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不動産売却の境界確定測量とは|必要性や費用・流れを解説

不動産売却の境界確定測量とは|必要性や費用・流れを解説

この記事でわかること

  • 不動産売却をするときに境界確定測量が必要な理由がわかる
  • 境界確定測量にかかる費用と高くなるケースがわかる
  • 境界確定測量の流れとかかる期間がわかる

自宅の一戸建てや相続した空き家を売却しようとしたとき、不動産業者から「境界確定測量をしましょう」といわれた方は多いでしょう。

「境界確定測量」とはあまり聞きなれない言葉ですが、その名のとおり土地の境界を確定する測量のことです。

土地や土地付きの不動産を売却する場合、土地の面積によって売却価格は大きく変わります。

土地の面積を測り土地と土地の境界を所有者間で確定させるのが、境界確定測量です。

「測量を入れたほうがいいような気はするけど、費用も高そうだしどうしよう」と悩んでいる方のために、ここでは不動産を売却するときに境界確定測量が必要な理由を解説します。

あわせて測量にかかる費用、測量の流れおよび期間を見ていくので参考にしてください。

境界確定測量とは?

土地の寸法や面積を測ることを測量といい、それを図面に起こしたものを測量図面といいます。

道路や空き地で、カメラのような測量機器を使って作業をしている二人組を見たことはありませんか。

あれはトランシットと呼ばれる、一般的な測量機器を使用しているのです。

測量には大きく現況測量、境界確定測量の2種類があり、それぞれ目的によって使い分けられています。

現況測量とは現況のまま測量すること

現況測量とは、現地にあるブロック塀や境界杭をポイントとし、測量機器を使用して現況のまま測量することです。

土地の寸法や面積を出すことで土地の売却価格を計算したり、その土地にどのくらいの大きさの建物が建てられるか検討したりできます。

境界確定測量とは測量して境界を確定すること

境界確定測量とは?

現況測量が現地をそのまま測るのに対して、境界確定測量の場合は現地で隣接地の所有者に立ち合いが必要です。

図面や境界杭をもとに土地の境界位置をお互いに確認し決める目的で行われます。

作成した測量図は、隣接地の所有者と合意した書面を添付して、正確な測量図面として法務局に登記できます。

測量図の違い一覧

土地を売却する際に使用する測量図には現況測量図、地積測量図、確定測量図の3種類があります。

3種類の特徴と違いは、下表のとおりです。

測量図の種類主な特徴隣接地所有者の立会
現況測量図簡易的に測量したもの。
取引時などに正式な効力はない
なし
地積測量図公的な測量図だが、登録時期が古いものは隣接地の合意が得られていない可能性もある場合によっては
立会を行う
確定測量図立会が完了して境界の確定が完了しているもの。
該当不動産の所有者だけが所持している
あり

不動産の売却を検討するときは、3種類の測量図について違いを把握しておきましょう。

測量が必要な理由と境界を確定しないリスクについて

測量が必要な理由と境界を確定しないリスク

不動産を売却する際に境界確定測量をすることで、正確な土地の面積や境界が確定でき、契約後のトラブルなどを防げます。

原則として、不動産取引の際に土地の境界確定がされていることは必須です。

特に、買主が自分で住むための戸建ての売買契約では、境界の確定が条件となることもあります。

とはいえ、その土地の属性や売買契約の目的によっては、売主が境界確定測量を入れる必要ない場合もあります。

地価が低い土地は境界確定測量が不要なことも

不動産を売却する際、境界確定測量をせずに契約及び引き渡しが行われることがあります。

たとえば、郊外の山の中や海の近くなど、極端に地価が低い土地を売却する場合です。

土地の価格が安く、1坪数万円というような場合は、境界確定をするメリットより費用と時間がかかるというデメリットのほうが上回ってしまうため、境界確定をしないこともあります。

