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【不動産売却の節税10選】譲渡所得を理解して税金対策!計算方法や具体的な節税法を解説

この記事でわかること

  • 税金がかかる仕組みとタイミングがわかる
  • 何をすれば税金がどのくらい安くなるかの目安がわかる
  • 節税方法とそのために必要な手続きとメリット、デメリットがわかる

税金はできるだけ安くしたい、でもやり方がわからない、という人は多いでしょう。

特に不動産を売って税金を支払うことは一生に何度もあることではありません。

初めての人はわからないことばかりです。

しかも、希望価格で売れたとしても税金が高くて手元に残るのはほんのわずかになってしまうケースもよくある話です。

そうならないためにも正確な知識を元にして、税金を節約して手元に残るお金を増やしましょう。

目次

不動産売却での税金が発生するタイミング

不動産の売却では発生する順番に「印紙税」「登録免許税」「所得税」「復興特別所得税」「住民税」の5つの税金がかかります。

これらの税金は発生するタイミングも支払い方法も節税方法も別々なので一般の方にとって複雑でわかりにくい制度になっています。

ここでは発生する順番と納税のタイミングについてわかりやすく順を追ってご説明していきます。

どのような税金の種類があるのか

不動産を売却すると課せられる税金は、大きく2つの種類に分かれます。

1つは、全ての不動産売買にかかる税金です。

代表例は印紙税と登録免許税です。

これに対して、売却して利益が出た時にだけかかる税金があります。

利益が出た時にだけかかる税金は所得税、復興特別所得税、そして住民税です。

利益がある時にだけかかる税金

不動産を売却した際に利益が出た場合は、その利益に対して所得税、復興特別所得税、住民税がかかります。

不動産の「売却額」に対してかかるのではなく「利益」に対してかかるのが一番のポイントです。

この利益というのは譲渡所得と呼ばれ、不動産の売却金額から取得費、譲渡費用などの経費を引いた金額のことです。

税金の中で最もウエイトが大きな譲渡所得税

譲渡所得税とは不動産を売却して利益が出た場合にかかる所得税です。

通常は譲渡所得税の税額が不動産売却時にかかる税金の中で最も金額が大きいのです。

譲渡所得税には短期と長期があり不動産を所有していた期間によって税率が異なります。

所得税とセットになっている復興特別所得税

東日本大震災からの復興のための施策を実施する財源の確保のために、平成25年(2013年)から令和19年(2037年)までの間、所得税を納める場合にプラス2.1%の割合で復興特別所得税が加算されます。

