不動産売却の期間は平均3か月から6か月!売却の流れと期間を短くする方法【相続財産管理人・成年後見人の場合は注意が必要】
この記事でわかること
- 不動産売却にかかる期間の目安がわかる
- 不売却の流れと期間を短くするコツがわかる
- 不例外的に不動産の売却に時間がかかる形態がわかる
不動産を売却しようと考えている人にとって心配なのは、やはりどのくらい時間がかかるのだろうかという点でしょう。
そして、どうやればより早く、スムーズに売却ができるのかが一番のポイントだと思います。
そこで、ここでは不動産売却までの流れと期間を説明しながら、例外についても解説していきます。
目次
不動産売却の流れと期間
次の表が不動産売買の大まかな流れとかかる時間のまとめです。
不動産の場合は、千差万別なのであくまでも一例で目安として参考にしてください。
ここではそれぞれのやるべきことと、具体的な注意点を合わせて解説します。
番号 | タイムスケジュール | 期間の目安 |
---|---|---|
1 | 売却対象となる不動産の情報を集めること | 約1週間 |
2 | 複数の不動産業者に価格の査定を依頼すること | 約2週間 |
3 | 売却不動産の権利関係書類を収集すること | 約1週間 |
4 | 複数の不動産業者の査定書を比較すること | 約2週間 |
5 | 不動産業者と媒介契約を締結すること | 約1週間 |
6 | 不動産の売り出し価格を決定すること | 約1週間 |
7 | 買主からの問い合わせ、申込と条件交渉をすること | 約1か月~ |
8 | 条件が折り合えば不動産売買契約を締結すること | 約2週間 |
9 | 不動産売買契約締結したら引き渡しを行うこと | 約1か月 |
一般的な不動産売却の流れ
一般的な不動産売却の流れは、自動車や他のものを売る場合と大きく変わりません。
売主としては、その不動産を買いたい人を見つけてくれば売買契約が成立し、売ることができます。
しかし、不動産の場合は他のものと違って、金額も大きく価値も高いので一般の人が頻繁に売り買いするものではない点が特徴的と言えます。
そのため、基本的な流れとして、売買契約の前に不動産を調べたり、相場を調べたり、専門家である不動産業者と契約したりする点が大きな違いと言えるでしょう。
売却対象となる不動産の情報を集めること
まずは、売ろうとしている不動産の内容を集めることです。
不動産の場合は単に住所がわかれば売れるというわけではありません。
その売ろうとしているものが戸建てなのか、マンションなのか、土地なのかによって、調査する不動産の情報は変わってきます。
例えば土地ならば、面積や道路と接している間口の長さ、高低差などの様々な情報が必要です。
また、戸建てであれば、土地建物の面積、築年数、建物の状態などです。
そして全ての不動産に共通なのが権利関係の確認です。
これらの不動産に関する正しい情報がないと、売り出し前に適切な価格を決めることができません。
複数の不動産業者に価格の査定を依頼すること
不動産には定価がないので、いくらで売り出しを開始するかは売主の自由に任されています。
しかし、定価がないとは言っても相場自体は存在します。
そして、その相場に加えて物件の状態によって査定金額が変わってきます。
不動産の場合は、金額が大きいので数パーセントの違いであっても、数100万円単位で変わってくることもよくあります。
そこで、売買価格を決定する前に、必ず複数の不動産業者に査定を依頼しましょう。
複数の不動産業者に査定を依頼する理由とは
複数の不動産業者に査定を依頼する理由は大きく分けて二つにあります。
一つは、不動産業者によって得意なエリア、分野が大きく分かれているため、どの不動産業者に査定を依頼しても同じ金額の査定が出てくるわけではないからです。
もう一つの理由は、これから売却を依頼する不動産業者を決定するための要素になるからです。
例えば、査定書が出てくるまで早い業者、査定金額の説明がわかりやすく納得できる業者は、比較的信頼ができる不動産業者と言えるでしょう。
売却不動産の権利関係書類を収集すること
不動産業者に査定を依頼するとの同時進行で、不動産に関する書類も集め始めましょう。
これらの書類は、最終的に売却することが決まれば必要になるものなので、前倒しで集めておけば突然の契約に慌てずに済みます。
住宅ローンの残高を調査すること
売り出し金額を決める要素として2つの情報が必要になります。
一つは不動産の相場ですが、もう一つは売ろうとしている不動産に抵当権がついている場合の債務額です。
一般的には住宅ローンの残高がこれに該当します。
この金額よりも不動産が売れない場合は、基本的に金融機関は抵当権を抹消してくれないので買い手がつかないことになってしまいます。
境界が確定していない場合は境界確認書を作成すること
売られている不動産が隣地と境界争いをしているような不動産を購入しようとする人はいません。
そのような不動産を購入してもトラブルになることが明らかだからです。
そこで、売主としては売却しようとしている不動産が隣地と境界争いがないことを証明する必要があります。
