土地売却で損しないために!相場・査定・期間・費用と手数料・税金について徹底解説
この記事でわかること
- 土地売却の流れについて理解できる
- 土地売却の税金・費用・必要書類がわかる
- 損しないための土地売却のコツがわかる
土地などの不動産は売却によってまとまった資金を得やすい資産です。
ただ、土地などの不動産は売却に際して専門的な知識も絡むため「自分で売却しても損しないだろうか」「どのように売却を進めたらいいのだろう」「売却で必要な費用や書類がわからない」と不安を覚えるのではないでしょうか。
この記事では、土地売却の流れや費用、損しないためのポイントをわかりやすく解説します。
土地売却で損しないための手引きになさってください。
目次
土地売却の流れと期間
まずは土地売却がどのような流れで進むのか見てみましょう。
土地売却の手続きは基本的に次の9つのステップで進みます。
- ① 情報収集をする
- ② 不動産会社探し
- ③ 不動産会社への相談
- ④ 不動産会社と契約
- ⑤ 土地の売り出しと宣伝広告
- ⑥ 購入希望者の見学・交渉
- ⑦ 土地の売買契約を結ぶ
- ⑧ 決済・引き渡し・登記
- ⑨ 確定申告
土地の売却相手がすでに決まっている場合や不動産会社に土地を買い取ってもらう場合(不動産買取を利用する場合)などは、一部のステップを抜かすことがあります。
たとえば、土地を不動産会社に買取してもらう場合、買主はすでに決まっている状態です。
この場合、買主を探すための宣伝広告は不要になります。
先に書いた通り、ケースによっては一部のステップを抜かすことがあるため、不動産会社へ相談するときに大体の流れをあらためて確認するようにしましょう。
①土地の売却価格などの情報収集をする
最初に行うのは、土地の売却価格についての情報収集です。
土地の所有者が最も気になるポイントは「自分の土地はどのくらいの価格で売却できそうか」という点ではないでしょうか。
この世にまったく同じ土地はありません。
そのため、把握できるのはあくまで相場です。
しかし、相場を知っておくことによって、土地売却で損する可能性が低くなります。
土地売却の情報収集をして、似たような地域の似た土地がどのくらいの価格で売却されているか、確認しておきましょう。
また、土地売却の相場を知るための一物四価を知って、相場把握に努めましょう。
一物四価については、後の見出しで詳しく説明します。
②土地売却を得意とした不動産会社を探す
不動産会社にはさまざまなタイプがあります。
賃貸を得意とした不動産会社もあれば、投資用物件の案件を多く抱えている不動産会社もあります。
土地の売却は土地売却を得意としている不動産会社にお願いしたいもの。
不動産会社のサイトなどを「実績」「事例」「サポート」などのポイントでチェックして、土地売却が得意で安心して任せられそうな不動産会社をいくつかピックアップしておきましょう。
③見つけた不動産会社へ土地売却の相談をする
ピックアップした不動産会社の中から特に「土地売却を任せたい」と思える不動産会社に相談してみましょう。
相談はどの会社も基本的に無料です。
また、相談をして「自分には合わなそうだ」と思えば別の会社に依頼できるので、実際に話をしながら相性を見てみましょう。
相談をしながら「土地売却を安心して任せられる」と思える不動産会社か見極めることが重要です。
また、不動産会社に相談するときは土地を査定してもらい、不動産会社それぞれの査定結果も比較するようにしましょう。
土地を査定についても、基本的に無料です。
査定についても後の見出して詳しく説明します。
④土地売却を任せたい不動産会社と契約する
土地売却を任せる不動産会社を決めたら媒介契約(仲介契約)を結びます。
媒介契約は仲介契約とも呼ばれる「不動産会社が不動産売却をサポートするための契約」です。
土地の買主と結ぶ売買契約とは異なるので注意してください。
⑤土地の売り出しと宣伝広告をする
媒介契約を結んだ不動産会社に土地の買主を探してもらいます。
買主を探す主な方法としては、宣伝や広告などです。
ネットへの土地情報の掲載などを行い、「土地を買いたい」という買主候補を探します。
⑥土地の購入希望者の見学や交渉に対応する
広告などを見て「土地を見せて欲しい」という買主候補が出てきたら、土地の見学などの対応を行います。
土地の見学などについては土地の所有者がすべて応対する必要はなく、不動産会社に任せて差し支えありません。
土地の所有者(売主)は土地を可能な限り高く売却したいと考えます。
対して買主は、できるだけ安く買いたいと考えるものです。
そのため、買主候補から「土地の価格をもう少し安くして欲しい」など交渉されることもあります。
交渉があれば、不動産会社のサポートのもと、交渉内容について検討することになるのです。
