オリンピックに向けて東京の不動産価格は上昇中。売時について
2020年の東京オリンピックの開催が迫っています。
都心に限らず、東京近郊ではオリンピック開催に向けた建築ラッシュがピークに差し掛かっています。
また、東京都内の不動産需要が高まっていることを受けて、不動産価格が上昇しています。
そのような中、不動産を保有する人が売却を検討する動きも活発になっています。
はたして東京の不動産価格はオリンピックの前後でどのような動きを見せると予想されているのでしょうか。
目次
オリンピックを前に東京の不動産価格は上昇している
オリンピックの開催が決まった2013年ごろから、東京都内の不動産価格は上昇傾向に転じています。
オリンピックの開催に向けて、新国立競技場などの競技関連施設や選手村の建設が進められているほか、新しいアクセス道路などのインフラ整備も行われています。
また、施設周辺に新たなホテルや商業施設、マンションなどの建設が進められ、インフラが向上したエリアの不動産価値が上昇する傾向も見られます。
実際の需要増加に加えて、オリンピックという一大イベントを見越した投機的な動きもあるため、不動産価格はより上昇しやすい状況にあるといえます。
このような状況は、オリンピックの開催直前である2019年まで続くのではないかと考えられています。
特に上昇が顕著な地域は?ほかの地域への影響は?
東京都内でも、不動産価格の上昇が特に大きな地域があります。
不動産価格の上昇がみられる地域としては、湾岸エリアがあります。
豊洲や晴海などを含む湾岸エリアは、そのアクセスや眺望の良さからこの数年の人気エリアであり、タワーマンションの建設が相次いでいますが、オリンピックの競技施設が作られ、多くの競技が実施される予定となっていることからさらにその人気に拍車がかかっています。
湾岸エリアを含む中央区や江東区の地価の上昇率は、いずれも東京23区全体の上昇率を上回っており、従来からの人気に加えてオリンピック開催が大きな後押しをしている形となっています。
このほかにも、東京の都心部は競技施設の建設や建設工事により土地が減少していること、オリンピックによる来訪者の増加を見込んで商業施設や宿泊施設の需要増加を期待したビルやホテルの建設が進められていること、マンション需要が高まっていることなどを背景に、土地やマンションなどの不動産価格は上昇傾向が続いています。
東京都心以外の地域でも、都内へのアクセスが良い地域やアクセスが良くなる地域では、土地やマンションの価格が上昇しています。
ただし、すでにオリンピック後を見据えた動きがあるのも事実です。
特に投機的な目的で不動産を購入していた人の中には、この先不透明な状況となる前に利益を確定させておこうと、保有していた物件を売却する動きもみられます。
今後、オリンピックが近づくにつれて保有していた物件を売却する動きはますます活発になり、その影響で不動産価格の上昇が鈍り、さらに売却が進むと上昇傾向に歯止めがかかるのではないかとみられています。
新築物件と中古物件に傾向の違いはあるのか?
不動産物件を必要としている人が、できるだけ早く購入したいと考えている場合、すでに完成している中古物件を購入しようとする動きが活発になることがあります。
現在、不動産の購入を検討している人の中には、オリンピック前に東京近郊に物件を購入したいと考えている人が多いと思います。これらの人が購入する際に、中古物件は選択肢の一つとなるのです。
そのため、中古のマンションや一戸建ての需要が高まり、価格も以前に比べて上昇しています。
中古物件の価格が上昇しているのであれば、新築を選択する人が増えるのではないかと思われるかもしれませんが、実は新築物件も同様に、あるいはそれ以上の値上がり傾向にあります。
というのは、東京オリンピックに向けた施設の整備のため、東京近郊では建設ラッシュとなっているのに加えて、2019年10月に予定されている消費税10%への増税前の駆け込み需要が増加しているためです。
さらに、建設業界は深刻な人手不足に陥っていること、原材料や輸送コストの増加に歯止めがかかっていないことなども、新築物件の価格を押し上げる要因となっています。
特に人手不足が続いていることから、この先新築物件がどの程度供給されるのか分からない不安もあり、中古物件に対する人気を押し上げる一因となっているのです。
中古物件の中でも、新耐震基準で建てられたマンションは非常に人気が高くなっています。
一戸建てとは違って個別に耐震工事を行うことが難しいため、多少高くても最初から厳しい基準で建てられたマンションを購入しようする人が多いようです。
坪単価の上昇だけでなく、実際に売買が成立した件数や、売りに出ている中古マンションの数も増えていることから、東京オリンピック前の今が売り時と考えている人が多いように思われます。
一戸建ての物件は、東京オリンピックの直接的な影響を受けているというよりも、間接的な影響を受けた結果、新築一戸建ての価格が上昇しています。
