古い家を売るときの問題点とは?古い家の耐震基準から解体費相場から売却する7つの方法を解説
この記事でわかること
- 古い家を安心して買主に買ってもらう方法がわかる
- 古い家を売る方法がわかる
- 古い空き家を放置するリスクがわかる
子どもたちが小さなころは、たくさんの荷物があって狭いと感じた家。
しかし成人して独立した後は、がらんとして「今の自分たちには広い」と感じるときがあるでしょう。
年を重ねて、若いころは感じなかった玄関の段差や階段を上るのが辛い方もいるのではないでしょうか。
家には家族の歴史がつまっています。
思い入れと折り合いをつけて、古い家の売却の準備を始めるのは容易ではありません。
しかし家はどんどん古くなるため、メンテナンスせずに放っておくと大規模な修繕が必要になるかもしれません。
またバリアフリーにしなければ、高齢になったときに自宅で過ごせなくなる恐れがあります。
「古い家を売却し、現在のライフスタイルに合わせた家に住み替えたい」「親が住んでいた空き家を処分したい」と考えていても、「古い家を売っても問題点はないのだろうか」などの不安もあるでしょう。
そこで、この記事では古い家の評価方法、古い家を売却するときによくある勘違いや売却の流れなどを詳しく解説します。
古い家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
古い家の基準とは?築20年?40年?
ひとくちに「古い家」といっても、建築後どのくらい経過した家を「古い」というか、気になる方もいるのではないでしょうか。
「古い家」とは建築後どのくらい経過した家なのかは、法律による明確な定めはありません。
ただ、「築20年」の木造住宅は古い家といわれることがあります。
また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅は、建築後40年経過しているかどうかが一つの目安です。
家の古さを示すとき、一つの基準となるのが建物の減価償却と耐用年数です。
また、中古住宅の価値を判断するとき、国が定めた「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」が参考になります。
古い家の売却を検討している方は、減価償却における耐用年数と中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針について理解しておきましょう。
減価償却資産の耐用年数
建物や車など、時が経つにつれて価値が減っていく資産を「減価償却資産」といいます。
法令により定められている減価償却資産の法定耐用年数は、建物の耐用年数の目安でもあります。
住宅用の建物の法定耐用年数は、木造住宅は22年、鉄筋コンクリート造の住宅は47年です。
木造だと約20年、鉄骨や鉄筋コンクリート造だと40年前後経過すると、古い家と呼ばれることがあるのは、法定耐用年数が目安となっているようです。
慣行と国の指針
では、建築後20年以上経過すると、どんなにしっかりした施工による家でも、資産価値はゼロになってしまうのでしょうか。
初めて取得した大事なマイホームや、家族の思い入れがある実家の資産価値がまったくないと言われてしまうのは、寂しいという方もいるでしょう。
また、建築後数年経った時点で施した大規模な修繕やリフォ―ムは考慮されないのかも気に掛かるところです。
日本の中古住宅流通市場の慣行では、築後20~25年の建物の資産価値を認めないとされ、古い家の売買が活発化しない要因となっていました。
そこで、中古住宅の適切な評価のため、国は「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定しています。
中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針では、主に以下のことを定めています。
- 住宅を基礎や躯体と内外装・設備に大きく分類する
- 基礎や躯体については、性能に応じて、20年より長い耐用年数を設定する
例:長期優良住宅は耐用年数を100年超とする - リフォームを行った住宅は、建物の評価に反映する(基礎・躯体部分の機能が維持されている場合に限る)
このように、外壁や土台の修繕を行ったり、内装のリフォ―ムを行ったりした家であれば、築20年を超えていても、資産価値が高いと評価される場合があります。
国が勧めるインスペクションとは
ここまでみてきたとおり、古い家を築年数で評価すると、必ずしも適切な価格で売れるとはいえません。
そこで、国は古い家を売る前に建物状況調査(インスペクション)を実施することを勧めています。
次の部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査をインスペクションと言います。
- 建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
インスペクションは、建築士が行う調査です。
インスペクションを行う建築士は国土交通省が定める講習を修了している必要があります。
このインスペクションを受けると、引渡し後のトラブルを回避し、競合物件との差別化をはかれます。
見た目の古さだけでなく、建物の安全性への不安も、購入希望者が古い物件を避ける要因です。