⑦買主と土地の売買契約を結ぶ
見学や交渉などを経て買主が決まったら、買主と売主で売買契約を結びます。
土地の売買契約には、契約書が必要です。
契約書は不動産会社の方で作成してくれますので、売主が独自に作成する必要はありません。
売買契約の締結についても、不動産会社がサポートを行います。
⑧土地売却金の決済・土地の引き渡し・登記をする
土地の売買契約を締結したら、契約に則って土地の引き渡しや代金決済、登記などを行います。
決済や引き渡し、登記などの段取りは基本的に不動産会社に任せて問題ありません。
不動産会社と結んだ媒介契約の手数料(仲介手数料)は成功報酬になります。
売買契約の締結時や土地の引き渡し時などのタイミングで支払うことが多いため、心配ならタイミングなどについて不動産会社に確認しておきましょう。
⑨確定申告を行う
土地の売却益には税金が課税されます。
原則的に土地売却の翌年に、売却益などを確定申告する必要があるのです。
たとえば土地売却が2020年だったら、2020年の土地売却による所得等は翌年2021年の確定申告で手続きします。
土地売却の税金については、後の見出しで個別に解説します。
土地の売却期間は数カ月から半年が目安
土地の売却スタートから完結までどのくらいの期間がかかるのでしょう。
土地売却が完了するまでの期間的な目安は、不動産会社と媒介契約を結んでから数カ月から半年といわれています。
ただし、この期間はあくまで目安です。
売却を希望する土地が極めて立地が悪かったり、農地であったりした場合はこの限りではありません。
反対に商用や住宅用として極めて有用な立地であれば、目安期間よりも早く売却できる可能性もあります。
媒介契約を結ぶ不動産会社の見立ても確認してみてください。
相場を知るために!「一物四価」を理解しよう
土地の相場を把握するために情報収集していると、相続税評価額や実勢価格など、さまざまな土地価格の名前に突き当たり、困惑することでしょう。
土地の相場に関係する価格には「一物四価」があります。
土地というひとつの「物」の価格相場を見るために「四つの価格がある」という意味です。
以下が土地に対する4つの価格になります。
- ・実勢価格
- ・公示価格、基準価格
- ・相続税評価額
- ・固定資産税評価額
なお、4つの価格でわかるのは、あくまで「相場」です。
4つの価格が土地の売却価格になるわけではありません。
この点に注意が必要です。
4つの土地価格について順番に見て行きましょう。
実勢価格
実勢価格とは「似たような土地の取引事例から割り出した土地の平均価格」のことです。
過去に似たような土地が売却された事例があれば、その事例が相場の参考になります。
隣接している土地などは坪単価が似たような価格になることが多いため、過去の売却事例から割り出した相場を見ることで、おおよその価格を把握できます。
実勢価格は「国土交通省・土地情報総合システム」などで確認可能です。
公示地価、基準地価
公示地価とは「国土交通省が年1回発表する1月1日時点での基準地の価格」のことです。
基準地価とは「都道府県が発表する7月1日時点での基準地の価格」のことです。
公示地価や基準地価が発表されるとニュースになるので、名前を耳にした経験のある人も多いのではないでしょうか。
公示地価や基準地価はあくまで基準地点の価格なので、自分の土地売却にそのまま当てはめることはできません。
ただし、公示地価や基準地価の基準地の最寄り土地を売却する場合は、相場として参考になります。
公示地価や基準地価は国土交通省のホームページで確認可能です。
相続税評価額
相続税評価額とは「相続税や贈与税の計算をするときに使われる価格」です。
相続税評価額には「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。
路線価のある土地は路線価を計算に使いますが、土地の中には路線価がついていない土地もあるのです。
路線価のない土地については、倍率方式で求めることになります。
相続税評価額は「全国地価マップ」で調べることが可能です。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは「固定資産税課税のベースになる価格」です。
固定資産税は土地などの不動産の持ち主に毎年課税されており、課税に際しての通知(明細書)を見ればわかるようになっています。
固定資産税評価額は基本的に土地などの不動産の持ち主に通知されるため、それ以外の人が確認するためには、固定資産税路線価で調べる必要があります。
固定資産税路線価も「全国地価マップ」で調べることが可能です。
不動産鑑定士に依頼して相場を知る方法もある
土地の価格相場を知りたい場合は、不動産鑑定士に依頼する方法もあります。
不動産鑑定士は土地などの不動産の価値・評価を鑑定する専門家です。
