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土地の分筆にかかる測量費用の内訳・相場【節約のコツとは?】

この記事でわかること

  • 土地の分筆とはどういうことか理解できる
  • 土地を分筆するメリットやデメリットがわかる
  • 分筆の費用相場や内訳がわかる
  • 測量費用を節約する5つの方法わかる

ある程度の広さがある土地の場合、一部を切り分けて売却するケースがあります。

相続の際にも、1つの土地を共有することはデメリットが多いため、相続人の人数に応じて切り分ける場合もあります。

ただし、境界線が曖昧になるといずれ土地の使用をめぐってトラブルになるため、きちんとした測量を行わなければなりません。

土地同士の境界を明確にする測量を「境界確定測量」といいますが、それなりの費用もかかるため、相場や費用内訳はぜひ知っておきたいところです。

今回は土地売却や相続を控えている方を対象に、分筆のメリットやデメリット、測量費用の相場などをわかりやすく解説します。

土地の分筆とは

土地は「筆」という単位で数えるので、1つの土地であれば一筆、2つあれば二筆となります。

登記上の1つの土地を分けることが「分筆(ぶんぴつ)」であり、逆に複数の土地をまとめる場合は合筆(ごうひつ/がっぴつ)といいます。

分筆した土地は新たな地番によって登記され、公図なども作成されるため、法律上は分筆前の土地と全くの別物になります。

ただし、土地の境界が明確でなければ登記もできないため、確定測量によって隣地との境界をはっきりさせなければなりません。

なお、建築基準法には「1つの土地には1つの建物」という原則がありますが、新たな建物を建てるため、机上の線引きを行うことを「分割」といいます。

よく似た言葉ですが、意味は全く違うので注意しておきましょう。

分筆のメリット・デメリット

土地売却や相続の際には分筆のメリットを活かせますが、無計画な分筆はデメリットが大きくなります

分筆する際は、メリット・デメリットの双方を理解しておきましょう。

分筆のメリット

土地を分筆するメリットには以下のようなものがあります。

  • ・土地売却や遺産分割がしやすくなる
  • ・税金が安くなるケースもある
  • ・別の地目を設定できる

活用しやすい形状や面積に分筆すると、売却の際に買い手が付きやすくなります。

あらかじめ分筆された土地は遺産分割もしやすくなり、分筆によって評価が下がった場合は固定資産税などの税金も安くなります。

また、本来の用途に適した地目を設定できるため、田畑を宅地へ変更することも可能です。

分筆のデメリット

土地の分筆には以下のデメリットもあります。

  • ・建物を建築できなくなる可能性がある
  • ・税金が高くなる場合がある
  • ・使い勝手が悪くなる場合がある
  • ・分筆の手間やコストがかかる

分筆によって土地が狭くなった場合、建ぺい率の関係から建物を建築できなくなる可能性があります。

また、分筆のために建物を解体して更地にした場合は、固定資産税の優遇措置がなくなるため、逆に税金が高くなってしまう場合もあります。

分筆の仕方によっては使い勝手が悪くなり、手間やコストの発生も意識しておく必要があります。

土地の分筆にかかる費用の内訳・相場

分筆費用の相場は30万~40万円程度ですが、官有地(国有地など)との境界確定が必要になった場合は、80万円程度の費用が必要になります。

また、面積の広い土地や形状が複雑な土地の場合、相場よりも高額になる場合があります。

現況のわかる登記事項証明書や公図などの取り寄せ、分筆した土地の登録免許税も発生するため、数千円~数万円程度の諸費用がかかることも覚えておいてください。

なお、分筆にかかる費用は次のような内訳で構成されています。

確定測量の費用内訳

土地を分筆する際は土地家屋調査士によって確定測量されますが、費用の内訳は以下のようになっています。

  • ・事前調査:62,000円~100,000円程度(土地の所有権や現地の事前調査)
  • ・測量業務:120,000円~140,000円程度(測量および境界点確認)
  • ・書類作成業務:19,600円~49,200円程度(土地調査の報告書および測量図作成など)
  • ・民有地境界確定:17,400円程度(境界立会いや境界確認書の作成など)
  • ・官有地境界確定:61,000円~99,000円程度(境界立会いや官民地境界協議など)

