マンションの3つの査定方法とは?査定額に影響する要素と高額査定のコツも紹介
この記事でわかること
- 査定方法について理解できる
- 高額査定に結びつける準備ができる
- 査定額に影響する要素がわかる
マンションの売却を検討した場合、具体的な売却価格を知るためには査定業者に依頼をして訪問してもらう必要があります。
インターネットサイトで簡単な情報を入力して査定金額を知る方法もありますが、固有の条件が反映されないことから、金額の幅が大きく実際の査定額とは隔たりがあり、参考程度にしかなりません。
そこで今回はマンションの査定方法や、業者が査定を行う際にチェックするポイントを理解して高額査定をしてもらうためのコツを解説します。
目次
マンションの査定と売却までの期間
マンションの査定を業者に依頼してから実際に売却出来るまで、期間がどのくらいかかるのか誰しもが気になるところです。
そこで業者選びから始めて査定金額が提出されるまでの期間と、実際に販売を開始してから売却出来るまでの期間を下記の7つに分けてステップごとに解説します。
- 1.査定業者を選ぶ
- 2.必要書類を準備する
- 3.査定業者に連絡する
- 4.訪問査定を実施してもらう
- 5.査定書の説明を受けて売り出し価格を決定する
- 6.販売活動を開始する
- 7.購入希望者と条件を調整して売買契約する
査定業者を選ぶ
最初は、依頼する査定業者を選ぶ作業です。
試しにインターネット検索で「マンション査定」と打ち込んでみると、AI査定から簡易査定アプリの紹介まで沢山の数がヒットします。
更に条件を絞り込んで業者を検索しても、日頃なじみのない、名前も知らない不動産業者が数多くヒットします。
ネット検索で業者を絞り込むコツは「査定場所とマンション査定業者」を入力して、エリアで活動している業者が絞りこむことです。
表示される検索ページでは、5ページぐらいまでの業者をピックアップします。
有料の広告ページを除き、検索上位で掲載される業者のホームページは、サイトが適度に更新されていると推測することが出来ます。
そこから各会社のホームページを開き、取り扱いマンションの数や、サイト全体の作り込みなどを見て行きます。
マンション高額査定をトップページに掲載しているのに、取り扱い物件でマンションが掲示されていない、あったとしても分かりにくい表現をしている会社は候補から外します。
業者を選ぶ際には、その会社のホームページの構成や造り込みは選択基準の大切な要素です。
じっくりと確認しながら、自分と感性の合う依頼会社を決定しましょう。
またホームページだけではなく、新聞の折り込み広告や、不動産情報誌の掲載状況も併せて確認します。
「査定業者は複数選ぶ」が、高額査定のポイントです。
最低でも2~3社を選びましょう。
必要書類を準備する
査定を依頼する業者を選ぶ作業と同時に進めていただきたいのが、査定に必要な書類の準備です。
正確には伝達すべき情報の整理と、書類の用意に分かれますが、それぞれを詳細に解説します。
基本情報をまとめる
物件所在地・マンション名・マンション㎡数・部屋番号のほか、連絡先をまとめておきます。
手元に分譲時の販売パンフレットがあれば予め準備しておきましょう。
残高証明を準備する
金融機関から発行されている償還予定表の写しを準備します。
手元になければ、借入先の金融機関に連絡をして残高証明書を発行してもらいましょう。
売却をして、売却額が借入額を上回れば問題がないのですが、逆の場合には抵当権を抹消するために現金を用意するなど予め方法を考えておかなければなりません。
メンテナンス記録を準備する
リフォーム工事を実施した場合や、設備機器の交換を行った場合には図面やパンフレット、工事内容などの記録を準備しておきましょう。
特にリフォーム工事は、時期や変更箇所工事内容に金額など出来る限り詳細に準備することにより、高額査定の期待が持てるようになります。
それ以外にもPR出来る部分についてはメモでまとめておくなど、情報を伝達できる準備をしておきます。
その他の伝達事項
