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鉄骨造の耐用年数はどれくらい?法定用年数と実際の寿命の違いとは

鉄骨造の法定耐用年数は19~34年!実際の寿命との違いや減価償却の方法も

この記事でわかること

  • 法定耐用年数と実際の耐用年数の違いがわかる
  • 鉄骨造のメリット・デメリットがわかる
  • 法定耐用年数を超えた鉄骨造の購入、売却について解説している

鉄骨造の建物というと、木造の建物に比べて長持ちしそうなイメージがありますよね。

鉄骨造の建物は、主要構造部が鉄鋼であるため、木造の建物より長期間使用に耐えることができます。

また、鉄骨造の建物は木造の建物より長い「法定耐用年数」が定められています

今回は、鉄骨造の法定耐用年数について、実際の耐用年数との違いや減価償却の計算の仕方などを詳しく解説しています。

また、鉄骨造の建物を建てることのメリット、デメリットなどについても解説していきます。

鉄骨造の耐用年数には2種類ある

耐用年数とは、建物などの償却資産が使用に耐えうる年数のことをいいます。

しかし、厳密にいうと耐用年数には「実際の耐用年数」と「法定耐用年数」の2種類あるのです。

実際の耐用年数建物が物理的に耐えられる年数
法定耐用年数税務上必要な減価償却費を算出するために定められている年数

実際の耐用年数とは、建物は経年によって劣化し、最終的に使用できなくなるまでの年数のことを指します。

そして法定耐用年数とは、税務上必要な減価償却費を算出するために定められている年数のことです。

アパートなどの収益物件を所有している場合、その物件の取得費を経費として計上することができますが、初年度に全額計上するのではなく建物の法定耐用年数で割って毎年計上することができます。

鉄骨造の法定耐用年数は19~34年

鉄骨造の法定耐用年数は、だいたい19年〜34年です。

鋼材の厚みによって法定耐用年数が分かれており、3mm以下のもの、3mmを超えて4mm以下のもの、4mmを超えるもので、それぞれ年数が異なります。

また建物の用途が居住用か、事業用かによっても法定耐用年数が変わるので注意しましょう。

以下の表は、居住用の建物について、木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造それぞれの法定耐用年数をまとめたものです。

構造法定耐用年数
木造22年
鉄筋コンクリート造47年
鉄骨造鋼材の厚み
4mmを超えるもの34年
3mm超、4mm以下のもの27年
3mm以下のもの19年

参考:国税庁:建物の耐用年数

鉄骨造の実際の寿命は50~60年程度

実際に鉄骨造の建物はどのくらいの年数使用できるのでしょうか。

立地やメンテナンス状況によって異なりますが、一般的には50年から60年程度は使用できると考えられています。

また、構造躯体だけを残してリフォームするなどすれば、100年使用することも可能でしょう。

ただし、海風などの影響で構造躯体がさびてしまった場合や、雨漏りなどの浸水があり鉄骨部分にダメージがあるような場合には、そこまでの長期間の使用はできません。

そもそも鉄骨造とは

法定耐用年数で見ると、鉄骨造は鉄筋コンクリート造より短く、木造より長くなっています。

鉄骨造はスチールのSをとって「S造」とも呼ばれます。

鉄骨造は鉄鋼の柱を利用した建物の構造のことですが、鉄鋼材の厚みによって「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分かれます