とりわけ、人手不足や人件費、建築資材の高騰という状況は今後もしばらく続くと考えられており、すぐに新築物件の価格が下落するような状況にはならないと思われます。
そのため、当初は新築一戸建てを考えていた人も、新築には価格面で手が届かなくなってきたために中古物件を探す状況になっています。
また、一戸建ての場合はマンションより土地価格の上昇の影響を受けやすいのですが、地価の上昇が続いていることも新築より中古を選ぶ要因となっています。
中古の一戸建てについて、これまでは築20年以内でなければ建物の価値はないとされてきました。
しかし、中古住宅の人気が高まってきたこと、古い建物でも耐震工事を行えば問題なく住むことができると認識されてきていることから、古い建物であっても耐震工事を行って住むことを前提とした売買が増えてきています。
ただし、古い物件であればあるほど、その建物の構造(木造・鉄筋コンクリート・軽量鉄骨等)や建築した会社の違いにより価格への影響が出やすくなります。
中古物件の場合、マンションでも一戸建てでも、立地の良い場所に対する需要は高く、結果として価格が上がりやすい傾向にあります。
ただし、オリンピックの前後では人気のエリアに違いが生じる可能性もあるため、価格の動向には注目しておく必要があります。
オリンピックが終わると不動産価格はどうなる
オリンピックの開催に向けて、東京都内やその近郊で不動産価格が上昇していると説明しました。それでは、オリンピック後はどのような状況になると考えられるのでしょうか。
オリンピック後の状況について心配されているのは、不動産物件の供給過剰です。
実は、オリンピック開催前の現在でも都心の空室率は20%を超えているとされ、すでに供給過多の状態にあると言われています。
今はオリンピックに向けて全体的な機運が盛り上がっている状態でもあるため、空室率よりも価格の上昇の方に目が行きがちなのですが、オリンピックが終わった後には、空室率の高さから値崩れを起こす可能性も十分にあります。
また、現在は建設工事やインフラ整備など、オリンピック開催に向けて多くの人が東京で仕事をしている状態ですが、オリンピックが終われば他の地域へ人の流出が起こると考えられます。
そのうえ日本国内の人口は減少傾向にあり、今後は東京周辺といえども人口減少による空室率の上昇がより深刻になると考えられています。
特にオリンピック競技が実施される予定の湾岸エリアは、オリンピックが終わると他の地域より大きな値下がりになるのではないかと予想されています。
というのは、ここ数年にわたる湾岸エリアの人気により多くのタワーマンションが建設され、すでに供給過剰になっていること、そして湾岸エリアの多くは埋め立て地であり、震災発生時の液状化現象に対する懸念は以前から指摘されているためです。
このエリアに保有する物件の売却を考えている人は、東京オリンピックという千載一遇のチャンスを逃してしまうと、その後の売り時を逃してしまう可能性もあるのです。
一方で、オリンピック後も大きな価格の下落は起こらないだろうと考えられているエリアもあります。
特に東京都心の物件は、もともと数がそれほど多くないこと、利便性が高いことなどからオリンピックが終わったからといってすぐに下落に転じるとは考えられていません。
また、オリンピック後の不動産価格を考えるうえで考慮しなければならない要因があります。それは、生産緑地の指定解除です。
現在ある生産緑地の多くが1992年に指定を受けています。
生産緑地の指定は30年を経過すると解除されることとなるため、2022年以降、生産緑地の宅地化が進むと考えられているのです。
都心より郊外に多いと思われるかもしれませんが、実は東京都内には3,000ヘクタール(約3,000万㎡)を超える生産緑地があります。
この中の数%でも売りに出ることとなれば、その影響は非常に大きなものになると予測されているのです。
オリンピックが終わったからといって不動産価格が暴落するわけではないかもしれませんが、少なからず価格を押し下げる影響があると予想されます。
特に不動産の立地によっては、下落に転じることも考えられるため、保有する不動産の売却を検討している人は、情報収集を怠らないようにしましょう。
まとめ
数年後の不動産価格の動向は、誰にも予測がつきません。
オリンピックの開催という非常に大きなイベントの影響力について、現在の価格上昇の要因となっていることは説明できても、その影響がいつまで続くのか、そしてオリンピック開催後の状況がどのようになるのかまでは分からないのです。
しかし、オリンピックが終われば、何らかの形で価格に影響が出ることは間違いありません。
もし保有している不動産を売却しようと考えているのであれば、その状況を不動産会社に説明してもらったうえで、納得のいく価格を提示してもらった不動産会社に売却を依頼するようにしましょう。