建築士と提携している不動産会社もあるので、インスペクションに興味がある方は、不動産会社に相談してみましょう。
古い家を売る7つの方法
古い家を売る際に陥りやすい勘違いがわかりました。
次は、古い家を売る方法を確認しましょう。
古い家を売る方法として考えられるのが次の7つです。
- 1.古屋付き土地として売却する
- 2.瑕疵担保保険を付保して売る
- 3.解体して更地を売る
- 4.土地を分割して売る
- 5.部分的にリフォームして売る
- 6.不動産会社(仲介業者)に買い取ってもらう
- 7.空き家バンクに登録する
古屋付き土地として売却する
まず古屋付き土地として売却する手段です。
古い家を使うか取り壊すかは買主の判断によります。
古屋付き土地として売ると、建物に興味を持ってもらえる層と土地に興味がある層の両方を相手にできるメリットがあります。
また、買い手も建物付きの土地を買うと住宅ローン融資を受けやすくなるため、売れやすくなる点も魅力です。
特に、傷があまりなく大切に住んでいた家の場合、高く売れることもあるでしょう。
しかし、更地での利用を考えている買い手が購入したときに、解体費用を請求されたり費用分の値引きを求められたりするケースがあります。
また、売れるまでの間は古い家の管理をしなければならず、長期間売れない状態が続くと管理の手間や費用がかかる点もデメリットといえます。
瑕疵担保保険を付保して売る
売買の後に該当の物件に傷などがあったとき、その補修を行う際に費用を保険料から支払われる保険のことを、瑕疵担保保険といいます。
瑕疵担保保険を付けたとき、購入後に不具合があった場合にも保険で対応できることから安心感が生まれ、買い手も安心できるのです。
築20年を超える建物をそのまま売却すると、買い手は住宅ローン控除が利用できません。
しかし、瑕疵担保保険に加入しておけば住宅ローン控除が使用でき、所得税の節税にもつながります。
解体して更地を売る
古い家を解体して更地にして売るのも、古い家を売却する方法の1つです。
損傷が多い場合や管理状態が良くない場合など、建物の価値がないときは解体して更地にした方が高く売却できるケースも多くあります。
更地を求めている買い手にとっては、建物を解体する手間が要らないため魅力的な物件となるでしょう。
また、家屋の管理状態が良くないときは、解体しておけば印象が悪くならずに済みます。
その反面、解体費用がかかる点はデメリットとなります。
通常、売主が解体費用を負担するため費用相場は理解しておいた方がいいでしょう。
解体費用は一般的に100万円から200万円程かかるため、売却できていない段階ではリスクも大きいでしょう。
木造住宅の解体費用は、おおむね1㎡あたり1万5千円(資材の撤去費用など含む)です。
例えば、70㎡(3LDK程度)の解体なら、100万円程度の費用がかかってしまいます。
解体して更地として売るべきかどうかは、不動産会社と良く相談してから決めるとよいでしょう。
また、更地にすると、家屋が建っていたときと比較して固定資産税は最大6倍になり負担が生じることも理解しておきましょう。
土地を分割して売る
古い家の場合、広い土地に建っていることも多くあります。
土地が広いと価格が高くなるうえに、固定資産税も高くなって買い手が見つからないケースもあります。
そこで有効なのが、土地を分割して売る方法です。
土地を分割すると価格や固定資産税額が抑えられるため、売却しやすくなる点がメリットといえます。
特に土地が広すぎる場合には、分割して売る方法を検討してみると良いでしょう。
しかし、分割したときに不特定多数の人に同時に売れない点はデメリットです。
不動産売却の事業は、不動産売買の免許がない行えません。
不動産を反復継続して不特定多数に売却すると事業を営んでいたとみなされてしまう可能性があるため、注意しなければなりません。
部分的にリフォームして売る
古い家を部分的にリフォームして売る方法もあります。
古い家を購入する人は、好みに合わせてリフォームしたい傾向が見られるため、基本的には売却時にリフォームをする必要はありません。
逆に、買い手の好みに合わないリフォームをしてしまうとかえって売れなくなる心配もあります。
しかし、お風呂やトイレなどの水回りをリフォームしておくと買い手も安心できます。
築年数の経過とともに劣化しやすい部分がリフォームしてあれば、魅力も高くなるでしょう。
その反面、トイレであれば30万円~50万円、お風呂のリフォームで60万円~150万円程の費用がかかります。
リフォーム費用は家の売却前に行うため、自己資金で負担しなければいけません。
不動産会社(仲介業者)に買い取ってもらう
古い家を売却するもう一つの手段として、買取があります。
買取とは、不動産会社が買主になって家の売買を行う方法です。
買取は不動産会社と取引を行うため、確実かつ素早く不動産を売れるのが一番のメリットです。
1カ月から3カ月程度で売買できるうえに、買主を探す必要もありません。
仲介の際に発生する仲介手数料も払わずに済みます。
さらに、売買成立後に不具合が見つかったときにも責任を問われないため、古くなった家でも安心して売買できる点もメリットの1つです。
ただし、買取は仲介などと比べて売却額が安くなります。
また、すべての家を買い取ってもらえることはなく、不動産会社が再販できる見込みがないと判断すれば買取できないケースもあります。
参考:不動産会社仲介と買取、どちらがお得?
