COLUMN不動産に関する記事

築20年の一戸建ての売却事情

築20年が経過している一戸建ては建物の価値のなくなる時期ですが、不動産としての需要は高く、問題なく売却できます。

築20年の一戸建ての需要がある理由は、次のとおりです。

• 築20年でも建物の状態がよければ売れる
• 築20年でも土地として売れる
• リフォームやリノベーション目的で売れる

ここからは、築20年の一戸建ての売却事情について解説します。

築20年でも建物の状態がよければ売れる

築20年経過している物件だとしても、建物の状態がよければ売れます。

築年数が20年経過していても、丁寧に使っていれば建物はまだまだ使用できるような年数です。

設備は古くなっていますが、20年では壊れていないケースもあります。

ただし、築20年経過していると建物の価値はほとんどなくなってしまいます。

しかし、価値と売れやすさは別の話であるため、問題なく売却をすることが可能です。

築20年でも土地として売れる

築20年が経過しており建物の状態が悪くても、土地としての売却が可能です。

築20年というのは、建物の状態が良い物件と悪い物件との差が出始める頃です。

しかし、仮に建物の状態が悪くなり使えなくなったとしても、土地は年数の影響を受けません。

そのため、建物を解体し土地として売り出せば売却が可能です。

もし土地の需要が高い地域であれば建物を解体したことにより、早期売却を狙えるようになるケースもあります。

リフォームやリノベーション目的で売れる

築年数が古い物件にはリフォームやリノベーション目的の買主がいるため、築20年でも売れます。

近年は中古の一戸建てを購入し、リノベーション・リフォームする買主が増えています。

築年数が古くても建物がしっかりしていれば、リノベーション・リフォームすることで長い間住み続けることが可能です。

このような理由があり、設備が故障しても建物が使える状態であれば、築20年の一戸建てでも売却できる可能性があります。

築20年の一戸建ての売却相場

築20年の一戸建ての売却相場は、年数ごとに下落していきます。

そして、築20年経過すると建物の価値はほとんどなくなり、ゼロに近づいていきます。

引用：国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状

上記の表は、国土交通省が公表しているグラフです。

国土交通省によると、木造の一戸建ての価値は築20年経過すると建物価値が新築時価格の25%を切ってしまうとされています。

この根拠となるものには不動産流通近代化センターのマニュアルに基づく試算や、減価償却年数による計算とが挙げられます。

さらに、築25年を超えると新築時価格の10%を切ってきます。

つまり、築20年～築25年の間に、建物価値はほぼなくなるということです。

ただし、建物の価値はほぼゼロになりますが、土地の価値は年数に影響しません。

そのため、不動産の価値自体がゼロになるということではありません。

また、先述したように不動産価値と売れやすいかどうかは別の話であり、建物の価値がなくなった不動産であっても売却は可能です。

築20年の一戸建ての売却を成功させるコツ

築20年の一戸建ての売却を成功させるには、コツを押さえておくことが大切です。

築20年の一戸建てを売却のコツは、次のとおりです。

• 余裕のあるスケジュールを組む
• 不動産相場を自分で調べておく
• 自分に合った媒介契約を締結する
• ホームインスペクションを行う
• ハウスクリーニングを実施する
• ホームステージングを利用する
• リフォームせずに売り出す
• 一戸建て売却に強い不動産会社に依頼する
• 不動産買取を検討する

ここからは、築20年の一戸建ての売却を成功させるコツについて解説します。

余裕のあるスケジュールを組む

築20年の一戸建てを売却するときには、余裕のあるスケジュールを組むようにしましょう。

不動産を売却するときには買い手を探さなければいけないため、引き渡しまで時間がかかります。

東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向（2022年）」によると、一戸建て売却には平均81.2日かかると公表されています。

平均でも81.2日がかかるため、築20年の一戸建てをする場合には平均日数よりも時間がかかると考えたほうがよいでしょう。

築20年の一戸建てを売却するには、3ヶ月以上かかると考えたスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