具体的には、臨地との間で境界確認書を作成し、売却時に買主に渡せるように準備しておきましょう。
複数の不動産業者の査定書を比較すること
複数の不動産業者に査定を依頼すると、それぞれの業者から査定金額とその金額の根拠になった理由が書かれた査定書が届きます。
この査定書の中身を比較しながら売却不動産の売り出し開始価格を決定しましょう。
査定書の比較をする際の注意点としては、単に一番高い査定金額で売り出しをするのではなく、その金額の根拠となる理由が納得できる価格帯で売り出しましょう。
例えば、5社に査定を依頼して1社だけが7,000万円台、その他の4社が3,000万円台の査定金額を出してきた場合は、その7,000万円台の査定を出してきた会社の金額の根拠をよく調べる必要があります。
万が一、相場よりも圧倒的に高く売り出しをしてしまった場合は、なかなか買い手が見つからず、結局値下げを繰り返す結果になってしまい、時間だけがかかってしまう結果になることも多いからです。
不動産業者と媒介契約を締結すること
査定依頼をして売り出し価格を決定した後は、不動産業者に仲介を依頼するために媒介契約を締結します。
どの業者も成功報酬としての契約になるので、契約時点で金銭の支払いが発生することはほとんどないでしょう。
不動産業者と媒介契約を締結した後は、不動産業者は売り出し活動を開始します。
例えば広告を出したり、レインズと呼ばれる不動産業者しか見られないネットワークに情報を掲示して購入希望者を探すことになります。
媒介契約の種類と違いとは何か
不動産業者と媒介契約を結ぶ場合、契約の種類には大きく3つに分かれます。
それぞれの特徴と違い、メリットとデメリットについて簡単に解説します。
専属専任媒介契約とは何か
専属専任媒介契約とは、売主が1つの不動産業者としか結べない媒介契約の形態です。
売主が自ら買主を見つけてきた場合でも、不動産業者を通さない売買契約ができないため、売主と仲介業者の結びつきが一番強い媒介契約と言えます。
専属専任媒介契約は、不動産業者から売主への報告義務の頻度が多く、レインズの登録もすぐに行う必要があります。
専任媒介契約とは何か
専任媒介契約とは、専属専任媒介契約同様に売主が1つの不動産業者としか結べない媒介契約の形態です。
しかし、売主が自ら買主を見つけてきた場合は、不動産業者を通さない売買契約ができます。
一般媒介契約とは何か
一般媒介契約とは、売主が複数の不動産業者と締結できる媒介契約の形態です。
売主が自ら買主を見つけてきた場合はもちろん、他社で売買契約が締結されてしまうと不動産業者としては報酬が入らないため、業者間で競争意識が芽生える媒介契約の形態です。
不動産の売り出し価格を決定すること
不動産業者と媒介契約を締結したら、売り出しを開始します。
この時点では、不動産の調査や物件資料集めなどが終わっている状態でないと、契約をしたいという問い合わせがあっても対応できないことになってしまうので注意が必要です。
売り出し価格は不動産業者の査定金額を元に決定しましょう。
買主からの問い合わせ、申込と条件交渉をすること
売り出しを開始したあとは、基本的には問い合わせが来るのを待つ状態になります。
この待つ期間は物件によって異なりますが、売り出し価格が相場よりも高ければ高いほど問い合わせが少ない傾向にあります。
中には指値(さしね)と呼ばれる価格交渉や、引き渡しについての条件交渉などの問い合わせもあるでしょう。
ただし、基本的にはこの交渉は不動産業者に依頼して代わりに対応してもらうことが多いです。
条件が折り合えば不動産売買契約を締結すること
売り出しをしている不動産について買いたいという申し出があり、金額やその他の条件が折り合えば契約締結になります。
不動産の場合は、法律で必ず契約書を作成することになっているので、正式には書面を作成して売主と買主が署名押印をして初めて契約締結になります。
不動産売買契約締結したら引き渡しを行うこと
不動産売買契約が締結されれば、一般的には1か月後くらいに物件の引き渡しが行われます。
マンションや戸建てで居住中だった場合は、当然引越しも発生します。
不動産売却期間を短くする方法やコツは何か
一般的には不動産を売り出しし初めてから数か月はなかなかすぐには買い手が見つからないことも多いでしょう。
しかし、居住中ならまだしも空き家になっている期間が長引くのは経済的にも損失が大きくなってしまいます。
そこで、少しでも売却までの期間を短くするために取りうる手段をご紹介します。
適切な売り出し開始時期、引き渡し時期を選ぶこと
一年を通して不動産が売れやすい時期は、不動産を購入して引越したいと思う時期から逆算すればおおよその目安がわかります。
つまり、引越しのピークは新年度・新学期が始まる2月から3月なので、この時期に引越すために購入希望者が不動産を探し始めると逆算しましょう。
結論としては、不動産を買おうと思っている人の多くは9月ごろから探し始めるので、少なくとも8月には売り出しを開始していれば、多くの問い合わせを受けやすくなり、不動産売却期間が短くなる傾向があります。
