オンラインでも取得可能!登記簿謄本の取得方法から内容の見方を理解しよう
この記事でわかること
- 登記簿謄本の意味や何のために必要なのかがわかる
- 登記簿謄本を取得するための方法がわかる
- 取得した登記簿謄本の見方、読み方がわかる
銀行や税務署、不動産業者から「申請に必要なので登記簿謄本をとってください」といわれたことがある方は多いと思います。
しかし、耳慣れない言葉なので、いざ取得しようと思っても、どこで、どうやって、いくら費用がかかるのか、どのくらい時間がかかるのかもわからずとまどう方もたくさんいます。
そこで、登記簿謄本の中身の説明と合わせて、具体的にどのような方法で取得すれば最も簡単で便利に取得できるかについても解説していきます。
登記簿謄本とは
「登記簿謄本」について調べる際、「登記事項証明書」、「全部事項」、「現在事項」、「一部事項」など耳慣れない言葉をたくさん目にするかと思います。
ここでは、正しい書類の名称とそれぞれの違いをわかりやすく説明します。
「登記」と「登記簿」は同じなのか、そして「登記簿謄本」とは何か
最初にぶつかる壁は、書類の正しい名前がわかりにくいという点だと思います。
そこで、それぞれの言葉の意味や違いを丁寧に解説していきます。
まずは「登記」という言葉ですが、これは法務局に情報が記録されているということを指しています。
現在は、法務局にある情報は紙ではなくコンピュータの「情報」に変わっているのですが、かつては、紙の形で法務局に情報が保管されていました。
そのため、昔は「登記」が帳簿のようになって「登記簿」と呼ばれていたのです。
次に「謄本」という言葉の意味ですが、これは「写し」という意味の用語です。
つまり「登記簿謄本」というのは、法務局に保管されている紙の登記簿を写したものという意味になります。
「登記事項証明書」と「登記簿謄本」の違いは何か
これに対して、登記事項証明書とは法務局にある登記の情報がコンピュータの形になっていて、それを法務局の登記官が証明します、という内容の書類を指します。
簡単に言うと、登記簿謄本と登記事項証明書は同じ内容を指しているのですが、「登記簿謄本」は昔の言い方、「登記事項証明書」は現在の言い方といえます。
不動産業界は何十年も前の記録がいまだに生きているような古い体質の世界なので「登記簿謄本」という言葉だけがいまだに生き続けているというのが実情です。
そのため、現在は「登記事項証明書」という言い方が正しいのですが、不動産業界や金融業界ではいまだに「登記簿謄本」という言葉が生きているため、ここでは一般的な用語に合わせて登記簿謄本として説明していきます。
「全部事項」「現在事項」「一部事項」「閉鎖事項」の違いは何か
次に、記載されている内容によって、「全部事項証明書」「現在事項証明書」「一部事項証明書」「閉鎖事項証明書」などの書類があるため、違う点をわかりやすく説明します。
すべての情報が載っている「全部事項証明書」
「全部事項証明書」は、文字通りその不動産が登記されてから現在までの全ての記録が記載された証明書です。
例えば、前の持ち主のことや、前の前の持ち主のこと、さらに前の持ち主のことが書かれていたり、前の前の持ち主が住宅ローンを組んでいたら、たとえ返済が終わっていたとしてもその組んでいた銀行名まで書かれているのです。
全部事項証明書は、次に説明する「現在事項証明書」や「一部事項証明書」の内容を含んでいるため、もしもどの書類を取得するかがわからないときは、全部事項証明書を取得しておけば間違いありません。
現在有効な情報のみでシンプルな「現在事項証明書」
「現在事項証明書」は、現在効力のある登記内容だけが記載された証明書です。
返済が終わった住宅ローンについては通常末梢されるため、、抹消されたあとは現在事項証明書には記載されません。
この現在事項証明書は、現在有効な登記だけなので記載内容が少なく見やすいのが特徴です。
マンションの一室だけ取得したいときに有効な「一部事項証明書」
「一部事項証明書」は、不動産の一部の情報だけを記録した証明書です。
具体的には、何十戸もある分譲マンションの全部事項証明書を取得しようとすると、それぞれの部屋ごとに所有者がいるので、何百ページにもなってしまうことがあります。
しかし、本当に必要なのはある特定の部屋だけの場合は、残りの全ての部屋の資料は無駄になってしまいます。
そこで見やすさを優先すれば一部事項証明書のように、必要な一部だけ証明する方法も存在します。
壊した建物の情報を知りたいときに有効な「閉鎖事項証明書」
「閉鎖事項証明書」は、他の登記事項証明書とは視点が異なり、既に世の中にはない不動産の登記内容を証明する証明書です。
例えば、建て壊しをした後の戸建ての記録だったり、2筆以上ある土地を合筆して1筆にした後の土地の項目などがこれに該当します。
閉鎖事項証明書は土地は50年保存、建物は30年保存なのですが、一般の方がこの閉鎖事項証明書を取得する機会はほとんどないでしょう。
登記簿謄本には何が書かれている?
