【2018年改定対応早見表付】不動産売却時の仲介手数料はいくら?手数料計算の仕組みと目安を解説
この記事でわかること
- 仲介手数料の意味と性質がわかる
- 仲介手数料を自分で計算できる
- 仲介手数料を支払うタイミングがわかる
不動産の売却を検討している方にとって、数ある不動産会社の中からどの会社を選べば良いか、悩むのではないでしょうか。
成約した場合に高額な仲介手数料を要求されるのではないかと心配な方もいるでしょう。
しかし、不動産会社の仲介手数料は売買代金を基準に算出します。
算出方法や上限は宅地建物取引業法により定められているので、非常識な額を請求されることはありません。
万一、法律で定めた上限を超えて仲介手数料を要求されたとしても拒めば良いのです。
しかし、仲介手数料に関する知識がなければ、不動産会社と対等に話すことはできません。
また、仲介手数料の額は高額になる場合もあるので、仲介手数料も考慮して資金計画を立てる必要があります。
そこで、仲介手数料の意味、計算方法や上限を詳しく解説します。
目次
不動産売買時の仲介手数料の性質と意味合い
仲介手数料とは、不動産会社に売却や購入の仲介を依頼し、実際に売買契約が成立したら支払う報酬のことです。
仲介手数料に含まれるものについて確認します。
仲介手数料に含まれるもの
一口に仲介手数料と言っても、どんな費用でも含まれるわけではありません。
別途請求される費用もあるので、細かく確認しておきましょう。
不動産会社は、通常の仲介業務で発生する費用を、仲介手数料とは別に請求することはできません。
ただし、依頼者の特別な依頼に基づき発生した費用については例外的に、仲介手数料とは別に請求することができます。
参考までに、仲介手数料に含まれるものと、別途請求できるものの例を挙げておきます。
仲介手数料に含まれるもの | 仲介手数料とは別に請求できるもの |
---|---|
・一般的に行われる広告費用 ・購入希望者の現地案内にかかわる費用 | ・依頼者の希望で実施した通常の販売活動では行わない広告宣伝の費用 ・依頼者の希望で行った遠隔地の購入希望者との交渉のための出張旅費 |
依頼者の依頼に基づくことがまず、仲介手数料とは別に請求できる費用と認められるための第一条件です。
さらにそれが、通常の仲介業務では発生しない費用であること、実費であることも条件に加わります。
もし、この条件を満たさない費用を求められたら、依頼者は拒むことができます。
仲介手数料の計算方法と早見表
仲介手数料は、売買代金額を基準に算出します。
ただし、空き家の売却の仲介手数料について、2018年に改正されていますので、改正点も確認します。
仲介手数料の算出方法
算出方法は以下の通りです。
取引額 | 仲介手数料(税抜き) |
---|---|
200万円以下の金額 | 取引額の5%以内 |
200万円を超え400万円以下の金額 | 取引額の4%以内 |
400万円を超える金額 | 取引額の3%以内 |
売買金額が2,000万円の物件の売買で考えてみましょう。
売買の媒介を依頼した場合であれば、以下の通りとなります。
- ・200万円×5%=10万円(200万円以下の部分)
- ・200万円×4%=8万円(200万円を超え400万円以下の部分)
- ・1,600万円×3%=48万円(400万円を超える部分)
10万円+8万円+48万円=66万円
売買金額2,000万円すべてに3%を乗ずるわけではないことに注意が必要です。
あくまで、取引額に応じて、それぞれの割合で計算したものを足した金額が仲介手数料となるのです。
不動産会社が消費税課税事業者の場合、仲介手数料に消費税が加算されます。
上の例での仲介手数料は、66万円に消費税を足した72万6,000円となります。
66万円+6万6,000円(消費税)=72万6,000円(不動産会社に払う額)
空き家売却の仲介手数料
近年、親から相続した空き家が増え、倒壊の危険性や犯罪の温床となる恐れなど、さまざまな社会問題に発展しています。
国は、空き家の売却を推し進めるさまざまな施策を講じていますが、空き家の売却が思うように進まない要因の一つが仲介手数料でした。
空き家の売却は手間が掛かるにもかかわらず、売却代金が低く仲介手数料が極めて少額になるケースがあるためです。
例えば、30万円で売却された空き家の仲介手数料を上記の式で計算すると、15,000円となります。
30万円×5%=1万5,000円
これでは、不動産会社が積極的に空き家売却のサポートをできません。
そこで、空き家売却の仲介手数料の上限が改正されました。
空き家売却の報酬額の上限
特例が適用される空き家 | 低廉な空き家(価額が400万円以下) |
依頼者から受ける報酬の額 | 18万円(税抜き) |
当事者双方から18万円受け取れるか? | 売主からのみ ※買主から受領する仲介手数料は通常の額 |
仲介手数料の早見表
低廉な空き家の売却を除いて、上記の算出方法は代金を分割して計算しなければならない点が面倒です。
そこで、速算法と呼ばれる方法をご紹介します。
代金額 | 仲介手数料(税抜き) |
---|---|
200万円以下 | 代金額の5%以内 |
200万円を超え400万円以下 | 代金額の4%以内+2万円 |
400万円超 | 代金額の3%以内+6万円 |
低廉な空き家の特例 | 価額が400万円以下の場合、売主から18万円 |
速算法に従えば、400万円の物件の売買で支払う仲介手数料も簡単に計算することができます。
例えば、400万円の物件売却の媒介を依頼した場合、不動産会社が消費税課税事業者の場合、依頼者は19万8千円の仲介手数料を支払います。
400万円×4%+2万円=18万円