逆に、この時期を逃して売り出しをすると、問い合わせの数が少なくて不動産売却期間が長くなる傾向があります。
相場の範囲内の価格帯で売り出しを開始する
不動産売却期間を左右する一番の要素は価格です。
当たり前ですが、近隣相場よりも安ければ売れやすいし、高ければ売れにくくなります。
そのため、査定金額や売り出し価格にこだわりすぎると価格改定のタイミングを逃してしまい、結果として不動産売却の期間が長くなる傾向があります。
お勧めとしては、不動産の住み替えで売却価格が動かせない場合以外は、近隣相場の価格を参考にして、価格の検討は柔軟に行うほうが良いでしょう。
不動産業者と連絡を密にすることと、媒介契約の検討
実際に販売活動をしてくれる不動産業者がどのくらいのやる気で動いてくれるかも不動産売却期間に影響を与える要素になります。
特に、売主がいつまでに売りたいという真剣さがきちんと伝わっているかどうか、がポイントと言えます。
そこで、不動産業者とのやりとりをなるべく頻繁に行うと共に、なかなか売却できない仲介業者の場合は、その旨をきちんと伝えるべきでしょう。
そして、やる気のある不動産業者には、媒介契約を一般媒介契約から専任媒介契約に切り替えるなどの検討も必要です。
売り先は一般の方だけではなく買取業者にも範囲を広げる
不動産売却期間が長引く場合は、そもそもそのエリアでは一般の人の需要が見込めないケースもあるかと思います。
この場合には仲介ではなく専門の不動産業者に買取をしてもらう方法も検討してみましょう。
買取業者とは不動産業者形態の中でも買取を専門にしていて、不動産を購入後にリフォームや新築などをして再度販売する業者のことです。
買取業者は意思決定までが非常に早く、契約不適合責任などの売買条件も有利になることが多いのですが、買取価格が安くなってしまうことがあるのがデメリットなので、注意しましょう。
不動産売却まで時間がかかってしまうケース
ここでは、不動産売却までに時間がかかるような例外的なケースを紹介します。
売主が亡くなって相続をする人がいないケースや、売主が認知症で正確な判断ができないケースなど、誰かが売主に代わって不動産の売却手続きをする流れをご説明していきます。
相続財産管理人が売却をするケースとは
人が亡くなったら相続が発生しますが、亡くなった人に相続人がいない、もしくは、相続人が全員相続放棄をした場合、財産だけが残ってしまうケースがあります。
この場合の財産は最終的には国庫に帰属するのですが、亡くなった方にお金を貸していた人などの利害関係人からの申し立てがあれば、相続財産管理人が選任されます。
この相続財産管理人が、亡くなった方が所有していた不動産を売却するようなケースがあります。
相続財産管理人とは
相続財産管理人とは、利害関係人からの申し立てによって、亡くなった方の財産を管理する人として裁判所から選任される人のことです。
通常は弁護士、司法書士、信託銀行などが選任されることがほとんどです。
仕事内容は相続財産の調査、特別縁故者(内縁の妻など)への支払、保存行為、管理行為です。
相続財産管理人が不動産を売却するケースの特徴
亡くなった方の財産に不動産がある場合は、裁判所が許可をすることで不動産を売却することができます。
この売却のことを相続財産管理人よる不動産売却といいます。
この場合の不動産売却は通常の売却と異なり、裁判所の許可や相続登記が必要になるので、通常の不動産売買よりもかなり時間がかかります。
成年後見人が売却をするケースとは
高齢者が認知症などで事理弁別能力を欠く常況にある場合、本人が財産を騙し取られないように保護する制度として、成年後見制度というものがあります。
この制度は、判断能力が低下した人の代わりに財産を管理したりする人を決める制度です。
そして、裁判所から選任された成年後見人が本人のために不動産を売却するようなケースもあります。
成年後見人とは
成年後見人とは、本人・配偶者などの親族から成年後見審判開始申立によって裁判所で選ばれて本人のために法律行為をする人のことです。
成年後見人は、基本的には本人ができることを代わりに行う権限があるので、日常生活の代理行為だけではなく、財産を処分することも行えます。
成年被後見人が不動産を売却するケースの特徴
認知症などで法律行為などに不安がある場合は、家族から裁判所に成年後見開始審判申立をして、成年後見人を決定します。
そして、例えば老人ホームなどの入所によって多額の金額が必要になる場合や、空き家の処分などで成年後見人の所有している不動産を売却するようなケースがあります。
この売却のことを成年後見人よる不動産売却といいます。
この場合の不動産売却は通常の売却と異なり、居住用不動産の場合は裁判所の許可が必要になるので、通常の不動産売買よりもかなり時間がかかります。
まとめ
以上が、不動産売却にかかるスケジュールと売却期間の目安の紹介でした。
あくまでも一般論としては、きちんと準備して対応できればより早く、スムーズに売却できる近道になります。
特に信頼できる不動産業者を早く見つけて相談しながらスムーズで希望に沿った価格での売却を進めていきましょう。