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山林売買の方法・流れを確認|価格相場やかかる税金はいくら?

山林売買の方法・流れを確認|価格相場やかかる税金はいくら?

この記事でわかること

  • 山林の売買方法と注意点がわかる
  • 山林売買の価格相場がわかる
  • 山林の売買にかかる税金の計算方法がわかる

日本の土地の約7割を占める山林のうち、約6割は個人や企業などが所有する私有林となっています。

山林を所有していても使い道もなく、持て余している方は多いのではないでしょうか。

最近は、キャンプをはじめとしたアウトドアレジャーが盛り上がりをみせ、都市部に住む個人との売買も増えてきています。

静かな田舎で暮らしたいと思っている都会の人、別荘地を探している人、リゾート開発を行う会社、自然のエネルギーを利用したい開発業者などが、山林の購入を希望しています。

しかしながら、売却したいと思っても山林の売買価格の相場がわからず、税金がいくらかかるのか不安に思っている方も多いことでしょう。

この記事では、山林の売買方法や注意点、価格の相場について解説していきます。

山林を売却する際は、一般的な宅地や建物を売買する場合と異なるのでポイントを押さえておくことが大切です。

山林売買する3つの方法

山林売買しようと思っても、どうすればよいのかがわからない方が多いでしょう。

不動産会社などに仲介してもらった場合の仲介手数料がいくらかかるのかも気になるところです。

山林を売却する方法は次の3つになります。

  • 不動産会社に仲介を依頼する
  • 山林売買の専門サイトを利用する
  • 地元の森林組合に相談する

それでは、詳しく見ていきましょう。

不動産会社に仲介を依頼する

山林売買は不動産会社に仲介を依頼するのが最も安心な方法です。

ただし、山林売買を取り扱った経験がない不動産会社も多いので、どこの不動産会社でもいいというわけではありません。

売買予定の山林の近くにある地元の不動産会社に依頼するのがおすすめです

そのような不動産会社であれば、山林の売買を取り扱った経験がある可能性も高いですし、山林の購入希望者とつながりがある可能性もあります。

ただし、地元の不動産会社であっても、やはり山林の売買経験があるとは限りません。

地元でめぼしい不動産会社が見つからない場合は、一般の不動産会社の一括査定サービスを利用するのもおすすめです。

数多くの不動産会社に対して査定依頼を出せば、山林の売買を仲介してくれる不動産会社が見つかる可能性も高くなります。

山林売買の専門サイトを利用する

山林売買の専門サイトでは、山林の売却希望者と購入希望者がそれぞれ登録して、斡旋のサービスを受けることができます。

最近では、キャンプブームにのって山林の購入を希望する人の登録が増えており、その他にも、果樹栽培を行うためや、職人さんが作品を作るための作業場として購入するなど、さまざまな需要があります。

こういったサイトを利用すれば、不動産会社に依頼しなくても購入希望者が見つかる可能性が高まります

地元の森林組合に相談する

森林組合とは、森林の所有者が結成し、森林の保全や林業関係の事業を共同で行うことを主な目的としている団体です。

このような森林組合の中には、売却の相談を受け付けたり、売買の斡旋を行ったりしているところもあるので、一度相談してみるといいでしょう。

全国森林連合会のホームページで地元の森林組合連合会を調べることができます。

参考:全国森林組合連合会「都道府県森林組合連合会一覧

山林を売買するときの流れ

山林を売却するのは、宅地を売却するのとどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、実際に山林を売却する際の流れを確認していきましょう。

売買予定の山林の状況を調べる

山林に限らず、土地を売却しようとする時には、まずその土地の状況を知らなければなりません

山林の所有者が登記上は誰になっているのか、山林はどこにありどれだけの面積なのかといったことは、法務局で登記簿謄本を取得することで確認できます。

また、隣地との境界がどこにあるのかを知っておくことも、売却をスムーズに進めるためには重要なことです。

ただし、宅地を売却する時には隣地との境界を確定するために測量を行うことがありますが、山林の売買を行う際には測量までは行わないのが一般的です。

実際どこに境界があるのかはできれば現地で確認しておき、その際に立木の種類なども見ておきましょう。

売却方法を決定し契約を結ぶ

山林を売却する際に自力で売却相手を探すことが難しい場合は、不動産会社に仲介を依頼する必要があります。

不動産会社に仲介を依頼する際には、以下の3種類から1つを選びます。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