すぐに売れると思い込んでいると、売却が少し長くなるだけで焦ってしまいます。

焦ってしまうと購入希望者からの大幅な値段交渉に応じてしまうなど、損する選択をしてしまうかもしれません。

そのようなことにならないよう、築20年の一戸建てを売却するときには余裕のあるスケジュールを組んでおきましょう、

不動産相場を調べておく

築20年の一戸建てを売却する前には、不動産相場を自分で調べておきましょう。

不動産を売却するときには、不動産会社の査定を受けます。

しかし、不動産相場を知らなければ、不動産会社から提示された査定金額が正しいのかどうか判断できません。

査定金額は売り出し価格を決める重要な判断材料であり、適切ではない価格で販売し始めてしまうと不動産はなかなか売れなくなってしまいます。

そのため、あらかじめ自分で不動産相場を調べ、判断できるようにしておかなければいけません。

不動産相場を調べるときには「レインズマーケットインフォメーション」と「土地総合情報システム」の利用がおすすめです。

どちらも国土交通省が関わって運営されているインターネットサイトであり、両サイトでは成約した不動産のデータの確認が可能です。

自分の売却する一戸建ての条件に近いものをサイト内で探し、成約金額や条件を確認していけば不動産相場がわかってきます。

自分に合った媒介契約を締結する

築20年の一戸建てを売却するときには、不動産会社と自分に合った媒介契約を締結しましょう。

不動産仲介会社に売却の依頼をするときには、3種類の媒介契約の中から1つの契約方式を選択します。

しかし、3つの媒介契約にはそれぞれ特徴や違いがあるため、内容を理解しておかなければいけません。

3種類の媒介契約は次のとおりです。

• 専属専任媒介契約
• 専任媒介契約
• 一般媒介契約

各種媒介契約の内容の違いは、次のようになっています。

レインズとは、国土交通省指定の組織が運営しているもので、不動産会社のみが見られるインターネットサイトです。

不動産会社はレインズを見て売却物件情報を探すため、掲載できるのは売主にとって大きなメリットです。

ただし、一般媒介契約の場合は、レインズへの登録は不動産会社の判断に任されています。

また、自己発見取引とは売主が自分で買主を発見すれば、媒介契約締結中でも不動産会社を通さず売買契約ができるというものです。

専属専任媒介契約で自己発見取引はできませんが、専任媒介契約・一般媒介契約であれば可能です。

このように媒介契約には特徴や違いがあるため、内容を理解して自分に合った媒介契約を選択しましょう。

ホームインスペクションを行う

築年数が古くなった不動産を売却するときには、ホームインスペクションを受けるとよいでしょう。

ホームインスペクションとは、建築士が家の状態を調査し問題のある個所はないか診断するサービスです。

ホームインスペクションを行うと結果を証明書として発行してくれるため、購入希望者に対して建物の状態を示すエビデンスとして使えます。

購入検討者は、築年数が古い一戸建てを検討するときに状態が心配になってしまうものです。

しかし、ホームインスペクションを実施していれば、建物がまだ使える状態だと確認でき、安心して購入を決断できます。

このような理由があるため、築年数が古い一戸建てを売るときにはホームインスペクションがおすすめです。

なお、ホームインスペクションは目視調査だけ実施するのか、内部調査を実施するのかにより料金が変わります。

一般的な一戸建ての目視調査であれば、おおよそ5万円～7万円くらいで実施が可能です。

ハウスクリーニングを実施する

建物内がかなり汚れていると感じるなら、ハウスクリーニングの実施を検討しましょう。

ハウスクリーニングは費用がかかるため、基本的に売主が室内の清掃を行います。

しかし、個人で清掃が難しいほど室内が汚れているなら、業者によるハウスクリーニングの実施がおすすめです。

室内をキレイにしておけば、購入希望者が内覧したときに好印象を抱いてくれやすくなります。

なお、ハウスクリーニングは実施する場所や設備によって金額が異なります。

各場所別のハウスクリーニング費用の目安は、次の表のとおりです。

ハウスクリーニングは、実施する場所や箇所で金額が増えます。

ホームステージングを利用する

売却する一戸建てが空き家で室内が空っぽの場合、ホームステージングを実施するのもよいでしょう。

ホームステージングとは、物件の中に家具や小物などを設置してモデルルームのような空間を演出するサービスです。

ホームステージングを実施すれば殺風景だった室内がおしゃれな空間となり、購入検討者の購入意欲を高めてくれます。

なお、ホームステージングは、設置する物の量や配置する場所により費用が変動します。

ホームステージングの費用目安は、空き家の場合おおよそ15万円～30万円程度です。

リフォームせずに売り出す

築20年の一戸建てを売却するときには、リフォームをせずに売り出しましょう。

先述のとおり、築年数が経過した物件は、買い手がリノベーション・リフォームする目的で購入するケースがあります。

あらかじめリフォームしてしまうと、このような買い手の需要を減らしてしまう可能性があるため、リフォームはせずに売り出しましょう。

また、リフォームしたからといって、かけた費用分をすべて回収はできません。

不動産には相場があり、リフォームしたとしてもそこまで高く売却できないからです。

リフォームした費用分、損をしてしまう可能性もあるため、極力リフォームしてからの売り出しはやめましょう。

一戸建て売却に強い不動産会社に依頼する

古い不動産を売却するときには、一戸建てに強い不動産会社に売却を依頼しましょう。

先述したように、一戸建てが築20年になっても、売却自体は可能です。

しかし、新しい不動産よりは売却が難しくなるのが現実です。

そのため、一戸建てに強い不動産会社を探して売却を依頼しましょう。

一戸建てに弱い不動産会社に売却を依頼してしまうと、売れるまでに時間がかかってしまうケースもあります。

一戸建ての販売が得意ではないと、買い手を見つける方法がわからないからです。

あまりに長い間売れなければ買い手から売れ残り物件と見られてしまい、値段を下げていくという事態になりかねません。

一戸建てに強い不動産会社かどうかを調べるには、ホームページの実績を見るのがよいでしょう。

不動産買取を検討する

建物が古く土地としての需要が低い地域の不動産を売却するときには、不動産買取を検討するのもよいでしょう。

不動産は需要があるかどうかで、早期売却できるかどうかが決まります。

需要が少ないエリアの不動産はなかなか売れず、時間がかかってしまいます。

不動産売却は内覧の対応をし、また専門用語を理解しなければいけないなど、かなりの負担があるものです。

不動産会社に買い取ってもらう不動産買取であれば、売却価格が下がるものの、すぐに現金化できます。

まとめ

築20年の一戸建てには需要があるため、売却は可能です。

ただし、築年数が古くなり建物としての価値がゼロに近くなっていること、新しい不動産よりは売りにくいことは理解しておかなければいけません。

築20年の一戸建てを売却するコツはいくつかあるため、売りやすくなるよう対策を考えていきましょう。

対策によっては費用がかかるため、費用対効果があるのかどうか不動産会社に相談しながら進めていくことをおすすめします。