鋼材の厚みが6㎜以下のものは「軽量鉄骨造」、6mmを超えるものは「重量鉄骨造」と呼ばれます。

また単に「鉄骨造」「S造」というと重量鉄骨造のことを指すことが一般的です。

【種類別】鉄骨造のメリット・デメリット

先ほど解説したように、鉄骨造には軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。

それぞれの鉄骨造にはメリットとデメリットがあるので詳しく解説していきます。

軽量鉄骨造のメリット・デメリット

軽量鉄骨造は、主に2~3階建ての自宅やアパートの建築に採用されます。

材料が軽く扱いやすいのが特徴です。

あらかじめ工場で大部分を製造しておき、現場では組み立てのみを行う「プレハブ工法」が主に使われています。

工期が短い上に現場施工によるミスが起きづらいのがメリットです。

またデメリットとしては、木造よりは施工費が高くなる点です。

重量鉄骨造のメリット・デメリット

重量鉄骨造は、高層から中層、低層まで幅広く採用されます。

具体例としては、ホームセンターなどの広い店舗、10階建ての事務所ビルなどがあります。

鉄の柱や梁は広いスパンの建物や高層の建物に適しており、柱のない広い空間を造れるからで、この点がメリットということができます。

ただし、鉄筋コンクリート造に比べると遮音性が低くなるのがデメリットです。

そのため、分譲マンションなど集合住宅には不向きな場合もあります。

法的定耐用年数を用いて鉄骨造の建物の減価償却をする方法

法定耐用年数は建物などの償却資産を減価償却するために定められました。

築年数が経過した鉄骨造の建物を購入する場合は、減価償却および法定耐用年数はどうなるのでしょうか。

具体例とともに解説します。

築20年の鉄骨造を購入した場合

事例1

  • 構造:軽量鉄骨造(鉄骨の厚み4mm以下)
  • 築年数:20年
  • 法定耐用年数:27年
  • 取得費:3000万円

中古の物件を購入する場合、以下の式で耐用年数および減価償却費を計算します。

耐用年数①を求める式:
(法定耐用年数 - 築年数) + 築年数 × 20%…①

減価償却費②を求める式:
取得費 × 耐用年数①に適用する償却率…②

事例1の条件を当てはめると、下記になります。

(27年 - 20年) + 20年 × 20% = 11年…①

耐用年数11年に適用する償却率※は0.091なので、

3000万円 × 0.091 = 273万円

となります。

年間273万円を11年間かけて減価償却します。

築35年の鉄骨造を購入した場合

事例2

  • 構造:重量鉄骨造
  • 築年数:35年
  • 法定耐用年数:32年
  • 取得費:3500万円

耐用年数を超えた物件を購入する場合、以下の式で耐用年数および減価償却費を計算します。

耐用年数①を求める式:
法定耐用年数 × 20%…①

減価償却費②を求める式:
取得費 × 耐用年数①に適用する償却率…②

事例2の条件を当てはめると、下記になります。

32年 × 20% = 6年…① ※端数は切り捨てます。

耐用年数6年に適用する償却率※は0.167なので、

3500万円 × 0.091 = 584.5万円

となります。

年間584.5万円を6年間かけて減価償却します。

※耐用年数と償却率の表
参考:国税庁:償却率

法定耐用年数を超えた鉄骨造の建物のリスク

法定耐用年数を超えた物件は、安い金額で売却されるのが一般的です。

特に木造ではなく鉄骨造であれば、丈夫で長持ちするイメージがあるので購入を検討したくなります。

しかし、法定耐用年数を超えた物件を購入するにはそれなりのリスクがあることを覚えておきましょう。

ローン審査が通らないリスク

住宅ローンを組む場合、金融機関は土地と建物に抵当権を設定します。

この抵当権は、万が一ローン返済ができなくなった場合に土地と建物を競売などにかけて借入金を回収するためのものです。

法定耐用年数を超えている物件の場合、建物に価値をつけるのは難しく土地のみでの査定となることが多くなります。

そのため、ローンの審査が満額で通る可能性が少なくなるのです。

購入する物件が居住用でなく事業用である場合はさらにシビアです。

事業用のローンは、耐用年数イコール返済期間としているケースが多く、耐用年数を超えた物件は対象外となることもあります。