通常は専任媒介契約、あるいは専属専任媒介契約を選択して、不動産会社に仲介を依頼することとなります

また、山林を売却する際には、山林をそのまま丸ごと売却するのか、あるいは立木のみを売却するのかのいずれかとなります。

ただし林業を営んでいない人には立木を加工して売却することは現実的ではないため、そのまま売却するしかありません。

価格や支払い方法、引き渡しの日付などが交渉により合意できたら、契約書を締結します。

山林の引き渡しを行う

当初の契約にもとづいて、代金の支払いや法務局での所有権移転登記などが行われます。

すべての手続きが問題なく進められたら、最後に引き渡しが行われます。

これですべての手続きが完了となりますが、翌年には確定申告が必要になりますので、忘れないようにしましょう。

山林売買をするときの注意点

山林の売買は、宅地などの売買とは大きく異なるため、いくつかの注意点があります。

ここでは、山林を売却する際の注意点を確認していきます。

買取人がなかなか見つからない

山林を購入したいと考える人は、宅地を購入したいと考える人より圧倒的に少数です。

山林を利用することは難しく、ほとんどの人は山林を必要としないためです。

そのため、山林を売却しようとしても、簡単に売却相手を見つけることはできません。

売却する側とすれば、できるだけ高く買ってくれる人が現れるのを待ちたいと考えるかもしれませんが、現実的には購入希望者が現れるかどうかがポイントとなります。

高望みせず、購入希望者が現れるのを気長に待つしかないのです。

仲介手数料には決まりがない

不動産の売買を不動産会社に仲介してもらうと、通常は仲介手数料がかかります。

仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法で上限が定められています。

ただし、その規定は宅地と建物の取引に関してのみ適用されるものです。

山林の売買について、仲介手数料を定めた規定は存在しません。

そのため、仲介手数料はいくら請求されても違法となる恐れはありません。

さらに宅地建物取引業の免許がない人が仲介を行っても違法とはならないのです。

このような事情から、悪質業者に法外な仲介手数料を払わされる危険性もあります

不動産会社を介さずに個人間で山林を売買するときも、宅地や建物の売買についての仲介手数料に準じた水準で仲介手数料を取り決めるのが無難です。

なお、宅地建物取引業法で定められている仲介手数料の上限額は以下のとおりです。

売却代金額仲介手数料の上限額
200万円以下5%
200万円超~400万円以下4%+2万円
400万円超3%+6万円

山林売買の価格相場

一般的な宅地や建物の売買と異なり、山林の売買は取引件数が圧倒的に少ないため、価格の相場がつかみにくいのが実情です。

山林の種類には「都市近郊林地」「農村林地」「林業本場林地」「山村奥地林地」の4種類があり、山林の種類によって1平方メートル当たりの相場が大きく異なります

山林の種類1平方メートルあたりの価格相場
都市近郊林地1,000円~5,000円
農村林地100円~1,000円
林業本場林地100円未満
山村奥地林地100円未満