有利な情報だけではなく、不利益な情報も正しく伝える必要があります。
特に「心理的瑕疵」と呼ばれる過去にあった事件や事故・自殺などの情報は、査定業者の調査では発覚しにくいことからつい言わないで済ませようという心理が働きがちですが、絶対にいけません。
売買契約後に発覚した場合には「その情報を予め知っていれば、購入をしていなかった」との買主主張により裁判になり、損害賠償請求事件に発展します。
この「心理的瑕疵」は人間心理に起因することから時効の概念もなく、安易に判断できることではありません。
不動産のプロである査定業者に予め相談する必要があります。
査定業者に連絡する
書類の準備と査定依頼を行う業者を決定すれば、訪問査定の日時を調整します。
査定に必要な時間については会社により多少のバラつきもありますが、概ね60分以内がほとんどです。
連絡方法についてはインターネットを経由しての業者メールでも構いませんし、もちろん電話でもかまいません。
業者の件数と時間・ご自分のスケジュールを調整して連絡しましょう。
訪問査定を実施してもらう
査定時には各居室や水回りなど全てをチェックされます。
最低限、見られても恥ずかしくない程度で構いませんが清掃は心がけましょう。
また査定時には、査定に影響を与えるプラスポイントは積極的にアピールするようにしたいものです。
査定書の説明を受けて売り出し価格を決定する
業者による訪問査定が終了すると、概ね1週間前後で査定書が出来上がったとの連絡が入ります。
査定書はメールや郵送・訪問してもらい説明を受けるなどの方法がありますが、慣れないうちは業者に訪問説明を受けましょう。
査定書は査定額が記載された面と、その査定額に至った根拠ならびにそれらの添付書類で構成されています。
大切なのは査定額に違いありませんが、その金額を算出する方法についての説明を聞くことにより、査定に対する理解が深まります。
路線価や取引事例・固定資産評価や市場流通性など、普段では聞きなれない言葉が査定書に記載されていますが、納得がいくまで説明を受けるようにしましょう。
販売活動を開始する
査定額に納得が出来て、依頼する業者も決まったらいよいよ販売活動の開始です。
ただしその前に、媒介契約を締結しなければなりません。
媒介契約とは、宅地建物取引業で定められている「売って下さい」「探してください」の依頼を受けた場合に、仲介業者がそれぞれ買主・売主と締結する依頼内容を証した契約書です。
売るための媒介契約には専属選任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。
これらの契約は、それぞれ売却活動の報告方法や、流通機構の登録などが異なりますが、契約期間はどれも最長で3か月以内と決められています。
それぞれの媒介契約の違いと業務処理状況報告書について下記で解説します。
専属選任媒介契約
売主・業者双方にとって最も厳格な媒介契約になります。
依頼できる業者は1社のみで、売主が自ら見つけた買主と取引することも禁止されています。
流通機構への登録は契約締結後5日以内で、業務処理状況報告書は7日に1回以上行われることになっています。
専任媒介契約
業者が最も勧めてくるのは、この専任媒介契約です。
依頼できる業者は1社のみですが、売主が自ら見つけた買主と取引することが出来ます。
流通機構への登録は契約締結後7日以内で、業務処理状況報告書は14日に1回以上行われることになっています。
一般媒介契約
売主・業者双方にとって最も自由な媒介契約になります。
依頼できる業者に制限はありません。
流通機構への登録義務も、業務処理状況報告書の必要もありません。
もちろん、業者の任意による登録・報告は可能です。
流通機構とは
一般的に「レインズ(REINS)」と呼ばれる、国土交通省から指定を受けた不動産流機構が運営しているコンピュータネットワークシステムのことです。
不動産業者は宅地建物取引業法に基づき、このシステムに指定期間以内に登録をして、情報を共有し不動産売買を活性化することを目的として運営されています。
業務処理状況報告書とは