古い家を売却するとき、不動産会社に仲介を依頼するのがよいのか、買い取ってもらうのが良いのか悩む方もいるでしょう。
売却を急いでいるかどうか、急がずできるだけ高く買ってくれる方を待ちたいか、各ご家庭の事情を考慮しましょう。
一般的に不動産会社に買い取ってもらうと、購入価格は低くなりますが、早期に買い取ってもらえます。
ただし、場所や大きさ、築年数などにより不動産会社が買い取らない物件があることも理解しておきましょう。
これに対し、仲介を依頼すると買取より時間がかかることがあります。
また、買取と違い仲介手数料がかかりますが、仲介を依頼した結果、希望額に近い価格で売却できれば問題ありません。
不動産会社に仲介を依頼したうえで、一定の期間が過ぎたら買い取ってくれる不動産会社を探してもらえます。
売却を急ぐ場合を除いて、性急に買取を選択する必要はありません。
不動産会社の仲介と買取は、それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご家族の事情に合わせて検討してください。
空き家バンクに登録する
空き家を売買したり賃貸したりする人のために、空き家バンクを運営している自治体があります。
古い空き家を売りたいときに、空き家バンクに登録してみるのも方法の1つです。
古い家に家財などが残っている場合など、不動産会社では断られる可能性があります。
しかし、空き家バンクであれば不動産会社で扱えないような物件も登録して売買できます。
売却したい家のある自治体に空き家バンクがある場合は、利用してみるのも良いでしょう。
古い家を売却するまでの流れ
古い家を売却するには、次のステップを踏みます。
- 1.相談と簡易査定
- 2.訪問査定(本格的な査定)
- 3.媒介契約締結
- 4.内覧対応
- 5.売買契約
- 6.決済・引渡し
- 7.確定申告
この流れを簡単にみていきましょう。
査定
査定には、簡易査定と訪問査定があります。
簡易査定は机上での簡単な査定であり、訪問査定は物件を不動産会社が確認して行う査定です。
古い家の場合、簡易査定では分からない不具合や、リフォームか所の確認をしなければ正確な査定を行えません。
正確な査定額を算出してもらうためにも、早めに訪問査定の予約をしましょう。
訪問査定により査定額が出て、その価格で納得したら媒介契約締結に進みます。
媒介契約締結
媒介契約には次の3種類があります。
一般媒介契約 | 複数の不動産会社に依頼することができる媒介契約 |
---|---|
専任媒介契約 | 1社のみに依頼することができる媒介契約 (ただし、自分で買主を探してきてもよい) |
専属専任媒介契約 | 1社のみに依頼することができる媒介契約 (ただし、自分で買主を探した場合でも報酬を支払う義務有り) |
それぞれの種類にメリットとデメリットがあります。
どの種類を選ぶべきかよく検討したうえで媒介契約を締結することが大切です。
内覧対応・売却
媒介契約を締結したら、不動産会社が営業活動を始めます。
古屋の内覧会などを実施するケースもあります。
そのためどのような手順で内覧希望者に対応するか、不動産会社とよく相談しておくことが大切です。
購入希望者との代金や引渡し時期などの条件が整えば、売買契約を締結できます。
決済
売買契約締結後、すぐに売買代金の決済と物件の引渡しを行うケースもありますが、通常、1~3か月後に決済・引渡しとなります。
不動産譲渡所得があれば確定申告をしなければならないので、忘れないようにしましょう。
確定申告
確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までに得た所得について、所得税額を申告し、納税するものです。
原則として、確定申告は所得のあった翌年の2月16日から3月15日までに手続きを行います。
所得税は、原則として申告期限の3月15日までに納付しなければなりません。
なお、住民税の場合、一括納付と分割納付を納税者が選択できます。
古い家を売る際の問題点
古い家を売る際、いくつかの問題点があります。
そのなかでも特に注意したいのが、耐震基準を満たした建物であるかどうかです。
耐震基準を満たしているかどうかは、建物の価格に影響します。
また、購入希望者にとって重要なのが、築年数によって住宅ローンを組めない可能性があること、税制の優遇を受けられない場合があることです。