不動産鑑定士の鑑定結果は公的にも強い力を持っています。
より詳細な土地の価格相場や価値を知りたい場合は、不動産鑑定士に鑑定を依頼するといいでしょう。
ただし、不動産鑑定士の鑑定結果が土地の売却価格として確定するわけではないという点に注意が必要です。
信頼できる不動産会社に査定を依頼しよう
土地の売却価格を可能な限り詳細に知りたい場合は、信頼できる不動産会社に査定をお願いするという方法もあります。
不動産会社の査定は、会社によって査定額などの結果が異なる点がポイントです。
なぜ同じ土地を査定したのに査定結果が異なるのでしょう。
2つ以上の不動産会社が査定額を出したときに、あまりにも査定額が違っていると「片方の会社が計算ミスしているのではないか」と首を傾げるのではないでしょうか。
不動産会社が計算ミスしているわけではありません。
土地の査定額は次のような要因により変動します。
- ・その不動産会社が土地の販売ルートを持っているか
- ・その不動産会社が一物四価のどれを重視するか
- ・土地に買い手が付きそうか
- ・土地の住所や自治体
- ・土地の状況
- ・近隣の開発状況やアクセス
- ・売却希望の土地のデータや情報
不動産会社が以上のような要因のどれを重視するかによって査定額が変わってきます。
査定額が大幅に違っている不動産会社の場合は、重視するポイントが異なっているわけです。
査定結果に疑問があれば、査定を行った会社に「なぜこの査定結果になるのか」を確認してみましょう。
信頼できるいくつかの不動産会社に査定をお願いすることで、査定額も含めて不動産会社選びをすることができます。
不動産会社選びの一助にするためにも、不動産会社に査定を依頼してみましょう。
土地売却でかかる税金と費用
土地売却では、売却金が入ってくるだけではありません。
売却を進める上で費用や税金が必要になります。
土地売却でかかる主な税金や費用について確認しておきましょう。
土地売却に必要な費用
土地売却には次のような費用が必要になります。
解体費用
売却する土地上に建物がある場合には、解体費用が必要になることがあります。
土地と建物を一緒に売却する場合や建物がない場合は不要です。
測量費用
土地の境界線が不明瞭な場合などには、測量士に土地を測量してもらう必要があります。
測量のための測量費用が必要です。
引っ越し費用
土地上に家があって土地売却と共に転居する場合は引っ越し費用が必要です。
すでに更地である場合や住居は別であるケースなどでは不要な費用です。
仲介手数料
仲介手数料とは「媒介契約によって不動産会社に土地売却をサポートしてもらう手数料」です。
仲介手数料は法律で上限が決まっています。
仲介手数料は以下の計算式で上限額を求めることが可能です。
- ・取引額200万円以下 / 取引額の5%
- ・取引額200万円超400万円以下 / 取引額4%
- ・取引額400万円超 / 取引額3%
- ・取引額400万円超の場合は「売買価格×3%+6万円」の計算式でも求められる
仲介手数料には消費税がかかります。
登記費用
土地を売却したら、売主から買主へと名義変更が必要です。
名義変更は司法書士に登記を依頼します。
登記費用の内訳は司法書士への報酬と登記申請時の登録免許税です。
登録免許税は登記の手数料のようなもので、税金の一種になります。
売却する土地に抵当権などが付着している場合は、売買に際して抹消登記などをする必要があります。
名義変更の費用の他に抹消登記などの費用も必要です。
その他費用
土地に廃棄物がある。
草木が生い茂っており、伐採や除草が必要である。
土地に大きな陥没がある。
このようなケースでは廃棄物処理費用や伐採費用、整地費用などが別途必要になることがあります。
土地売却でかかる税金
土地売却では次のような税金がかかります。
印紙税
土地売却の契約書に貼る印紙の費用です。
印紙は印紙税という税金の一種になります。
必要な印紙の額は土地売却の価格によって変わってきます。
登録免許税
登記申請に必要な税金です。
登記申請の際に印紙で納めることになります。
司法書士費用と一緒に請求されることの多い税金です。
ただし、登録免許税の額が大きい場合は別途請求されることもあります。
所得税・住民税
土地などの不動産の売却益については所得税や住民税がかかります。
売却益については勘違いされがちです。
たとえば土地が500万円で売れたとします。
この500万円という金額からは土地の取得費や譲渡費用を引くことが可能です。
控除などの使える制度も使い、最終的にプラスになった分が売却益になります。
土地売却に必要な書類
土地売却で必要になる書類は大きく3つの種類にわかれます。
土地の状況によっても必要書類が変わってくるため注意が必要です。