18万円+消費税1万8千円=19万8千円(不動産会社が消費税課税事業者の場合)
なお、依頼者の一方が媒介を依頼した場合は、速算法の額が仲介手数料の上限となります。
これに対して、代理を依頼した場合の仲介手数料は、速算法の額の2倍が上限です。
依頼者の一方が媒介、一方が代理を依頼した場合でも、速算法で算出した額の2倍を超えることはできません。
双方代理でも同様です。
一戸建てを4,500万円で売却した場合の仲介手数料
実際に一戸建を合計4,500万円で売却した場合、仲介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料を計算してみましょう。
次の具体例で考えます。
- ・AさんがC社に仲介を依頼して自宅を売却
- ・BさんがC社に仲介を依頼して購入
- ・C社は課税事業者
媒介を依頼した場合
まず、売主Aさんが、C社に媒介を依頼した場合の仲介手数料を計算します。
先ほどの速算法によれば、次の式で算出することができます。
代金額4,500万円×3%+6万円=141万円
C社は消費税課税事業者なので、141万円に消費税を上乗せします。
141万円+14万1,000円(消費税)=155万1,000円
代理を依頼した場合
次に、売主Aさんが、C社に代理を依頼した場合の仲介手数料を計算します。
先ほどの速算法によれば、次の式で算出することができます。
代金額4,500万円×3%+6万円=141万円
AさんはC社に代理を依頼していますので、消費税課税事業者であるC社は141万円の倍である282万円に消費税を上乗せした額を請求することができます。
282万円+28万2,000円(消費税)=310万2,000円
ただし、C社がAさんとBさんから受け取る仲介手数料の額は、合計で282万円に消費税を上乗せした310万2,000円の範囲内でなければなりません。
例えば、次の金額ならC社は、Aさんに請求できます。
- ・Aさん 200万円+20万円(消費税)=220万円
- ・Bさん 82万円+8万2,000円(消費税)=90万2,000円
上記の内訳なら、代理を依頼したAさんに請求できる上限額を超えません。
また、媒介を依頼したBさんに請求できる上限額を超えないので適法な請求です。
免税事業者でも消費税がかかる?
消費税免税事業者は仲介手数料に10%の消費税を請求することはできません。
しかし、消費税免税事業者が仲介を行った場合、仲介手数料に4%を上乗せすることができます。
仕入れにかかる消費税を適正に転嫁することを認める必要があるためです。
例えば、免税事業者が4,500万円の物件の媒介を行った場合、C社は依頼者から146万6,400円の仲介手数料を受領できます。
代金額4,500万円×3%+6万円=141万円
141万円×4%=5万6,400円(免税事業者が上乗せできる額)
141万円+5万6,400円=146万6,400円
仲介手数料を払うタイミング
不動産の売買を仲介してもらう不動産会社が決まったら、その会社と正式に仲介についての取り決めを交わしますが、この段階で仲介手数料を払わなければならないのでしょうか?
また、仲介を依頼する時、仲介手数料についての説明があるのか気になる方もいるでしょう。
仲介手数料を払うタイミング、仲介の依頼に関する契約書について解説します。
仲介手数料は成功報酬
仲介手数料は成功報酬ですから、売買契約成立時に仲介手数料の支払い義務が発生します。
したがって、仲介を依頼した時に支払う必要はありません。
ただし、通常、不動産の売買契約締結後、数か月経って物件の引渡しや登記手続きが行われます。
依頼者にとって、引き渡しも登記も終わっていない段階で仲介手数料を支払うのは不安です。
仲介手数料の支払い時期について不安な方は、不動産会社と相談して、いつ支払うか事前に決めておくとよいでしょう。
例えば、売買契約締結時に仲介手数料の50%、物件の引渡しや登記手続きの時に50%支払うという取り決めも可能です。
物件の引渡しや登記手続きの時に仲介手数料を一括で支払いたい方は、不動産会社と交渉すると良いでしょう。
書面による仲介手数料の明示
不動産会社は、物件の売買の媒介(代理)契約を締結した場合、媒介(代理)契約書を遅滞なく依頼者に交付する義務があります。
この媒介契約書に記載する事項は法で定められていて、報酬(仲介手数料)も記載されます。
つまり、仲介を依頼した時点で仲介手数料のことについて記載した書面を貰えるということです。
参考に、媒介契約書の記載事項を挙げておきます。
- ・物件を特定するために必要な事項
- ・売買すべき価額または評価額
- ・報酬(仲介手数料のこと)
- ・既存建物の建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項
- ・媒介のかたち(一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の別)
- ・有効期間
- ・解除
- ・媒介契約違反の場合の措置
- ・指定流通機構への登録に関する事項
- ・標準媒介契約約款に基づくか否か
媒介(代理)契約書面の交付違反は、不動産会社の業務停止処分事由に該当します。
報酬(仲介手数料)が記載されていない場合も、違反事項にあたり、所定の事項を記載した書面を交付するよう請求することができます。
まとめ
仲介手数料は不動産の売却や購入計画において非常に重要です。
不動産会社に売却や購入の相談をするときは、早めに仲介手数料について確認しましょう。
その際、別途かかる費用があるのか、支払時期や支払い方法についても質問することが大切です。
「あの時聞いておけばよかった」と後悔しないためにも、不動産会社と信頼できる関係を作りましょう。