課税の対象や流れは所得税と同じです。

不動産ではなく住んでいる場所によって異なる住民税

住民税は、地方自治体に納める税金のことです。

住民税も所得税と同じく所有期間に応じて長期と短期で税率が変わります。

住民税は確定申告の際に税額が確定しますが、実際の納税は不動産を売却した翌年の4月から5月ごろに届く納付書によって納税をします。

節税のポイントは譲渡所得

不動産の売却では通常、所得税の課税金額が一番大きくなります。

つまり時間と手間をかけて節税するのであれば、所得税の節税が最も効果的です。

譲渡所得の内容

不動産を売却した際に利益が出た場合は、その利益に対して所得税が課税されます。

この利益というのは、不動産の売却価格から経費を引いた金額のことです。

そのため、経費が売却価格よりも大きくなれば利益が出ず課税されないというケースもあります。

逆に、経費が小さくて売却価格が大きい場合は利益も大きくなるので税金も多くなってしまいます。

所得税の税率には短期と長期があり不動産を所有していた期間によって税率が異なります。

譲渡所得の場合は取得の日の翌日から売却した年の1月1日までの所有期間が5年以下か、5年を超えるかで税率が大きく変わってきます。

譲渡所得に対して短期譲渡所得税は30%、長期譲渡所得税は15%で課税され、いずれも確定申告の際に納税します。

課税される仕組み

課税される対象は売却価格ではなく譲渡所得です。

そのため確実に節税をしたいと考えるのであれば、考えるべきポイントは「いくらで売却するか」よりも「譲渡所得をいくらにするか」になります。

譲渡所得は、取得費と譲渡費用から計算できるので、まずは取得費、譲渡費用の金額をどうやって計算するのかを把握することが節税のスタートラインになります。

譲渡所得の計算方法

所得税の計算方法は
譲渡所得×税率
です。

そして、譲渡所得の計算方法は
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
です。

この式はとても重要なので、節税の際にはぜひとも覚えておきましょう。

取得費、譲渡費用とは何か

節税するためには譲渡所得をなるべく少なくすることが必要です。

譲渡所得は売却価格から経費を引くことで計算できます。

その経費は大きく分けて「取得費」と「譲渡費用」に分かれます。

取得費とは、不動産を取得するためにかかった費用のことです。

たとえば、土地やマンションの購入金額などが該当します。

建物の場合は年々価値が下がっていくため減価償却費を引いたものが取得費になります。

譲渡費用とは取得費とは逆に、不動産を売却するためにかかった費用のことです。

たとえば、不動産業者に支払った仲介手数料などが譲渡費用になります。

取得費の計算方法について


譲渡所得を計算する前に、まずは取得費を計算してみましょう。

取得費を算出する方法

取得費を計算するための手順は、まずは土地と建物を区別することです。

不動産の場合は土地と建物は全く別の意味を持ちます。

土地は価値が減らないとされていますが、建物は税金の計算においては時間が経つと価値が減っていくとみなされるからです。

たとえば、木造の一戸建てマイホームだと建物の価値は毎年1.5%ずつ減っていくと決められています。

つまり新築から10年間住むと建物の価値は15%減っている計算をします。

この場合、仮に1,000万円で建物を取得したとしても、10年後の取得費として計算できるのは15%分を引いた85%、つまり850万円になります。

取得費が不明の場合の対処法

不動産を売却する段階になってから家の中を探しても、マイホームを購入した時の契約書や領収証が見つからないことなどよくある話です。

契約書や領収証がないと取得費は計算できないのでしょうか。

実際には古い書類がないことはよくあることなので、この場合は概算で計算することが認められています。

取得費の根拠が不明な時は、売却価格の5%で計算することが認められています。

不動産売却でかかるその他の税金

不動産を売却すると売れた金額に対して税金がかかる場合があります。

代表例は所得税ですが、それ以外にも多くの種類の税金があります。

ここでは全員決まった金額を納める必要がある種類の税金とその内容についてご紹介します。

全員にかかる税金

不動産を売買する際には必ず不動産売買契約書を作成しなければなりません。

そしてこの契約書には収入印紙を貼ることが法律で決められています。

これが印紙税と呼ばれるものです。

不動産の価格によって印紙の金額は異なるので、契約前に金額を確認して正しい金額の印紙を貼るようにしましょう。

印紙税は印紙を貼って納税するので、契約を締結する時点で支払いが発生します。

もう1つは登録免許税です。

登録免許税とは、法務局に不動産の登記をする時にかかる税金のことです。

不動産の売却の場合、売主は抵当権抹消の申請をする時に課税されます。

納税のタイミングは司法書士が法務局に登記申請書を提出する時です。

つまり、不動産売買契約後で決済のタイミングで発生し収入印紙で納めることになります。

印紙税の具体的な計算方法

印紙税は課税金額と税額が明確に決められているため簡単に計算をすることができます。

たとえば、5,000万円のマンションの売買契約書ならば印紙税は2万円と決まっています。

ただし令和4年3月31日までの締結された契約書については軽減措置が適用され1万円になっています。

参考:「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の 印紙税の軽減措置の延長について(国税庁)

