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賢く土地売却を行うためのポイント、教えます

不動産流通推進センターの調査によると、不動産取引はここ数年110万件より130万件の間で推移しています。

かなりの数とはいえますが、この件数で推移すると、60年間の延べ取引件数は7000万件前後と推計され、生涯1度も不動産売却に係わらない日本人も大勢いるわけです。

つまり不動産の売却は、数多い「普通の人」にとって未知の世界なのです。

そのうえ不動産取引は相対取引で個別事情に左右される要素が多く、取引プロセスも複雑です。

だから下手をすると、仲介業者に丸投げなんてことになりかねません。

しかし、仲介業者はあくまでパートナー・アドバイザーに過ぎません。

具体的な手続きを委ねたり、専門的なアドバイスをお願いはしても、主役はあくまで売主自身です。

主体的な判断が下せるよう、自ら情報武装・理論武装に努めなければいけません。

今回の記事では、不動産売却を円滑に進め、確実な成果につなげるポイントについて、その基本を紹介します。

不動産の価格に影響を与える規制や権利関係

不動産には、法的規制や複雑な権利関係が絡むケースも少なくありません。

その他、土壌問題など一般には知られていない特殊事情もかかり、これらは不動産価格に大きな影響を与えます。

法的規制

本来、不動産は所有者による自由な利用が原理原則です。

ただし、それを許していると無秩序な造成・建築や土地開発を招き、良好な住環境や景観の保持を損ないかねません。

例えば、一軒家ばかりの閑静な住宅地のど真ん中に、風俗店があったらどうでしょう。

そこで国や自治体は、都市計画法や建築基準法により土地の用途(商業施設・住居・工業用地・農地など)を区分したり、建ぺい率や容積率を規制しています。

都市計画法では、市町村長が都市計画区域を指定したうえで、市街化調整区域と市街化区域に線引きしする旨を定めています。

<非線引き区域>

このうち、線引きされていない区域は、都市計画法による用途地域の規制を受けません。

開発許可申請も、3000㎡未満の場合は必要ありません。

一般的には、人口密度がまばらで土地利用規制の必要性が薄い過疎地がこのエリアとして取り扱われるようです。

ちなみに神奈川県の場合、山北・箱根・真鶴・湯河原の各町全域と相模原市の一部が非線引き区域です。

県内都市計画区域20.0万ヘクタールのうち、2.7万ヘクタール(13.5%)が非線引き区域です。

一方人口でみると、県内人口915万人のうちわずか9万人(1.0%)を占めるに過ぎません。

<市街化調整区域>

都市計画法は、市街化区域の周辺に市街化を抑制するエリアを設ける考え方をとっています。

このエリアが市街化調整区域と呼ばれ、良好な自然環境を維持しなければなりません。

市街化抑制区域ですから、当然水道・ガスや道路・交通といった公共インフラ整備は後回しとされます。

建築規制も厳しく、地域で農林水産業を営む住民の住居・最低限必要な店舗・農林水産業に必要な倉庫や作業所などに規制されます。

増改築を含めすべての建築行為に都道府県(市町村ではありません)の許可が必要で、ハードルが極めて高くなっています。

そんな市街化調整区域は金融機関にも敬遠され、一般的に融資は付きません。

不動産業者にも嫌われがちですが、一方で市街化調整区域を得意とする仲介業者も存在します。

調整区域に関する規制は行政裁量によっても大きく左右され、最近では開発許可を緩和している自治体も多いようです。

ただしそうした地域差は、地元自治体に食い込んでいないとわかりません。

だからこそ、行政に食い込んでいる不動産業者は強いのです。

調整区域はなにも田舎だけ話ではなく、例えば藤沢市の場合は都市計画区域6957ヘクタールのうち2203ヘクタール、実に3割以上が市街化調整区域に指定されています。

<市街化区域>

市街化区域については、整然とした街並み整備を図るために、大きく分けて 住居・店舗・工場の3エリアの用途別にエリアを分け、さらに規制の度合いによって12の用途地域に区分しています。

例えば住居エリアの場合、第1種低層住居専用→第2種低層住居専用→第1種中高層住居専用→第2種中高層住居専用→第1種住居→第2種住居→準住居の順に規制が緩くなり、戸建て住宅街が原則の1種低層では原則として店舗の建築がNGなのに対し、準住居地域では10000㎡までならボーリング場やパチンコ屋の建築も認められます。

