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さあ売却!不動産売却の流れと段取りをチェックしましょう

一般的な日本人にとって、不動産の売却は何度も経験するものではありません。

加えて売却プロセスは複雑で、時間も手間もかかります。

きちんとプロセスをつかんでおき「いつまでに何をやるか」を決めておかないと、払わなくてもよかった経費が生じたり、円滑に事が運ばない事態を招きかねません。

今回の記事では、スムーズに売却を進めるための段取りについて解説します。

不動産売却の段取りアウトライン

不動産売却の段取りを要約すると、以下の通りです。

この流れに沿って、それぞれのステップについて解説します。

下調べ

まずは売却する前に、下調べが欠かせません。

なぜ「売ろう」と思うのか

そもそもあなたはなぜ、不動産の売却を考えているのでしょうか?

不動産売却検討でまず考えるべきは、その動機です。

借金返済などでまとまったお金が必要なのか、相場が下がっているので売ってしまいたいのかあるいはその逆か、管理が大変だからなどなど、動機は様々です。

そして動機次第によっては、売却プラニング(焦らず好条件での売却を練るか・それとも早期売却を優先するか)も変わってきます。

「売却」以外のオプションが最良の選択肢、というケースも想定されるのです。

その土地の現況

売却不動産が所在するエリアは住宅街ですが?繁華街ですか?それともバイパス沿いの郊外ですか?そのエリアによって都市計画法をはじめとする法律・条例や地域独自のルールがあり、土地利用が規制されます。

まず、用途が制限されます。

例えば戸建て中心の住宅街整備エリアとされる第一種低層住居専用地域では、原則として住宅以外の用途は認められません。

例外的に住宅以外の床面積が50㎡以下で全体の1/2未満なら認可されますが、用途は理髪店・質屋・クリーニング店・事務所・学習塾などに限られ、コンビニ・旅館・パチンコ屋などは認められません。

さらに、建ぺい率や容積率も制限されます。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建坪の割合で、原則として30%から60%に制限されます。

容積率は敷地面積に対する床面積の割合で50%から200%に制限されるほか、前面道路の幅員によっても変わります。

住宅街ですから、住宅地を敷地いっぱいに建てたら、隣に圧迫感を与えます。

3階建てや4階建ての家屋も同様です。

そのために、土地利用規制が設けられているのです。

買主にとっては、例えばそこに4-5階建てのビルが建てられる、飲食店を開業できるといった自由度は大きな要素であり、一般的には自由度が高いほど売却の足は速くなります。

それでも市街化区域なら用途制限に応じた建物の建築が可能ですが、市街化調整区域に至っては原則として住宅地や店舗を建築できません。

規制も自治体によって異なり、不動産泣かせの物件です。

都市計画図や地域における土地利用規制マップは、自治体のホーム等で確認できます。

防災面の環境

例えば河川氾濫で被害を受けやすい、かつては田んぼだった土地、道路が入り組んでいて消防車が入ってこられないような地域は不動産取引で敬遠されます。

他にも、大規模造成地も注意が必要です

東京都下の丘陵部に集中しているような大規模分譲地などは盛り土で造成したエリアが多く拡がります。

こうしたエリアは直ちに危険というわけではありませんが、排水施設がきちんと整備されていないような場合は地盤軟弱化が起こりやすく、耐震上の懸念材料なのは間違いありません。

