土地の測量図とは?売却・分筆で必要な地積測量図の取得方法・見方
この記事でわかること
- 3種類ある土地の測量図のそれぞれの違いがわかる
- 土地の地積測量図の見方を解説している
- 地積測量図を取得する方法、かかる費用がわかる
土地を売買したり分筆したりするときに「土地の測量図が必要になります」と言われたことがありませんか?
「土地の測量図なんて今まで見たことがない」「土地の測量をしなければいけないの?」と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。
実は、土地の測量図にはいくつか種類があります。
実際に土地の測量をしなくても、法務局で保管されている測量図を取得すればいい場合も少なくありません。
今回は、土地の測量図の中でも特に出番の多い地積測量図について、詳しく解説いたします。
目次
土地の測量図は3種類
土地の面積や高低差を機械で測り、図面に落としたものが測量図です。
土地の測量図には3種類あり、手続きなどで一番目にすることが多いのが「地積測量図」、その他に「確定測量図」「現況測量図」があります。
登記に使用される公的な図面が地積測量図
地積測量図とは、不動産登記法に定められている通り『一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるもの※』のことをいいます。
一筆の土地ごとに原則250分の1の縮尺で作成し、土地の登記簿謄本に登録されます。
※参考:不動産登記令2条3号
土地を売買する場合には、地積測量図が必要となり、これを使って売買する土地の面積だけでなく、境界の位置や境界の種類を確認することができます。
土地を売買するにあたって、もし地積測量図がない場合には新たに作成するか、買主に了承をもらって確定測量図での売買をすることになります。
相続などで土地を複数に分けることを分筆といい、また、その逆に複数の土地を一つにまとめることを合筆といいます。
分筆や合筆は地積測量図をもとにして行うため、土地を相続するときには地積測量図が必要となります。
その他、建築確認申請をする際の測量図にも多く使われます。
隣接地の所有者と境界を確定した確定測量図
確定測量図とは、土地家屋調査士が測量する土地の現地で隣接地の所有者に立ち合ってもらい、図面や境界杭をもとに土地の境界位置をお互いに確認して測量した図面のことです。
確定測量図は、隣接地の所有者と合意した書面を添付して法務局に提出すると、正確な地積測量図として登記することができます。
登記をしていなくても、土地を売買するときには確定測量図を使用することができます。
ただし、これには買主側の了解が必要となります。
また、建築の確認申請にも確定測量図を使用することができます。
境界を確定せず現況のまま測量した現況測量図
現況測量図とは、測量する土地の現地にあるブロック塀や境界杭を「これを境界としよう」と暫定的に決め、測量機器を使用して現況のまま測量した図面のことです。
現況測量図だからといって、信頼性のない図面というわけではありません。
隣地の所有者に境界の確認をしていないだけであって、境界で揉めることがなければ問題ない図面だと言えます。
そのため土地の売買では使えませんが、建築確認申請では現況測量図を使用することができます。
地積測量図は法務局で誰でも閲覧が可能
法務局に登記されている地積測量図は、登記簿謄本などと同じで誰でも閲覧・複写することができます。
そのため、必要とする所有者本人だけでなく、他の相続人や相続を依頼された弁護士、不動産業者や建築業者といった人でも手に入れることが可能です。
次に、最も汎用性の高い地積測量図について詳しく解説していきます。
地積測量図に記載されている項目・見方
地積測量図には、下記のような項目が記載されています。
- ①地番および土地の所在
- ②測量図面
- ③境界点の凡例
- ④面積を計算した求積表
- ⑤測量をした年月日
地積測量図には、①地番および土地の所在や④正確な面積、⑤測量をした年月日が記載されています。
そして、②の測量図面や③の境界点の凡例を見ることで、現地に実際にある境界杭の種類や隣地との境界線の長さや接道の長さを調べることができます。
地積測量図の取得方法・費用
地積測量図は、土地の登記簿謄本と同様、法務局で取得することができます。
実際の取得方法や、かかる費用を見ていきましょう。
法務局に出向いて取得する方法
もっとも基本的な方法は、法務局に出向いて申請書を出して取得する方法です。
以前はその土地を管轄する法務局に行く必要がありましたが、現在はどの法務局でも取得することができます。
法務局の開庁時間は平日の午前8時半から午後5時15分まで、土日祝日や年末年始期間は休みです。
地積測量図を取得する手数料は450円です。
地積測量図の申請書に必要事項を記入し、450円の収入印紙を貼付して申請します。
市役所で閲覧できる場合も
地積測量図は法務局にしかないと一般的には思われていますが、実は自治体によっては市役所で閲覧できる場合があります。
市役所の固定資産税・都市計画税を管轄する課では、その市内の公図と地積測量図を有料で閲覧できるようにしている自治体があります。
閲覧できるかどうかは自治体によって異なるため、実際には問い合わせてみると良いでしょう。
閲覧だけでなく図面の写しを取得できるサービスがある自治体もあります。
オンラインで取得する方法
法務局のホームページからオンラインで地積測量図を取得する方法もあります。
この場合は「登記情報提供サービス」というサイトを使用します。
オンラインだと平日午前8時半から午後9時まで申請でき、非常に便利です。
土日祝日も申請は可能ですが、ダウンロードを含む証明書の取得は平日になってからとなります。
ただし、オンラインでダウンロードした資料は、あくまで閲覧と同等のコピーとみなされています。
証明書として必要な場合は、オンラインで原本を指定住所に郵送する手続きをとりましょう。
オンラインで地積測量図を取得する場合、かかる手数料は以下の通りです。
- ・ダウンロードする場合 364円
- ・郵送する場合 450円
また上記の手数料とは別に、利用者登録の手数料として300円がかかります。
参考:「登記情報提供サービス」
地積測量図が登記されていない場合は土地家屋調査士に依頼
登記されている土地全てに地積測量図があるとは限りません。
登記された時期が古ければ、地積測量図がないケースが多いのです。
こういった場合は、土地家屋調査士に依頼して作成することができます。
依頼を受けた土地家屋調査士は、隣接地の所有者や道路を管轄している自治体の担当者に境界確定のための立会いをお願いします。
現地で隣地所有者や自治体の担当者の確認を得られることで、境界が確定し測量が開始できます。
地積測量図を作成するのにかかる期間は、おおよそ1か月半から3か月程度です。
これは立ち合いの調整に時間がかかるためですが、もし境界について隣接地の所有者と合意が得られないとなると、これ以上かかることもあります。
不動産を売却するために境界確定測量を依頼するのであれば、充分に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
まとめ
土地を売却したり、分筆合筆したりするときに必要になる地積測量図ですが、普段は使用することが少ないため、見たことがないという方も多いものです。
いざ必要となったときに、どうやって取得すればいいかわからないと慌ててしまいます。
今はインターネット申請で簡単に取得することができますので、サイトをしっかりとチェックしておきましょう。
もし地積測量図が登記されていなかった場合、新たに作成するのにはかなり時間がかかります。
所有する土地について、地積測量図が登記されているかどうかを確認しておくことも大切です。