ただし事業用の場合も、土地の価格が高かったり物件の収益性が高かったりする場合はローン審査が通る可能性があります。

建物の不具合が出るリスク

法定耐用年数を超えていても、きちんとメンテナンスがされていれば何十年と使用することができるという話をしました。

逆に言えば、メンテナンスのされていない建物が法定耐用年数を超えると、多くの不具合が出てくる可能性が高まるということです。

雨漏りにつながる外壁・屋根の不具合

鉄骨造の建物はいわゆる陸屋根という平らな屋根であることが多いですが、屋根に勾配がないので水や汚れがたまりやすく、不具合にもつながります

さらに屋上のシート防水が劣化したり、排水口が詰まっていたりすると雨漏りの原因となります。

物件をチェックする際は、必ず室内の天井や屋上の床をしっかりと点検しましょう。

また、外壁の劣化も水が浸入する原因となります。

外壁そのもののヒビをチェックするだけでなく、窓や換気扇などと外壁とのつなぎ目の劣化にも目を配りましょう。

鉄骨造の建物の寿命を長くするメンテナンス方法

鉄骨造の建物を長持ちさせたい場合には、定期的にメンテナンスを行う必要があります。

建物の外と中の両方をしっかりメンテナンスすることで、耐用年数を超えて使用することが可能になります。

外壁・屋根・バルコニー

外から侵入する雨水を防ぐのに重要な役割を果たす外壁・屋根・バルコニーはもっとも重要な項目です。

点検も含め10年ごとにメンテナンスするのが理想的でしょう。

メンテナンス項目としては、外壁や屋根の塗装・シールの張替え・防水シートの張替えが主になります。

キッチン・浴室・トイレ

キッチン・浴室・トイレといった水回り設備も、建物を長持ちさせるのに重要です。

室内で水漏れが起きた場合、躯体に少なからず影響を与えるからです。

劣化や故障があったときにこまめに修繕することはもちろん、15年から20年をめどに設備の交換を行いましょう。

床・壁

壁クロスの汚れやフローリング床の日焼けといった内装の劣化は、建物本体にさほど影響はしません。

しかし、建物を売りに出す場合には内装の状態も重要になってきます。

10年ごとに張替えや修理といったメンテナンスを行うとよいでしょう。

耐用年数を超えた鉄骨造の建物の売却方法

耐用年数を超えた鉄骨造の建物を売却する場合、買主がつかず売却期間が長期にわたってしまうことがあります。

そうならないように、耐用年数を超えた建物を売却する場合の方法をまとめました。

リフォームして売却する

耐用年数を超えているからといって、居住に適さないわけではありません。

買主に魅力的だと思ってもらえるリフォームをすることで、早期売却が可能になります。

壁クロス、床の修繕、水回り設備の修理・交換など、必要な項目を不動産業者と相談しながらリフォームしましょう。

リフォーム後賃貸して売却する方法も

もし立地が良ければ、リフォームした建物を賃貸して、オーナーチェンジ物件として売却する方法もあります。

賃料収入があることで、売却期間が延びてしまってもカバーできるなどのメリットがあります。

ただし、法定耐用年数を超えた事業用不動産は居住用に比べてローンが厳しいのは前述したとおりです。

事業用不動産の需要がある立地かどうか、見極めることが大切です。

解体して更地で売却する

耐用年数を超えている建物は金融機関が評価しないため、満額のローン審査は通らないことがほとんどです。

鉄骨造の場合は木造より解体費用がかかるため、買主が購入を控える原因となります。

売主側の費用で解体して更地にしてしまうことで、買主がアパートなど他の用途で購入を検討することができ、スムーズな売却につながる可能性が高くなります。

まとめ

鉄骨造の建物について、法定耐用年数から減価償却、メリット、デメリットなど詳しく解説しました。

木造に比べて、プランの柔軟性も高く建物が長持ちする鉄骨造には、メリットが沢山あります。

しかしその反面、屋根や外壁のメンテナンス費用や、解体費用が高いというデメリットもあります。

特に屋根の防水工事はしっかりと行う必要があります。

長期的に使用する建物であれば鉄骨造は良い選択ですが、メンテナンスなどの費用は当初からしっかりと計画し、別途確保しておきましょう。

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