また、最近開発された住宅用地だと、すでに正確な境界確定図面が登記されています。

その際は、売主が法務局で図面を請求することが多いです。

あるいは、不動産売却時に買主との合意があれば、土地を売却する際に公簿面積をもとに価格を決定するという条件を付けて、境界確定測量を入れないこともあります。

売買契約の後に買主による実測をして面積に差異があったとしても、その分の金額の精算は行わないという特約を付帯することが多いです。

これは居住することを目的とした戸建てではなく、事務所や工場といった事業用不動産のケースがほとんどです。

都市部の住宅地の売却には境界確定測量が必要

一般的に、土地の境界でトラブルが起きる可能性が高いのは都市部の住宅地です。

駐車する位置や植木の越境など、土地の境界は最もトラブルになりやすいため注意しなければいけません。

境界があいまいだったり境界標がなくなっていたりする土地を売却する場合には、境界確定が必須です。

また、土地に境界を示すものがある場合でも、地価の高い土地については境界確定測量をする必要があります。

地価が高い土地の場合、登記簿上の面積と実際の面積の差異が金額に大きな影響を及ぼすからです。

測量が必要な土地・不要な土地まとめ

測量が必要な土地と不要な土地について、下表にまとめました。

測量が必要な土地測量が不要な土地
・境界が不明確である
・最後の測量から年月が経っている
・境界杭やフェンス・塀がない
・市街地のため、土地の評価が高い
・抵当権の設定を検討している
・相続税で物納する
・新規に分譲され、境界が明確
・広大で地価の低い、地方の土地
・測量の費用が地価よりも高い
・行政が承認するまで時間を要する

まず、土地の境界が不明確の場合、住宅地ではトラブルの原因となります。

そのため、不明確だったり最後の測量から年月が経っていたりするときには、改めて測量を行って境界を確定させておくべきです。

また、評価が高い土地では、わずかの誤差でも資産価値が大きく変わります。

抵当権の設定や物納の際も、資産価値をはっきりさせるために測量が必要です。

その反面、地方の広大な土地など評価が低い土地の場合、地価と比較して測量を行う費用が高くつきます。

売却する際も、測量を行って境界を確定させるだけの価値が得られません。

そのほか、境界の確定に行政の承認が必要なときは時間を要するため、買主と合意すれば確定測量が完了する前に売却でき、測量の必要はなくなります。

境界確定測量なしにする場合のリスク

境界を確定しないで土地の売買をした場合、「隣接地の所有者と土地の境界線についてもめる」「土地の境界杭が破損、紛失してしまい境界がわからなくなる」といったトラブルが想定されます。

そのため、境界確定をしていない土地については買主が敬遠することが多いです。

また買主側の不動産業者も敬遠するため、そういった土地はなかなか売れません。

不動産売却の境界確定測量は測量士・土地家屋調査士に依頼する

土地の測量ができる技術資格者は、「測量士」と「土地家屋調査士」です。

測量を依頼する場合、測量の目的によって依頼する対象が異なります。

現況測量を依頼する場合は測量士ですが、不動産売却に必要な境界確定測量は、土地家屋調査士に依頼します。

測量士・測量の技術者
・国土交通省管轄の国家資格
・登記を目的とする測量はできない
土地家屋調査士・土地の境界・用途を調べ登記する
・法務省管轄の国家資格
・土地や建物の表示に関する登記を独占業務とする