業者が実際に行った販売活動について、宅地建物取引業法に定められた一定期間に報告が義務付けされている報告書です。
基本的には下記のような内容が報告されます。
- 1.具体的な販売活動・広告活動の内容
- 2.資料請求・問い合わせの件数
- 3.案内件数
- 4.内見実施後の進捗状況
- 5.その他、販売活動に関する提言等
購入希望者と条件を調整して売買契約する
業者選びから始まったマンション売却も、内見した購入希望者と価格・条件などが合意に至れば売買契約締結を経て、決済・引き渡しへと進みます。
ここまでの時間的な流れを簡単に下記にまとめてみました。
- ・業者選定・書類の準備 1~2週間
- ・訪問査定から査定書の提出 1~2週間
- ・売り出し開始から契約まで 10週間~
- ・契約から引き渡しまで 4週間~
売り出し開始から成約までの期間については、すぐに売れる場合もあれば1年以上かかることもあることから一概には言えないのですが、査定額はプロである不動産業者が「概ね3か月以内に販売できる価格」として値付けしています。
長期でも販売が出来ない場合には値付けも含めて何らかの問題があると考えるべきでしょう。
実際に、売り出して1週目に購入希望者が現れて、逆に慌てたという話もよくあります。
契約になると買主側との調整が必要ですし、引き渡しの転居準備などもありますから、査定から最短で何週間と言う言い方は出来ませんが、概ね3か月以上が一つの目安かも知れません。
すぐに金額を知れる「ネット査定」と正確な金額を知れる「訪問査定」
マンション査定を依頼する前に、おおよその金額を知る意味でのネット査定は目安を知る一つの方法と言えます。
訪問査定についてはこれまでに詳しく解説させて戴きましたので、ここではネット査定のシステムや査定方法について解説します。
ネット査定の仕組み
所在地・面積・築年数などおおまかなマンションの情報を入力するだけで金額を知ることが出来るネット査定ですが、この手法は不動産業者の間では机上査定もしくは簡易査定と呼ばれる手法をシステム化したものです。
入力された類似物件の売買価格や市場データなどを用いて、査定額を算出します。
手軽に利用が出来ますし、目安金額を知ることが出来る便利な方法ではありますが、訪問査定と比較するとマンションごとに異なるプラス要因などの固有条件を反映することが出来ませんので、どうしても精度が低くなります。
ネット査定のシステムによっては、訪問査定と比較して査定額で200~300万円の誤差が生じることがあります。
ネット査定を目安とする場合には3~4のネット査定システムで金額を算出し、その平均を査定額の目安とする程度だと考えた方がよいでしょう。
査定方法は物件により変わる
査定額の算出方法の代表的なものとしては取引事例比較法・原価法・収益還元法の3つがあります。
それぞれの方法について解説します。
取引事例比較法
査定する不動産と条件が似ている物件の成約事例を探して、査定物件との違いを「評点」と呼ばれる点数でそれぞれ比較し「和」を求めます。
得られた和をもとに下記の計算式で算出します。
事例の単価(㎡/円)×(査定評点÷事例評点)×査定マンション㎡数×流動性比率
評点の対象は査定業者によって異なりますが、駅までの距離などの交通便・近隣環境・眺望・景観・専有面積・管理状況・室内状況など基本的な比較は、どの査定業者でも行います。
マンションに限らず、一般的な査定には最も多く使用されるのがこの取引事例比較法です。
原価法
建物について、現時点の建築価格で同程度の再建築を行った場合の価格から、築年数に応じた減価修正を行って価格を求める方法です。
マンション査定で採用されることは少なく、主に中古戸建などの査定に採用されます。
収益還元法
賃貸不動産が将来的に生み出す収益期待値から金額を算出する方法です。
年間の還元利回りから算出する直接還元法や、一定の投資期間に得られる収益とその後の物件予想額から算出するDCF法が用いられます。
査定額へ影響する点の確認
査定額に影響を与える要因として2つあります。