同時に、土地取引では明らかにマイナス要因です。

こうした防災面のネガティブ要素も、自治体や国土交通省が公表している情報(大規模盛土造成地マップ・ハザードマップ)で確認できます。

例えば洪水・内水では、24時間雨量が何ミリを超えたら氾濫するのか、その場合どの程度まで浸水するのかが、多くの自治体でマップ化されています。

最近は情報公開も進み、そこが明治時代に低湿地であったこと、池を埋め立て造成したことなども旧地図からたどれるようになっています。

売却物件の概況

まず登記簿を改めて眺め、賃借権(借地・貸家)などの権利が付されていないか、隣地との境界線に紛争が無いかなどを確認します。

改めて物件を見つめなおし、土地形状・交通アクセス・接道道路や周辺環境などを点検したうえで、賃貸・居住用または店舗用などで利用しやすいかを振り返りましょう。

売却のプラニング


下調べが終わったら、今度は具体的なプランを練りましょう。

売却価格の目安、かかるコスト・税金、売却時期から逆算したスケジュールを粗目に組んでみます。

そうすると、いつまでに何をすべきかおおよそのイメージがついてきます。

コストの中で一番大きいのは、仲介手数料です。

手数料は法律で上限額が決まっており、売却価格のおよそ3%が目安です。

ほとんどの仲介業者が上限額で請求してきますが、これを割り引かせることはほぼ不可能です。

そのせいで業者のやる気をそぎ、売却事態に影響を与えかねないことを考えると、あまり得策とはいえないようです。

(売却金額別仲介手数料)
売却金額仲介手数料
~200万円取引金額×5%+消費税
200万円~400万円取引金額×4%+2万円+消費税
400万円~取引金額×3%+6万円+消費税

税金は売却益(譲渡収入-取得原価-譲渡費用)に対して課されますが、所有期間(取得日から譲渡した年の1月1日まで)が5年以内の場合は約4割課税されるのに、5年を超えると約2割まで下がります。

ですので、どのタイミングで売るのかは重要なファクターなのです。

売却不動産の査定と仲介業者選び

売却を腹決めしたら、次は物件の査定に入ります。

一般的に査定方式は取引事例比較法を採用するケースが多いようです。

つまり周辺の取引事例を参考に、評価項目(交通アクセス・接道道路・間口・奥行・傾斜地など)で点数化して、動きの良さも加味したうえで査定価格をはじき出します。

取引価格事例法は、公益法人・不動産流通推進センターによって手順が定められていますが、それでも業者の裁量によって査定価格の上下はあるようです。

ちなみに査定は、仲介業者選びのチャンスです。

業者の規模や取引実績・口コミでの評判などは情報入手も容易ですが、あまりあてにはなりません。

判断基準で大切なのは、「人」そのものです。

不動産取引は、ある意味で仲介業者と顧客の共同作業です。

ある程度息が合わないと、うまくはいきません。

査定の時の来訪時に、挨拶や身なりなどで好感が持てたか、応対が過剰ではないが丁寧さを感じる、そうしたフィールが決め手になるのです。

「足元を見る」ではありませんが、靴がきれいに手入れされているかもチェックポイントです。

不動産売却の価格査定の詳細については「不動産売却の価格査定、「三本の矢」を徹底解説!」をご参照ください。

売却希望価格決定と買主探し

買主探しは、ネットやチラシによる広告活動から始まります。

スーモといった大手のサイトに自社の仲介物件として広告を掲載するほか、レインズ(Real estate information network system:不動産流通標準情報システム)に掲載され、多くの不動産会社が広告掲載します。

スーモ等に同じ物件が何件も掲載されているのは、これが理由です。

レインズは、従来は不動産の新聞広告・張り紙や店頭広告などを頼りに人手に任せていた業者間情報の交換を、WEB化したシステムです。

レインズの登場で、媒介情報も即座に広げることが実現したのです。

希望売却価格は最初強気で設定し、徐々に切り下げていくケースが多いようです。

ただし掛け値なしでいきなり勝負した方がうまくいく場合もあるらしく、この辺りは百戦錬磨の営業担当者に任せた方が良さそうです。

ただし、広告に載せる写真などは、業者に任せると雑に仕上がることが少なくありません。

例えば公園などの共有施設がマンション内にある場合には、そうしたセールスポイントを広告写真に織り込む努力が必要です。

内覧会と売却交渉


サイトに広告を掲載していると、やがてページビュー数等のアクセス状況も上がり始め、そうこうしているうちに内覧の希望も入ってきます。

内覧だからといって特別身構える必要はありません。

普段通りの平常心で構いませんが、想定問答集だけは作っておきましょう。

ガスレンジや照明器具は最近交換したのか、標準装備のものを使っているのか、買主はそうした点を質問してきます。

部屋の清掃・整頓も大切です。

ありのままを見せればよいとは言いますが、生活環満喫の部屋では敬遠されます。

過度にピカピカにする必要はありませんが、常識程度に片づける姿勢は、買主側も見ています。

細かい点にも気を配りましょう。

例えばスリッパ、高価なものを用意する必要はありませんが、極端な安物は作りも悪いので避けた方が無難です。

数をケチって、来訪者全員に行きわたらなかったりするのもNGです。

こうした細かい点が、意外と買主側に引っかかるものです。

売買契約と引渡し条件調整

売却価格がお互いで合意出来たら、次は売却契約です。

同時に細かい引渡し条件も調整します。

例えば老朽化した給湯設備はどちらの負担で更新するのか、買主が負担するなら売却価格はどうするのか、鍵のシリンダーは交換するか、交換するならどちらが負担するかを詰めるのです。