境界標と境界の種類を理解しておこう

境界標や境界の種類について理解しておくことは、土地を所有するうえでも大切です。

ここから詳しく解説します。

境界標とは

境界標とは、境界が確定した際に境界点に設置される目印のことです。

境界標の素材には、金属プレートやプラスチック、木材やコンクリートなどが使用されています。

境界点は、矢印の指す先や線が交差する点によって表されます。

また、設置された境界標は動かせません。

故意に移動させたり破損させたりする行為は、法に触れるものです。

境界標がなくなると境界の確認ができなくなるため、土地所有者は境界標を維持管理しなければいけないルールになっています。

所有権界・筆界とは

境界を指す言葉として、所有権界と筆界があります。

所有権が異なる土地の境目は所有権界と呼ばれますが、不動産登記法上においては、この境目は筆界と呼ばれます。

所有権界とは、民法上の所有権の境目を指したものです。

その線は所有権の及ぶ範囲を示しており、所有者同士が合意したときには変更できます。

筆界とは、不動産登記法によると、登記された土地の外線を指すものとされています。

筆界は公法上の境界と呼ばれるもので、登記をしなければ境界は変更できません。

所有権界と筆界は本来一致しなければならないものですが、異なったものであるとされた判例もあります。

所有権界と筆界が異なっていると争いが起きる可能性があるため、注意が必要です。

官民地境界明示について

所有する土地が隣接しているのは、民間の所有地だけでなく道路や水路であるケースもあります。

国や公共団体が所有する公有地と接している土地の確定測量を行ったときは、公有地との境界を確定させなければなりません。

このときの作業を官民地境界明示といいます。

官民地境界明示を行うためには、資格を有した土地家屋調査士が該当する土地を管轄する役所に申請する必要があります。

その後、立ち合いを求めて境界を確認し、明示図画を作成して承認を得なければなりません。

筆界特定制度とは

筆界特定制度とは、境界を接する隣人との話し合いや土地家屋調査士による調査を通じても境界が確定しないときに利用できる公的な制度です。

不動産登記法が2006年に改正された際にできた制度で、裁判を起こさず解決できます。

まず土地所有者が申請を行い、外部の専門家で構成された筆界調査委員の意見を踏まえ、筆界特定登記官が土地の境界点を特定します。

費用は手数料と測量費用などで数十万円、期間は6カ月から1年程度です。

確定測量にかかる一般的な相場とは

不動産売却の際に境界確定をする場合、測量費用はどのくらいかかるのでしょうか。

一般的には、現況測量を依頼する場合かかる費用は100坪以下の土地で50万円前後が相場だと言われています。

現況測量より高い境界確定測量の費用

一方、境界確定をする測量費用は、100坪以下の土地で70万円前後が相場となり、現況測量に比べて約4割も高額となっています。

境界確定の測量費用はなぜ割高になるのでしょうか。

境界確定測量は現況測量と異なり、隣接地の所有者との立ち合いが必要です。

隣接地が道路や水路といった行政の所有である場合は、所有している行政担当者とスケジュールを調整しなければなりません。

そういった手間があるため、境界確定する測量費用は割高になるようです。

もし隣接地の所有者とすでに境界についてもめているようであれば、さらに費用はかかります。

また、土地面積が100坪を超す場合や測量しにくい形状である場合、土地についての資料がまったくない場合などのイレギュラーなケースは、測量費用がさらにかさむことも多いので注意しましょう。

境界確定測量の具体的な流れとは

境界確定測量の具体的な業務の流れ

必要書類の提出

売主から土地家屋調査士に提出が必要な書類は以下のとおりです。

売主から土地家屋調査士に提出する書類

  • 公図
  • 登記簿謄本
  • 共同担保目録
  • 地積測量図
  • 建物図面

法務局や役所で取得できますが、すべての書類があるとは限りません。

しばらく登記をしていない土地だと、地積測量図や建物図面がないことも多いです。

隣接地の所有者と日程調整

土地家屋調査士から隣接地の所有者、もしくは行政の担当者に境界確定測量のための現地での立ち合いをお願いします。

所有者といってもそこに住んでいる人ばかりではないため、日時設定には時間がかかることがあります。

現況測量

法務局で取得した資料を参考に、現地にて現況の調査、確認をします。

この時点で、境界の印となるものがなければ、仮の境界杭を設置します。

立ち合いのもと境界確定

隣接地の所有者、もしくは行政の担当者の立ち合いのもと、境界の位置を確定させます。

境界について合意できたら、境界標を設置する流れです。

測量図及び登記確認書の作成

土地家屋調査士が合意を得た境界線をもとに土地境界確定図面を作成します。

登記申請

土地家屋調査士が確定測量図面に境界確認書面を添付して、法務局で登記申請を行います。

確定測量にかかる期間

境界確定測量にかかる期間はおおよそ1か月半から3か月程度です。

もちろん、境界について隣接地の所有者と合意が得られないなどの理由があればこれ以上かかることもあります。

不動産売却をするために境界確定測量を依頼するのであれば、充分な余裕を持ってスケジュールを組みましょう

立ち合い日時の調整にも注意

隣接地の所有者とトラブルもないのに、立ち合い日時の調整で時間がかかってしまうことがあります。

隣接地の所有者がそこに住んでいる方であれば、家にいる時間に出向けばよいので難しくはありません。

しかし隣接地が道路で行政の立ち合いを依頼する場合、担当者のスケジュール調整に日にちがかかってしまうケースもあります。

さらに相手が行政の場合は境界の確認書面に押印するのも時間がかかるため、売主は余裕のあるスケジュールを組む必要があります。

まとめ

不動産売却の際には境界確定測量が必要なことも多いため、測量費用や測量にかかる期間を考えてしっかりとした計画を立てることが大切です。

境界確定にかかる時間を短縮するためにも、売主が事前に必要書類を取り揃えて準備しておきます。

最寄りの法務局に行き公図や登記簿謄本のほか、地積測量図や建物図面があるかどうか確認をします。

次に、法務局で取った図面などを元に現地で売却する土地の境界を確かめます。

境界標があると一番よいのですが、そのほかにもブロック塀やフェンスなどで境界が確認できるので役立ててください

不動産の売却はタイミングが重要であるため、売主として早めに準備することをおすすめします。

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