査定とは不動産鑑定士が行なう査定のことです。
有料査定は、国土交通省が定めている不動産鑑定評価基準に基づいて行われるため、税務署の証拠資料や、裁判の証拠資料として不動産の価値を証明したいときに活用できるメリットがあります。
不動産鑑定士は、不動産鑑定をすることを業務としているため、依頼すれば手数料が発生する点がデメリットといえるでしょう。
無料査定
無料査定は、不動産会社がおおよそこれくらいの価格で売却できるという売却予定価格です。
土地の場合は周辺環境や、日照、騒音といった土地環境、土地面積や形状をもとに査定が行なわれます。
無料査定は、不動産会社が営業の一環で行うものなので、手数料は発生しないというメリットがありますが、土地の売却価格の目安以外に利用できないというデメリットがあります。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社が実際に売却を想定している土地に訪問をして、土地の状態、境界の確認、周辺環境などを確認したうえで見積もりをする方法です。
訪問査定は、不動産会社に実際に土地を見てもらえるので、より現実的な査定額の提示が期待できるメリットがあります。
また、売却するにあたって問題があれば、問題解決のアドバイスをもらうことができますが、反面、立ち会いの時間を作る必要があるなど手間がかかるというデメリットがあります。
簡易査定
簡易査定は、机上査定ともいわれ、不動産会社が現地調査をすることなく、住所や面積、前面道路の広さといった書類の情報と、類似の取引事例をもとに査定をする方法です。
訪問査定よりも、短い期間で査定額を知ることができるメリットがありますが、周辺環境などを知ることはできないので、訪問査定の結果と乖離が生じることがあります。
匿名査定
個人情報を入力することなく、査定をするサービスです。
土地の住所や面積などの情報を入力すると、不動産会社のデータベースから最も近い物件の査定価格を回答するというサービスです。
個人情報を入力する必要がないので、査定を依頼しても営業を受けたり、メルマガがたくさん届いたりすることはありません。
ただし、まだデータベースが整備されておらず、査定額が当てにならないケースが比較的多いというデメリットがあります。
シミュレーション
不動産会社のサイト内にあるシミュレーションソフトで査定額を計算する方法です。
物件の種類や、住所など画面表示にならって進んでいくだけで自分の売却したい不動産の査定額がわかるサービスです。
ただ、不動産会社のサイトなので仕方のないことですが査定額を知るためには名前や連絡先の入力が求められ、入力すると今後、営業の電話やメルマガなどが届いてしまう可能性があります。
土地の査定費用の相場
土地の査定費用の相場は、不動産鑑定士に依頼をする有料査定なら20万円~30万円の手数料がかかります。
一方、不動産会社による査定は、営業の一環としておこなうため査定費用がかかることはありません。
土地の査定額が変動するポイント
土地の査定額が変動するポイントは以下の通りです。
- 立地
- 土地の形状
- 日当たり・眺望
- 周辺環境
- 最寄駅までの距離
- 災害リスク
各ポイントがどのように影響するのか、解説します。
立地
土地がどの地域にあるかによって土地の査定額は変動します。
土地や地域ごとに使い道が決まっており、商業地、住宅地、工業地などさまざまな用途に利用可能な土地は、土地の査定額は高くなる傾向があります。
また、都心部にあり、利便性が高い地域かどうかも査定においては重要なポイントです。
土地の形状
正方形など形の整った土地は一般的には評価が高くなります。
逆に、整った四角形ではない土地や、奥行きが長い土地、道路に面している部分が小さい土地などは、利便性が悪く、土地の評価は低くなります。
日当たり・眺望
日当たりについては、道路に面している方角が南向きになっている土地は、最も査定額が高く、東向きが続きます。
一方、西日が入る西向きや、日当たりが悪い北向きは査定額が低くなります。
また高台にあり、見晴らしがよい場所にある土地は評価が高くなる傾向があります。
周辺環境
土地のある場所が交通の便が良い、区役所や病院などの公共施設が近くにある、スーパーマーケットやショッピングモールなどの商業施設が近い場合は、利便性が高いため、土地の評価は高くなります
最寄駅までの距離
最寄り駅までの距離が近いほど、土地の査定はプラスに働きます。
特に利便性を優先する都市部では、駅近のニーズは高い傾向があります。
災害リスク
台風や河川の氾濫、地震などの自然災害が発生して、被害が大きくなる可能性がある土地や、活断層がある地域は評価が低くなる傾向があります。
ただし、都市部なら交通の便や駅までの距離などの利便性を優先するため、評価はほとんど変わりません。
自分の所有している土地が、どのような災害リスクの恐れがあるか、自治体のハザードマップで確認しておくとよいでしょう。
土地の査定を行う流れ
土地の査定をスムーズに行うために、全体的な流れをおさえておきましょう。
査定準備
不動産会社が土地の査定に来る前に、自分の宅地(建物を建てるための土地のこと)がどれくらいの査定になるのかはおさえておきましょう。
全く相場観が無い状態で、査定に臨んでしまうと高すぎる、安すぎるという判断さえつかなくなる可能性があります。
前述した、国土交通省のホームページにある、「地価公示・都道府県地価調査」や、「土地総合情報システム」を利用すれば、自分でも相場は調べることができます。
また、スムーズに査定ができるよう、名義人の確認や土地の境界線が確認できる資料を用意しておきましょう。
名義人の確認は、登記事項証明書、または登記簿謄本で、土地の境界線は地積測量図、また場合によっては筆界確認書が必要です。
不動産会社に査定を依頼
査定準備が整ったら、不動産会社に査定を依頼します。
全ての不動産会社の査定基準が一律ではないので、一社だけではなく、複数社に査定を依頼しておくとよいでしょう。
査定結果
査定結果を比較した結果、納得いく内容の査定があれば、その業者と媒介契約に進みます。
まとめ
土地の査定は不動産鑑定士や不動産会社などのプロに依頼する方法や、自分自身で査定をする方法もあります。
ただし、不動産鑑定士は手数料がかかるので、土地の査定を知ることが目的ならあまりおすすめはできません。
不動産鑑定士の査定でなくても、不動産会社に実際に土地を見てもらう訪問査定なら、無料で信頼性の高い査定額を知ることができます。
しかし、土地の売却は大きなお金が動くことなので、査定は一社だけではなく複数社に査定を依頼して慎重に進めることをおすすめします。