ほかにも、古い家を売る際の問題点として、境界のトラブルがあります。
古い家を売る際に確認すべき旧耐震基準と新耐震基準、境界確定の必要性、住宅ローンや税制についてみていきましょう。
旧耐震基準と新耐震基準
相次ぐ地震による被害を教訓とし、昭和56年に建築基準法が改正され、建物の耐震基準が改められました。
新耐震基準では以下の基準を掲げています。
- 中規模の地震(震度5強程度)でほとんど損傷しないこと
- 大規模の地震(震度6強~7程度)で倒壊・崩壊しないこと
昭和56年以前に建築された建物は、築40年以上経過しています。
築40年以上の家は、建築年数だけでなく、旧耐震基準に基づいて建築されていることも、建物の価値に影響します。
新耐震基準が施行された後に竣工した建物でも、新耐震基準を満たしていない建物があるので注意しましょう。
建物を新築する場合、市区町村の建築確認が必要です。
旧耐震基準に基づいて建築確認を受けた建物が、新耐震基準施行後に竣工したケースであれば、上記の基準を満たしていなくても違法ではありません。
なお、阪神・淡路大震災のとき、倒壊などの被害が集中したのは、新耐震基準が作られる以前に建築された建物でした。
ご自身がお住いの家が新耐震基準を満たしていなければ、売却を予定していなかった方も改めて住み替えを検討してはいかがでしょうか。
新耐震基準後の建築でも注意が必要
また、熊本地震(平成28年4月)では、旧耐震基準により建築された建物だけでなく、新耐震基準による建物が被害を受けました。
そこで一般財団法人日本建築防災協会により作成されたのが「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)」です。
この検証法では、専門家ではなく建物の所有者が耐震性能検証を行うチェックリストを公表しています。
このチェックリストの利用は、専門家への依頼の手間や費用負担を軽減するため、有益な方法です。
ただし、耐震性能検証のチェック項目には専門性の高い内容もあります。
在来軸組構法、はり等(土台、胴差、軒桁など)、筋交いなどの専門用語の知識が必要です。
住宅ローンや税制の優遇
中古住宅の場合、築年数によって住宅ローンを組めなかったり、税制の優遇を受けられなかったりします。
住宅ローンや住宅ローン控除などの税制は、売主にとっては関心が薄い内容ですが、購入希望者にとっては重要です。
例えば、木造一戸建てなら築25年、鉄筋コンクリ―ト造のマンションなら35年を経過した物件は住宅ローンを組めないとする金融機関もあります。
また、所得税の優遇措置である住宅ローン控除を受けるには、原則として築年数の条件があります。
- 木造建築(耐火建築物以外) 築20年以内
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造(耐火建築物) 築25年以内
「木造20年」、「鉄筋、鉄筋コンクリート25年」を、古い家を売却するタイミングの目安とすることも大切です。
ただし、耐震基準適合証明書を取得した住宅であれば、築年数にかかわらず住宅ローンを組めるとしている金融機関もあります。
また、住宅ローン控除についても、耐震基準適合証明書を取得した住宅に適用されます。
購入希望者に安心して購入してもらうため、耐震基準適合証明書の取得を検討してもよいでしょう。
境界確定の必要性
古い家の敷地は、隣地との境界がはっきりしないケースがあります。
正式な測量をしたことがない場合もあるでしょう。
測量して地積測量図が作成されていても、境界標が地中に埋もれているケースも珍しくありません。
境界がはっきりしないと、土地の買主が隣地の所有者とのトラブルに巻き込まれる恐れもあります。
将来のトラブルを回避するためにも、早めに測量することが望ましいでしょう。
ただ、古い家の売却について不動産会社に相談すれば、測量の必要性について適切なアドバイスを受けられます。
また、測量士を紹介してもらえる可能性もあります。
古い家の敷地の境界が明瞭でない場合は、早めに不動産会社に相談しましょう。
古い家を売る際に起こりやすい3つの勘違い
ここからは、古い家を売りたいと考える方が陥りやすい勘違いを3つをご紹介します。
地方の土地は売れない?