一つは、内部要因である専有部分が持つ特徴です。
つまり部屋の状態や眺望、リフォームの有無などその部屋自身が持つ特徴です。
これには専有部分に限らす、共有部分の施設状況や管理体制なども広義の意味では含まれます。
もう一つが、外部要因と呼ばれる周辺の相場や、査定時点の経済状況などです。
ここでは売り出し時期の検討に必要な外部要因について解説します。
影響を与える外部要因
マンション売却を検討して査定を考える際に気をつけて欲しいのが、外部要因です。
専有部分についてはある程度、自分自身で高額査定のために意識して状態を保つことも出来ますが、外部要因については個人の力が及ぶところではありません。
売却を検討する際には、下記で説明する外部要因も把握して検討したいところです。
周辺物件の価格動向
近隣のマンションの販売数が多いと、需要と供給のバランスが取れずに査定額が下がることがあります。
どうしても売却しなければならない理由が存在しなければ、供給が不足している時期に依頼をする方が査定額も高くなります。
周辺の開発状況
近隣で大型商業施設の建築が計画される、駅の誘致が検討されているなど周辺の開発期待値が上がると周辺の土地相場が上昇します。
これにつられて近隣マンションの販売価格も上昇します。
反対に駅直結の大型分譲マンションが予定される、マンション隣地に高層の商業ビルが建築されて眺望や日照に影響を与えるようになると価格が下落します。
相場に影響を与える近隣情報は、常に収集するようにしておきましょう。
査定時の景気動向
景気動向も査定額に影響を与える要因です。
先行き不透明感が根強いと、全国的に中古市場が低迷しますし、逆に高揚感が高いと相場が上昇します。
高額査定をしてもらうための簡単なコツ
マンションを高額査定してもらうためにはいくつかのコツが存在します。
同じマンションの販売事例でも、㎡単価でみた場合に高く売却出来た事例と低い事例が存在するのは、販売時期などの外部要因による場合もありますが、売主が心がけたちょっとしたコツによる場合もあります。
ここでは高値査定をしてもらうための3つのコツについて解説します。
部屋をきれいにして印象を良くする
常にきれいに整頓された室内は、誰が見ても好印象です。
家具などの調度品を新しくする必要なもちろんありませんが、部屋を広く見せるためにレイアウトを変更したり、照明の角度を調整したりすることは特に費用を掛けなくても行えます。
また常時清掃も心がけ次第です。
査定時も含めて、購入希望者の内覧時にもこのような点に気を付けて印象をよくすることにより、査定額も含めて有利な売却につながります。
外部要因を把握して適切な時期に査定依頼する
自分自身では何ともしがたい外部要因ですが、積極的に情報を仕入れて査定時期や販売開始時期を調整することは出来ます。
不動産売却は情報が大切であると理解しましょう。
魅力をアピールする資料を準備する
査定時に箇条書きで伝達するだけでも構いませんが、リフォーム工事の実施状況やアピールポイントを見やすくビジュアル化した資料にすることで印象がよくなり査定金額に影響を与えます。
見やすい資料は、査定業者の印象もよくしますし、購入検討している内覧者に手渡ししてもよいかもしれません。
また専有部分に限らず共有施設の有効的な利用方法や、マンションならではの利点など思いつくままに積極的にアピールする方法を考えてみましょう。
まとめ
これまでのご説明したように、マンション査定には自分の心がけ次第で印象をよく出来ることもあれば、外部要因など個人ではどうしようもない要素も含めて査定額に反映されます。
しかし、ご自分で出来る事前の準備を詳細に行っておくことで、査定額も高くなり契約までの時間短縮や、好条件での売却が可能になります。
事前準備は結果的には査定業者とよい関係を築くきっかけにもなります。
事前の準備を入念に行い、自らが選んだ信頼のおける不動産業者とよい関係を構築し、アドバイスしてもらいながら内覧者にも好印象を与えることが、結果的には高値査定を実現し、有利な条件で売却が出来るコツだと言えるでしょう。