上記の費用内訳はあくまでも相場なので、測量が複雑になる、分筆を急ぐため短期間の測量を依頼した場合は、相場以上の費用を請求されます

書類請求や登録にかかる費用

確定測量を行う事前準備としては登記事項証明書などが必要になり、分筆した後には登録免許税も発生します

それぞれの取得費用や税額は以下のようになっています。

  • ・登記事項証明書:窓口請求600円、オンライン請求・郵送500円、オンライン請求・窓口交付480円
  • ・公図や測量図:窓口請求450円、オンライン請求・郵送450円、オンライン請求・窓口交付430円
  • ・登録免許税:一筆につき1,000円(2つに分筆した場合はそれぞれ1,000円)

このように入手方法がいくつかありますので、ご自分に合った方法で行うことをおすすめします。

分筆時の測量費用を節約する方法5つ

土地の測量費用はある程度の節約ができるため、いわゆる「言い値」で決まってしまうわけではありません。

自分でできる手間を負担したり、交渉による値下げも可能なため、測量費用を節約する場合は次に解説する方法を試してみてください。

過去に測量していた事務所へ依頼する

分筆の準備として地積測量図を取得した場合、過去に測量を行った土地家屋調査士の名前が表示されています。

土地家屋調査士は過去の測量データを保存しているケースが多いため、同じ調査士に依頼すると測量工程が少なくなり、費用も安くなる可能性があります

土地家屋調査士の連絡先は、日本土地家屋調査士連合会のホームページから都道府県別・地域別に辿るとわかるので、過去の測量図がある場合は連絡してみましょう。

参考:全国の土地家屋調査士会(日本土地家屋調査士連合会)

複数業者の相見積もりを取る

測量費用は業者によっても変わるため、1社だけの費用で判断せずに4社~5社程度の相見積もりを取るようにしてください。

いくつか見積りを取ると数千円~数万円程度の料金差になることが多いので、業者を選ぶだけでもかなりの節約になります。

ただし、何かしらの手抜きがある可能性が否めませんので極端に安い場合は要注意です。

また、日本土地家屋調査士連合会のホームページでは懲戒処分情報も公開しており、境界確定通知書の市町印を偽造するなどの事例も見受けられます。

費用の相見積もりは節約のために重要ですが、業者の信頼度を見極める上でも数社にコンタクトを取った方がよいでしょう。

参考:懲戒処分情報(日本土地家屋調査士連合会)

立会いなどの段取りを自分で行う

隣地オーナーの立会いが必要になる場合、日程調整や合意書への署名捺印も必要になります。

このような段取りをすべて自分で行う場合は、料金を割り引いてもらえる可能性があります。

ただし、段取りがうまく進まず分筆完了までに時間がかかった場合、逆に費用が高くなってしまうので注意が必要です。

売却の場合は買主と交渉する

土地の測量費用は売主負担が一般的であり、法律上の定めはありませんが慣例として定着しています。

もし売り出しする前に買主が現れた場合は、交渉次第で費用の一部を負担してもらえるかもしれません

ただし、一度提案した負担割合を上げてしまうと交渉決裂になりやすいので、少々高めに設定して徐々に下げるなどの交渉テクニックも必要です。

確定申告の際に費用計上する

土地売却のための確定測量であれば、測量費用は譲渡費用に計上できます。

土地を売って利益が出た場合は譲渡所得になり、譲渡所得税(所得税+住民税)が課税されますが、以下のように譲渡費用を売却価額から控除できます。

  • 譲渡所得:売却価額-(土地の取得費+譲渡費用)

測量費用そのものを節約できるわけではありませんが、税金を安くできるため、トータルの出費を抑えられます

また、確定申告が必要なので測量費用がわかる書類などは紛失しないよう厳重に保管してください。

まとめ

土地の分筆や測量は、売却や相続対策として行うケースが多いため、生涯に何度も経験するものではありません。

したがって測量費用の相場、測量にかかる時間などは「わからなくて当然」ともいえます。

しかし安くても30万円以上はかかるため、あらゆる方面から情報収集し、費用の内訳や相場を大まかに掴んでおくとよいでしょう。

また、日頃は土地家屋調査士と接する機会も少ないため、どの業者を選んでよいかわからない場合は不動産会社に相談してみてください。

ほとんどの不動産会社は測量業者と付き合いがあるため、実績もあり、信頼できる土地家屋調査士を紹介してくれます。

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