3大都市圏(東京、大阪、名古屋)や3大都市圏以外の政令指定都市(仙台、福岡、広島など)は、不動産が流通する大きな市場です。
では、都心部以外の地方の土地は売れないのでしょうか。
結論から申し上げると、そのようなことはありません。
生まれ育った町へのUターン需要もあります。
また、地方都市それぞれに街の活性化のため、さまざまな定住促進対策を打ち出しています。
子育て世代を対象に、引越し費用の補助などの施策を設けている自治体もあります。
自然豊かな地方都市で「街ぐるみで子育て支援をしてくれるなら」と、地方への移住を決意する若い世代もいる状況です。
IT関連など都心で仕事をする必要がない職種の方が、風情ある古い住宅をSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)として活用するケースも、地方の古い家の流通を促進する要因の一つです。
このように、地方の住宅が売れないとは言い切れません。
地方だからという理由で売却を控えている古い家をお持ちの方は、臆せず不動産会社に相談してみましょう。
リフォームしたほうが高く売れる?
結論から言えば、ケースバイケースです。
古い家の売却先がはっきりしない時点で、多額の費用を掛けてリフォームを行うのは危険です。
これは売却をしてもリフォーム費用を回収できない可能性があることが背景にあります。
リフォームには小規模なものから大規模なものまであります。
新築同様の建物によみがえらせるための大掛かりなリフォームは、500万円から1,000万円かかってしまいます。
最近は、低額で古い家を取得し、自分好みのリフォームを希望する購入希望者もいます。
また、リフォーム業者に依頼せず、少しずつ自分でリフォームするのも流行っています。
古民家カフェなどマスコミでも話題のDIYです。
DIYとは、リフォーム業者でない方自ら修繕することで、「ドゥ イット ユアセルフ」の略語です。
レンタルオフィス、シェアハウス、高齢者向け介護施設を運営する事業者が古い家を購入してDIYすることもあります。
まだ長く暮らすかもしれないという理由や、耐震改修のため行うリフォームなら有益です。
しかし、売却益を見越したリフォームはリスクを伴うので、よく検討してからにしましょう。
解体して更地にしたほうが売れる?
売却が決まらないうちに費用と手間を掛け過ぎて損することがないよう、気をつける必要があります。
家の解体費用は100万円前後かかることもめずらしくありません。
また、家を解体すると固定資産税の住宅用地の特例を受けられなくなります。
住宅の敷地として利用されている土地の固定資産税は、以下の通り、軽減されているからです。
「古くてもよいから家付きの土地が欲しい」という人もいるので、急いで家を解体する必要はありません。
小規模住宅用地 (住宅の敷地で200平方メートル以下の部分) | 土地の価格×1/6 |
---|---|
一般住宅用地 (住宅の敷地200平方メートルを超える部分) | 土地の価格×1/3 |
古い家を解体する場合、倒壊の危険性などの緊急性や固定資産税など総合的に考慮する必要があります。
古屋を放置するリスク 行政代執行される?
近年、全国で空き家が増加し、社会問題となっています。
古い家でも、住人が適度にメンテナンスしていれば、近隣に迷惑をかけることはありません。
しかし、親から相続した空き家や、自分が引っ越して数年経つ家を放置していると、さまざまな問題が生じます。
まず、倒壊の危険性です。
老朽化した空き家を放置していると、瓦の落下、建物の壁の崩落、塀の倒壊など、近隣住民に大けがを負わせる可能性があります。
また、空き家は空き巣被害や放火など犯罪の温床となる危険性があります。
このようなリスクを排除するため、自治体が行政代執行により空き家を取り壊した場合、取り壊し費用を自治体から請求されることを覚えておきましょう。
自治体によりいきなり空き家が取り壊されるわけではありませんが、行政代執行されないよう早期の売却を検討すべきです。
なお、空き家の売却を促進する施策として、知っていると得な制度があります。
家の売却・賃貸を促進するさまざまな施策を打ち出しています。
ここでは「知っていると得する制度」を2つ見ていきましょう。
- 空き家バンク
- 空き家のリフォーム費用の補助
空き家バンクや空き家のリフォ―ム費用の補助についてや、制度の有無や利用方法などは、空き家が所在する自治体に問い合わせれば教えてもらえます。
空き家は固定資産税がかかり、いつか負の財産となります。
早めに処分を検討しましょう。
まとめ
一戸建てから分譲マンションへ、郊外から都心へ、ライフスタイルに合わせて住み替える方が多くなっています。
子どもの結婚や独立、自身の退職など各家庭のライフイベントごとに、古い家を売却すべきかどうか考えることをおすすめします。
普段から家の売却を検討していないと、どうしても売らなければならないときに、予想以上に時間がかかってしまうこともあるからです。
また、古い家の売却と併せて相続税対策も始めるとよいでしょう。
古い自宅と預貯金、株式を持っているだけでも、相続税がかかるケースがあるからです。
人生100年時代に合わせたファイナンシャルプランを立てるためにも、古い家の売却を早めに不動産会社に相談しましょう。