基本的に建ぺい率や容積率、さらには用途など規制の緩い地域ほど利用価値が高く、不動産価格にも反映されます。

権利関係


不動産の権利は、「所有」だけではありません。

「借りる権利」「使う権利」も立派な権利であり、一部の権利は法律により強く保護されています。

<借地権>

たとえば「旧借地法」による普通借地権は半永久的な権利であり、地主は勝手に立ち退かせることはできません。

借地権が設定された土地は、不動産取引で敬遠され、一般の業者は取り扱いません。

借地権がついている土地(いわゆる底地)は、地主が自由に利用することができません。

そのため、底地の売却は極めて難しい、できるとしても大きく買いたたかれることを覚悟しなければなりません。

一方、借地権そのものの売却も、地主の承諾がないと実現しません。

借地権の売買は融資の審査が下りないこともあり、不動産取引では敬遠されます。

ベストな解決策は、借地権者が底地を買い取る、逆に地主が底地権を買い取り、普通の土地として売却することです。

<地役権>

地役権とは、一定の条件で土地の利用ができる権利で、私道や用水路の使用権の他、水道・ガス・電気など公共インフラ整備のために設定されます。

高圧送電線が通っている土地は、一般的に電力事業者との間で地役権設定に関する契約が結ばれています。

家庭に届くときは100ボルトまで落とされる電圧も、変電前は数万ボルト数十万ボルトに達します。

そのため送電線付近の土地利用は、法律により大幅に規制されます。

17万ボルト以上の場合は架線から3m以内は建物が建築できず、17万ボルト未満でも建物の高さ制限が課せられます。

さらに送電線や鉄塔は強風時の風切り音・災害時の断線・景観・変電設備への風評(健康被害等)の面から敬遠され、価格も安く買いたたかれがちです。

こうした物件は一般的に「嫌悪施設」と呼ばれます。

土壌関係

クリーニング店や町工場を長年営んできた土地は有害物質のたい積が懸念され、買主からは地質調査や土壌改良が求められます。

こうした要素は、一般的に価格引き下げに働きます。

ここではクリーニング店の事例を紹介します。

クリーニング店といっても、引き取り専門・アイロンがけのみ作業等の店舗もあり、これらは特段問題視されません。

問題は、クリーニングを行っている店舗です。

一般的にドライクリーニングでは、土壌汚染対策法により第一種特定有害物質に指定されているテトラクロロエチレンが使用されます。

第一種特定有害物質は健康被害をもたらす可能性が大きい化学物質で、これを使用する作業所(特定施設)は、原則として廃業時における土壌調査が義務付けられます。

クリーニング店の多くは敷地面積300㎡以下の小規模事業者であり、多くの自治体では土壌調査が免除されるようです。

ただしマンション用地への売却等の場合、買主側から土壌調査、基準値を超えた場合の汚染対策を求められることがしばしばあります。

クリーニング店の場合は土壌調査や基準値を超えた場合の対策コストも50万円程度に収まりますが、重金属を使った町工場では更に多額のコストが生じる場合も想定されます。

不動産取引の流れとチェックポイント


不動産取引は、下調べ→査定→媒介契約締結→売却活動(広告と内見)→成約→物件引渡しといった流れをたどります。

そこでのチェックポイントを、いくつか紹介します。

媒介契約は1社専任だけとは限らない

仲介業者との媒介契約は3種類あり、専属専任媒介契約→専任媒介契約→一般媒介契約の順に縛りが緩くなります。

一般的に仲介業者は、1社で仲介窓口を独占できる専属専任または専任を勧めてきますが、一概に1社に任せるのが得策とは言い切れません。

例えば人気物件の場合は、複数業者を競わせる一般媒介契約が有利なケースが多いのも確かです。

ちなみに、全媒介契約のうち一般媒介契約は約4割をしめており決して少数派ではありません。

媒介契約の選択は、さまざまな角度から検討する方が賢明です。

内見では生活感・生活臭を消す

みなさんは、居住中の中古マンションや中古住宅を内見したことがありますか。

内見の時に気になるのが、生活感であり生活臭です。

内見では生活しているそのままを見せれば良いのですが、玄関が散らばっている・床が拭かれていない・キッチンに洗い物が残っているのはNGです。

ましてや、「食事中」だったなんて場合、引いてしまいます。

せめて内見を控えているときは、整理整頓や清掃を心がけましょう。

ホームステージングに簡単に飛びつくな

転居後の中古マンション・戸建てをレンタルインテリアや小物で飾り、まるでモデルルームのように見せる手法がホームステージングです。

ホームステージング協会によると、なんでもアメリカでは30年前から始まり、スウェーデンでは8割程度普及しているとか。

ホームステージングを実施した場合は、平均42日間で売却に成功しているそうです。

問題は、コストです。

ライトプランでも20万円、スタンダードプランだと30万円もかかります。

さらにオプションでVR撮影・グレードアップ・ベランダ装飾などのオプションがついてきます。

そもそも販売活動で必要なコストは、仲介手数料で認められる範囲(媒介契約に記載されたサービスメニュー)にとどめるのが大原則です。

それ以外にお金をかけるのは、よくよく慎重になるべきです。

最後に-トラブルは未然に防止しよう

残念ながら、不動産取引に関する監督官庁の処分(免許取り消し・業務停止・指示等)は年間200-300件発生しています。

その他にも500-700件の勧告を実施しています。

その他、自治体などが受け付けた苦情・紛争相談に関する件数は2000件近くに上ります。

紛争の理由は重要事項説明事項の不告知・ローン不成立に伴う契約解除、瑕疵問題・高額手数料の請求・預かり金の返還など実に様々です。

売却に係わる以上、あなたも他人事ではありません。

トラブルに巻き込まれないためにも、不動産売却の基本的なポイントだけは押さえておきましょう。

それでも、相手はプロの仲介業者です。

どんなに頑張っても太刀打ちできないかもしれません。

結局は、信頼できる仲介業者に頼めるかにかかっているのです

では30万社以上ある不動産業者の中から、どうやって優良な業者を選び立てすればよいのでしょうか。

残念ながら、取引件数や過去の紛争実績・業界や地域での評判を的確に把握するのは困難です。

そこで、チェックポイントとしたいのが「身なり」や「礼儀正しさ」です。

来訪時、玄関に置かれた靴がきちんと磨かれているか、スーツがよれよれになっていないか、あいさつがきちんとできるか、こうした当たり前のことが大事なのです。

仲介業者は、売却活動を大きく左右します。

ぜひとも間違いない仲介業者選びを心がけましょう。

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