登録免許税の具体的な計算方法

登録免許税の金額は登記の種類によって決まっています。

売却の場合は抵当権抹消なので不動産1つにつき1,000円です。

土地と建物は別々で計算されるため、土地付き戸建てならば2つの不動産で2,000円かかります。

不動産売却におけるおすすめの節税方法10選

ここから先は節税方法の具体的な紹介となります。

メインの考え方は所得税に対して税金のかかる利益をどこまでコントロールできるかという点になります。

復興特別所得税も所得税の一種なので譲渡所得に課税される部分は共通です。

つまり、譲渡所得を減らせば所得税も復興特別所得税も一挙に減らせるのでより節税の効果が高くなるのです。

確実に取得費に計上できる費用

取得費が不明の場合は概算で計算できるのですが、この概算だと取得費の5%しか経費にすることができません。

そこで所得費を計算するため土地や建物の購入金額がわかる書類を必ず探して所得費を増やせば概算費用よりも多く取得費を計上できます。

そして取得費が増えれば課税される譲渡所得が減るため結果として節税になるのです。

取得費に加えることができる具体例として、不動産を購入した時にかかった仲介手数料、司法書士への報酬、不動産取得税、購入時の印紙税などがあります。

塵も積もれば山となるということわざ通り、追加できるものはなんでも追加して譲渡所得を減らすのがもっとも確実な節税方法です。

取得のためという解釈を広げて取得費に計上できる費用

不動産売買の中には、土地だけ相続で引き継ぎ建物はローンを組んで注文住宅を建築したというケースもよくあります。

この場合は全体の5%だけ概算として計算すると取得費が低くなり過ぎてしまいます。

そこで、この場合は建物だけでも取得費に追加しましょう。

契約書が見つからない時でもローンを組んだ時の銀行の預金通帳、住宅ローンの金銭消費貸借契約書などがあれば取得費の計算の根拠にすることが可能です。

ローンを組んだ時の取得費は書類が多く残っていることが多いため、取得費に組み込み、譲渡所得を減らして節税しましょう。

確実に譲渡費用に計上できる費用

所得費と同じく譲渡費用が不明であっても、概算の計算で売却価格の5%は経費にすることができます。

しかし、実際には5%以上の譲渡費用がかかることのほうがほとんどです。

この場合、本当はもっと譲渡費用を減らせることができたのに損をしてしまうことになります。

そこで譲渡費用を計算するために売却のために発生した費用を譲渡費用に入れるようにしましょう。

確実に譲渡費用に計上できる具体例としては、売却時の不動産業者に支払った仲介手数料、売主が負担した印紙税、売却するためにかかった土地の測量費用、建物の解体費用などがあります。

譲渡のためにという解釈を広げて譲渡費用に計上できる費用

一見すると譲渡費用には入れられなさそうな費用も、譲渡のためにかかった費用として広く計上することで譲渡費用に組み込むことができるようになります。

たとえば、貸家を売るため借家人に家屋を明け渡してもらう時に支払う立退料や、すでに売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金、借地権を売る時に地主の承諾をもらうために支払った名義書換料なども譲渡費用に計上できます。

これらの費用を譲渡費用に計上して、譲渡所得を減らせば節税につながります。

逆に、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用にすることはできないため注意してください。

居住用3,000万円の特別控除

居住用財産で事業用・投資用の不動産ではない、いわゆるマイホームを売却する場合には、譲渡所得から3,000万円控除できる特例があります。

この特例は所有期間とは無関係で譲渡所得から最高3,000万円を差し引くことができるため「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

この特例は譲渡所得から直接3,000万円を差し引くことができる、かなり大きな節税のチャンスです。

なお、実際に住んでいた不動産を売却する以外でも、壊してすぐの土地を売却する場合にも適用を受けることができますが、更地にした後に駐車場にするなどいったん誰かに貸してしまうと適用が受けられないため注意が必要です。

節税のためには壊してすぐに売却することが必要なのです。

また、注意すべきポイントは不動産売却の翌年に必ず確定申告をしなければならないことです。

確定申告の際に、不動産に実際に住んでいたことか、住んでいなかったとしても家族が住んでいたことを戸籍の附票などで証明をすることで適用を受けられます。

実際の手続きは売却の翌年になるため、適用を考えている方は忘れずに確定申告をしてください。

居住用で所有期間10年を超えると受けられる軽減税率

自分が住んでいたマイホームを売却した時点で所有期間が10年を超えている場合には、長期譲渡所得の税率よりもさらに低い税率で所得税の計算をすることができます、
これを「10年超所有軽減税率」といいます。

長期譲渡所得税の税率を低く抑えることができるので節税効果を受けることができます。

この軽減税率の特例を受けるには、自分が住んでいたか家族が住んでいたホームであることと、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていることが必要です。