必要書類については、土地売却をサポートする不動産会社によく確認しておきましょう。
買主に関する必要書類
- ・本人確認書類
- ・印鑑証明書
- ・実印 など
土地が共有になっている場合、共有者の分も必要です。
共有土地の売却を希望する場合は、早めに共有者に伝えておきましょう。
土地の権利に関する必要書類
- 登記済証
- 登記識別情報
いわゆる土地の権利証です。
登記識別情報は登記済証に代わって発行される12桁の符号になります。
土地の情報についての必要書類
- ・測量図面
- ・境界確認書
- ・固定資産税納付書 など
測量を済ませて図面が手元になる。
隣の土地との境界が確定しており書面がある。
このような場合は、土地売却の際に必要になります。
境界が明確になっていない場合は、後々のトラブルを避けるためにも測量や境界の確定をする必要があるため、不動産会社に相談してください。
賢く損をしない土地売却の6つのコツ
土地を売る側は「損をしたくない」「スムーズに売却したい」と思うのではないでしょうか。
土地売却で損をしないためには6つのコツをおさえておくことが重要です。
複数の不動産会社に相談・査定を依頼する
不動産会社への相談や査定をするときは複数の不動産会社に依頼することが第一のコツです。
ひとつの不動産会社にだけ相談や査定をお願いしてしまうと、他の不動産会社と比較検討できません。
土地売却は不動産会社のサポートが非常に重要になるので、複数の不動産会社を比較して「自分に合った信頼できる不動産会社」を選びましょう。
不動産会社によって査定額に差があります。
査定額や査定に関する説明で納得できるかどうかは見るべきポイントです。
不動産会社や担当との相性もあります。
不動産会社や担当と息が合うかもよくチェックしておきましょう。
土地の状態や書類を確認しておく
第二のコツは土地の状態と書類を確認しておくことです。
土地の状態とは、外観だけでなく権利の状態も含みます。
たとえば祖父の代から所有している土地を売却したいときにその土地の名義が誰になっているか確認しておくことが重要です。
祖父や父親が土地を使っていても、別の親族などの名義になっていることもあります。
名義が祖父のままで相続登記などを経なければ売却が難しいケースもあるのです。
土地の外観と権利状況を確認しておきましょう。
書類の確認をしておくことも重要です。
土地の権利関係の書類や測量図などがあるか確認しておきましょう。
必要書類の中で紛失したものがあれば、不動産会社に前もって伝えておくとスムーズです。
土地を可能な限りキレイにしておく
土地の見た目は重要です。
査定は机上のみで行う机上査定などの方法もありますが、現地に足を運んで行う査定方法もあります。
査定の際に土地をキレイにしておくとプラス評価を得られやすくなります。
買主候補が土地を見学するときも、荒れた土地よりキレイな土地の方が好感を持ちやすいもの。
買主が好感を持てば、よりスムーズに売買が進むことでしょう。
スムーズに売却が進めば、それだけ早く売却金を入手できます。
土地の共有者に連絡を取っておく
土地が共有になっている場合は、共有名義人全員が売却に同意している必要があります。
土地の名義が共有になっている場合は、売却相談の前に共有者にも連絡しておきましょう。
売却がスムーズに進めばそれだけ売却金の入金も早くなるはずです。
売却タイミングを逃さずに済むというメリットもあります。
土地の共有者にはあらかじめ土地売却の同意を取り付けて、協力してくれるよう連絡しておきましょう。
高く売りたいなら媒介契約を検討する
土地売却の方法には媒介(仲介)以外に買取などがあります。
買取とは不動産会社が買主になり土地を買い取る方法です。
買主を探す必要がないという点ではメリットのある買取ですが、媒介契約で土地売却するより売却相場が低くなるというデメリットがあります。
買取で土地売却をした場合の売却相場は媒介契約で売却した場合の6割から8割です。
媒介契約で土地売却をすれば、より高く買ってくれる買主を探すこともできます。
土地を高く売りたいなら媒介契約での売却を検討してはいかがでしょう。
確定申告では控除などを使う
土地を売却した売却益には税金の課税があります。
土地の売却で使える控除があれば、それだけ税金の負担が軽くなるのです。
土地売却で損しないためにも、使える控除などは忘れずに使うことが重要になります。
控除の内容や利用条件については、不動産会社や税理士に確認しましょう。
まとめ
土地売却で損しないためには、コツや売却の流れなどをおさえておくことがポイントです。
コツや売却の流れをおさえることで、よりスムーズに売却できることでしょう。
売却をスムーズに進めることができれば、売却タイミングを逃さずに済みます。
売却のコツや要所をおさえ、損しない不動産売却を目指しましょう。