引渡し

売却契約や細かい条件も詰め終わったら、後はいよいよ引渡しです。

仲介業者が重要事項説明書を読み上げますが、あくまでセレモニーと考えた方が良さそうです。

引渡し当日は、もし不動産に抵当権が設定されていたら売却代金でローンを返済し、抵当権を解除します。

一連の手続きは、仲介業者が頼んだ司法書士に任せておけば大丈夫です。

不動産売却での支払い・お金の動きについて

不動産売却をするときに気になるのが、費用の支払いではないでしょうか。

不動産売却では、大きく下記の2つの支払いがあります。

  • ①買主から売主への支払い
  • ②売主から不動産会社へ仲介手数料の支払い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

買主から売主への支払い

不動産の購入者(買主)が売主(所有者)に対して、不動産の買取料金を支払うものです。

購入費用の支払いはケースによって異なりますが、数回に分けて支払うことが多いです。

一般的には売買契約が締結された段階で、買主が不動産価格の10~20%を手付金として支払います。

この手付金は簡単に契約解除できないための予防としての意味合いをかねています。

不動産の残金は、決済日を設けて支払います。

残金決済・不動産の所有権移転・引き渡しをまとめて行い、売主・買主・不動産会社の担当者・司法書士が銀行に集まり、その場で残金処理します。

不動産会社への仲介手数料支払い

不動産会社への仲介手数料支払いは、2回に分けて行います。

1回目は不動産売買契約の締結時に、仲介手数料の半額を支払います。

2回目は物件の引き渡しに、残りの半額を支払います。

仲介手数料は物件の3~5%かかり、金額も大きくなるのでは、払うタイミングを把握してお金を準備しておきましょう。

不動産売却をしたら確定申告しよう

不動産売却をしたら、必ず確定申告をしてください。

確定申告とは、1年間の収支を国に報告して、来年度の税金額を決定する作業です。

会社員でも給料以外の収入があった場合は、確定申告をしなければいけません。

知らずに確定申告を怠っていたら、脱税になる危険性もあるので、必ず確定申告しましょう。

不動産を売却した場合、印紙税・登録免許税・消費税・所得税・住民税の支払いが発生します。

不動産の売却には特例控除といって、節税に繋がる制度もあるため、むしろ確定申告した方がお得になるケースもあります。

困ったら税理士・税務署に相談しよう

「確定申告をやったことがないから、どうすればいいか分からない」という人もいるでしょう。

確定申告で困ったら、税理士・税務署に相談してください。

税務署には確定申告の相談窓口があるため、気軽に相談できます。

ただ「税務署に相談するのは気が重い・・・」というなら、税理士への依頼がおすすめです。

税理士は税務のプロなので、依頼すれば確定申告の手続き・一番節税できる方法を教えてくれます。

確定申告の手続きは非常に面倒なため、自分ひとりでやり切る自信がないなら、早めに税理士に頼んでおきましょう。

特約・控除を使って節税する

不動産売却では、特別に控除が認めらています。

控除とは、利益から差し引いて計算できる特別な仕組みです。

不動産売却で有名な控除は、3000万円特別控除でしょう。

例えば3000万円の物件を売却して、利益が2000万出たとすれば、2000万円分の所得税支払いが発生します。

しかし3000万円の特別控除があれば、2000万円の利益から3000万円分の控除金額を差し引いて計算できるため、利益はゼロになります。

利益がなければ、税金も発生しないため、2000万円に対しての所得税を払わなくて済みます。

このように不動産売却では絶対に使うべき特別控除が複数あるので、活用してない手はありません。

まとめ

以上、不動産売却のプロセスと注意点について解説しました。

備えあれば患いなし、複雑そうに思える不動産取引も、準備万端で臨めばそれほど恐れることはありません。

とくに下調べとプラニングを怠らないこと、物事は最初が肝心です。

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