それでは、登記簿謄本にはいったいどのようなことが書かれているのでしょうか。
ここでは、不動産の登記簿謄本を前提として説明していきます。
不動産の登記簿謄本は、大きく分けて「土地」と「建物」に分かれています。
そしてそれぞれに「表題部」と「権利部」という2つの部門に分かれており、さらに権利部は「甲区」と「乙区」に分かれています。
不動産の物理的な説明が書かれている「表題部」
まず、一番上に書かれているのが「表題部」です。
表題部には一体どのようなことが書かれているのでしょうか。
表題部には、その不動産の物理的状況に関する情報が記載されています。
例えば、土地の登記簿謄本であれば「所在」「地番」「地目」「地籍」などが、建物であれば同じく所在などに加えて「家屋番号」や「構造」「床面積」などが記載されています。
不動産の権利関係が書かれている「権利部」
次に、「権利部」には不動産に関する権利関係が書かれています。
具体的には甲区には所有権に関すること、つまり誰が所有者かということが、乙区には所有権以外のことが書かれています。
所有権以外の権利の代表例は、住宅ローンなどの抵当権です。
例えば、AさんがB銀行で住宅ローンを組んでいる場合、その不動産の登記簿謄本を見れば、甲区には所有者としてAさんの住所、氏名が記載され、乙区には抵当権者としてB銀行が記載されているのが一般的です。
窓口よりもオンラインでの取得が便利でお得
それでは、登記簿謄本はどこで、どのように取得すればよいのでしょうか。
不動産業者や金融業者でもない限り、普通の人は一生に何度も登記簿謄本は取得しないので、具体的な方法まで含めてわかりやすく説明します。
実は、登記簿謄本を取得する方法は大きく分けて3つあります。
それぞれの取得方法のメリット、デメリットを説明しながら、最後におすすめの方法を記載します。
直接法務局に行って申請し窓口で取得する方法
一つ目の方法は法務局の窓口に行って申請して取得する方法です。
この方法は事前に準備も不要ですし、申請したその日のうちに登記簿謄本を手に入れることができるため、手に入れるのは最も早い方法といえます。
なお手数料は登記事項証明書一通につき600円です。
法務局の窓口は、通常であれば平日の8時30分から17時15分まで開いているので、この時間帯に法務局に行けば全国どこの不動産であっても取得することが可能ですが、窓口の込み具合によっては20分から30分程度待たされることもしばしばあります。
オンラインで申請して郵送で受け取る方法
二つ目の方法はオンラインで請求して、郵送で受け取る方法です。
この方法は事前に法務局が提供する「登記・供託オンライン申請システム」に登録しておく必要がありますが、受付時間は平日8時30分から21時までなので、法務局の窓口よりも長い時間申請が可能な点と、法務局に行く必要がない点がメリットです。
ただし、郵送されてくるまでの間は待たないといけないのがデメリットです。
手数料は登記事項証明書一通につき500円です。
オンラインで申請して窓口で受け取る方法
最後の三つ目の方法はオンラインで請求して、近くの法務局窓口で受け取る方法です。
先に紹介した2つの良いところどりのような方式で、オンラインで申請して近くの法務局の窓口で受け取る方法です。
手数料は登記事項証明書一通につき480円で、最安値です。
これらのことからわかる通り、3つの方法ともメリット・デメリットがありますが、手数料の点と待ち時間が短い点を考えると、3つ目のオンライン申請で窓口受け取りが最もおすすめといえるでしょう。
取得した登記簿謄本の見方
取得した登記簿謄本を見てみると、普段目にしない文字が多いことに気がつくと思います。
そこで、取得した登記簿謄本の中身をみてみましょう。
ここでは注目すべきポイントを解説します。
法律上の新築日、面積が記載されている表題部はすべての基本
まずは、一番上にある「表題部」です。
ここでは建物を例に挙げて説明していきます。
最も重要な項目は「原因及びその日付」と「床面積」です。
なぜなら「原因及びその日付」という欄にあるマンションや戸建てが建築された年月日とその「床面積」が、法律上正式な建築日と床面積になるからです。
そのため、確定申告の際に出す住宅ローン控除の書類や、不動産業者に査定を依頼するときに書く査定依頼書などには、この表題部に書かれている「原因及びその日付」の日付と「床面積」に書かれている面積を記載する必要があるのです。
建物の所有者の変遷や前の所有者の住宅ローン金額まで記載されている権利部
次に、権利部に甲区については、最も重要な項目は現在の所有者は誰かという点です。
現在の所有者は「権利者その他の事項」の一番下の欄に書かれています。
この「権利者その他事項」の欄は、いままでこの不動産が、いつ、誰から誰に、どういう理由で所有権が移転してきたのかが履歴として書かれています。
最後に、権利部の乙区については、所有権以外の権利関係が現在どうなっているのかを読み取るのがポイントです。
地役権や地上権など乙区に書かれる権利はたくさんあるのですが、一番重要なポイントはやはり住宅ローンを借りたときに設定される「抵当権」です。
「抵当権」が設定されている場合は、いつ、誰が、何銀行から、いくらを、金利いくらで借りたのかまで登記されるので、大まかに住宅ローンの借入額まで読み取れます。
また、返済し終わった抵当権は通常は抹消されるので、下線が引かれていれば完済していることまで読み取れます。
まとめ
以上が、登記簿謄本の説明と、取得方法、最も簡単に取得する方法のご紹介でした。
登記簿謄本取得は不動産売買や査定、住宅ローン減税などの大きな金額を動かすための情報収集の第一歩です。
ぜひともスムーズに取得して今後の計画に生かしてください。