参考:国土交通省「不動産取引価格情報検索

山林は公簿面積で売買される

上記では1平方メートルあたりの価格相場をご紹介しましたが、山林の場合は登記簿上の公簿面積と実測面積が大きく異なる場合が多いという問題があります

かつ、隣地との境界も不明確になっているケースが非常に多くあります。

そのため、価格の算定そのものが難しいのです。

このような問題は宅地等でもよくありますが、通常は実際に面積を測量し、隣地との境界も明らかにしてから売買が行われます。

しかし、山林の場合は土地が広いために実際の面積を測量するのも大変で、広大な土地の境界を明らかにするのは非常に困難です。

これらの問題をクリアするためには相当高額な費用がかかってしまいます。

そのため、費用対効果の問題も考慮して、山林は公簿面積で売買されるのが一般的です

山林の価格相場はあってないようなもの

宅地等と比べて山林は売り手も買い手も絶対数が少なく、価格相場が形成されるほどに市場が成熟していないのが実情です。

このような閉鎖的な市場においては、売り手と買い手の力関係次第で売買価格が左右されてしまいます。

多くの場合、売り手は山林を持て余していて何とかして売却したいため、安く売りに出す傾向があります。

買い手は、そこから交渉によってさらに安く買おうとします。

売り手がその値引き交渉に応じることによって、結果的に山林は非常に安い価格で売買されるケースが多いのです。

一方で、市街地に近い立地で宅地に転用可能な山林は、比較的高額で売買されることもあります

したがって、山林の価格相場は「ない」といっても過言ではありません。

上記でご紹介した1平方メートルあたりの価格相場は、あくまでも参考程度にとどめておいてください。

山林売買でかかる2つの税金

山林を売買するときは、立木の部分に山林所得税、土地の部分に譲渡所得税がかかります

なぜ2種類に分けて課税されるのかというと、山林上の樹木は伐採して売ることもできますし、伐採しなくても立木のみで売ることができる財産とされているからです。

山林の土地と立木の関係は、宅地とその上の建物と似たような関係にあるのです。

土地と立木には別に税金が課されるため、それぞれ確定申告をする必要があります。

そのため、売買契約の段階で立木の部分と土地の部分に分けて、それぞれについて売買価格を設定することが大切です

立木部分には山林所得税がかかる

同じ山林の売買でも、売り主がその山林を所有していた期間によって、立木部分の税金の区分が異なります

所有期間が5年以内の場合は、林業などの事業を行っていたなら事業所得、それ以外の一般的な場合は雑所得となり、いずれの場合も、通常の所得税の確定申告の対象です。

所有期間が5年を超えている場合は、山林所得になります。

山林所得は分離課税なので、他の所得とは分けて計算することが必要です。

山林所得税を計算するためには、まず山林所得を計算します。

課税される山林所得の計算式は次のとおりです。

山林所得の計算式

売却代金-必要経費-特別控除(最大50万円)=山林所得

必要経費には、取得費、植林費、育成費、管理費、伐採費の他、売却するために必要な費用なども含まれます。

なお、その山林の所有期間が15年以上の場合は、必要経費の計算について特例が認められています

特例が適用される場合の必要経費の計算式は以下のとおりです。

特例が適用される場合の必要経費の計算式

(売却代金-伐採・譲渡費用)×50%+伐採・譲渡費用=必要経費

自分の所有期間が15年未満でも、相続でその山林を取得した場合は、被相続人が山林を取得した日から15年以上であれば、この特例を受けることができます。

課税山林所得の算定ができたら、所得税率をかけて山林所得税を計算します。

ただし、山林所得税を計算するときには「5分5乗方式」という計算式を用います

計算式は以下のとおりです。

山林所得税の計算式

課税山林所得×1/5×所得税率×5=山林所得税額

所得税率は以下のとおりです。

以下の表でいう「課税所得」は「課税山林所得×1/5」を意味します。

課税所得税率
195万円以下5%
195万円超330万円以下10%
330万円超695万円以下20%
695万円超900万円以下23%
900万円超1,800万円以下33%
1,800万円超4,000万円以下45%
4,000万円超45%

例えば、課税山林所得が200万円の場合は、(200万円×1/5×5%)×5=10万円が山林所得税額となります。

土地部分に譲渡所得税がかかる

山林を売却したときの土地部分の所得については、宅地等の場合と同じように譲渡所得になりますので、譲渡所得税がかかります

譲渡所得税も分離課税であり、他の所得とは別に計算します。

譲渡所得の計算式は以下のとおりです。

譲渡所得の計算式

売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

山林の取得費は不明の場合も多いですが、その場合は売却価格の5%を取得費とみなして計算することが認められています。

この譲渡所得に譲渡所得税の税率をかけ、譲渡所得税額を算出します。

譲渡所得税の税率は、山林の所有期間に応じて以下のように定められています。

所有期間税率
5年超(長期譲渡所得)15%(平成25年~令和19年は15.315%)
5年以下(短期譲渡所得)30%(平成25年~令和19年は30.63%)

まとめ

山林売買は、宅地等の売買よりは難しい面があります。

しかし、キャンプなどのアウトドアの人気が高まるにつれて山林の購入希望者も増えているため、適切な価格を設定して買い手を探せば、時間はかかるかもしれませんが、多くの場合は売却可能です。

評価が低い山林は固定資産税も安いので、持て余しながらも売却に踏み切れず、山林を所有したままの方も多いことでしょう。

いつまでも売らないでいると、将来的にはその山林が相続され、さらに処分に手間がかかる可能性もあります。

持て余している山林があるなら、早めに売却してはいかがでしょうか。

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