この特例を適用した場合、6,000万円以下の部分については長期譲渡所得税の10%、復興特別所得税は0.21%、住民税は4%に軽減することができます。

そして6,000万円を超える部分について、長期譲渡所得税は15%、復興特別所得税は0.21%、住民税は5%です。

この特例も非常に大きな節税方法の一つです。

そして、この特例を受けるためにも必ず確定申告が必要になります

居住用財産の買い替え特例

マイホームを売却して、別のマイホームに買い換えた時には、課税を将来に繰り延べることができます。

これを「居住用財産の買い替え特例」といいます。

特に注意が必要なのは、この特例を適用しても非課税になるわけではなく、あくまでも将来に繰り延べしただけなので、次にマイホームを売却する際にはまとめて課税されるので正確には節税ではないのですが、売却に伴う税金の支払いを後に繰り延べることができるため、節税と同様の効果が得られます。

控除や特例の組み合わせで有利な節税方法を選択する

「居住用3,000万円の特別控除」「10年超所有軽減税率」「居住用財産の買い替え特例」はそれぞれ組み合わせができる、できないの関係があります。

たとえば「居住用3,000万円特別控除」は「10年超所有軽減税率」と併用することができますが、「居住用財産の買い換え特例」とは併用することができません。

仮に「居住用3,000万円の特別控除」と「所有10年超えの軽減税率」を併用すると、まず譲渡所得から3,000万円を控除して、残りの譲渡所得に対して6,000万円以下、6,000万円超えでそれぞれの税率で課税されます。

注意すべきは「居住用3,000万円の特別控除」の適用を受けてしまうと、売却後に新しくマイホームをローンを組んで購入する場合に、住宅ローン特別控除の適用を受けることができなくなってしまう点です。

これらの制度を使用して節税をしようと考えている方は、事前にどれとどれの適用を受けるほうが有利かを計算しておきましょう。

なお、これらの特例を受けるためには、全て確定申告が必要となります。

そして確定申告の際に、譲渡所得の内訳書を提出し、それぞれの特例を適用すること、適用の要件に当てはまっていることを申告する必要があります。

つまり、申告しなければ特例を受けることができないということです。

譲渡所得は税率が下がるタイミングで売却をして節税をする

譲渡所得税には短期と長期があり、不動産を所有していた期間によって税率が異なります。

短期譲渡所得税の税率が15%に対して、長期譲渡所得の所得税は30%でかなりの違いがあります。

税金対策のために節税をするのであれば、長期譲渡所得が適用されるタイミングは必ず把握しておきましょう

長期譲渡所得が適用されるタイミングは、不動産を取得した日の翌日から売却した年の1月1日までの所有期間が5年を超えていることです。

注意が必要なのは売却した年の1月1日が判定日になるので、その年内であればどの日に売却しても所有期間が変わらない点です。

たとえば2013年8月1日に取得した不動産を2018年10月1日に売却する場合、所有期間は5年2ヶ月なので長期譲渡所得になるだろうと判断をしてしまうケースです。

実はこの場合は、2014年の1月1日が基準日なので計算上の所有期間は4年10ヶ月となり、5年以下なので短期譲渡所得になってしまいます。

短期と長期では税率が10%以上も異なるためこの誤解は要注意です。

被相続人の居住用財産(空き家)限定の節税方法

両親が住んでいた実家を相続した場合など、実際に住んでいなかった不動産を相続して、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売却した場合、一定の要件に当てはまる時は、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

これを被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。

相続財産の場合は、契約書がどこにあるかわからないことが多く取得費を算出することが難しいため本来は取得費の計算や、譲渡所得の節税が難しいのですが、この特例を使うと譲渡所得から直接控除できるため節税効果が高いです。

この特例が適用される要件は、昭和56年5月31日以前に建築された建物であること、マンションではないこと、相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金の合計額が1億円以下であることに当てはまらないといけません。

この特例の適用を受けるためにも、書類を添えて確定申告をすることが必要です。

まとめ

これらが不動産売却の節税のご紹介でした。

ポイントは、譲渡所得をどうやって減らすかという点と、特別控除や軽減税率の特例を上手に組み合わせて最も節税に有利な組み合わせを選択するかという点です。

この2つは両方同時に行うことで、より節税の効果を高めることができますので、正しい知識を得た上で上手に節税を行ってください。

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